崩れろ!ポーカー!!

「ここが、君の部屋だよ。好きに使っていい」


そう言われて、案内された部屋はどこぞの高級ホテルのように広い部屋だった。


本当に使っていいのかと思って見上げてみれば、見当違いなことを言う沢田さん


「あ、気に入らなかった?」


首を思いっきり横に振る。気に入らないとか、気に入るとかの前に、5歳児にこの部屋は無いだろうと…。


「そっか。ならよかった」


と、そこでどこからか携帯の音が鳴った。


「あ、ちょっとごめんね」


彼は、部屋を出て行ってしまった。残された私は、部屋の中を物色することに。
といっても、あるのはベッドと、机とソファー。そして、簡易キッチンに、なぜかバスルームまである。本当にホテルみたい。大きなホテルに入ったことはないけど、テレビでみるかぎり、こんな感じだ。止まるのに何百万とかかかってしまいそうな部屋。


マフィアというのは金持なのかな…。


つい先ほど知ってしまった事実に驚愕するも、それ以上に不思議体験をしてしまっているので、マフィアは実際にいることは知っていたからそこまで悩むことはなかった。
素直に受け入れられてしまった自分に少し感動する。


マフィアといえば、嫌悪感というよりもどちらかというとカッコいいというイメージの方が強い。日本で言うヤクザだけど、ヤクザとマフィアじゃイメージが全然違う。


ベッドに登れば、そこは結構高くて、お嬢様みたいな感じの大きなベッド。まあ、私自身が小さいからそう感じるのかもしれないけど、たぶん大人2人ぐらいなら余裕で行けそうだ。
枕もふかふかしているし、気持ちいい。


ソファーもふわふわだった。でも、沢田さんの部屋にあるものの方が高そうだとは思った。


あ、沢田さんはここのボスらしい。マフィアのボスってこれもイメージだけどいかついおじさんがやっているという固定観念があったから一瞬冗談じゃないかと思ってしまった。
でも、沢田さんみたいな人がマフィアなら、結構平和に行くんじゃないかなあと思ってしまった。



自己紹介の後は、それぞれ自室や、自分の仕事に戻って行ってしまった。リボーンさんもそう。で、沢田さんは、麻依さんに怒られながらも私を部屋へと案内してくれた。
本当は、机の上にあった書類をしないといけなかったらしいけど、私を理由に逃げてきたらしい。
でも、本当に、あの量を一人でやっていたら徹夜をしても終わらなさそう…。


麻依さんといえば、麻依さんは沢田さんの奥さんらしい。苗字が同じだということに後で気づいて思い切って聞いてみたんだ。


そしてら、恥ずかしそうに少し顔を赤くして麻依さんは結婚してるのといった。
その顔が本当に幸せそうだったから、また昔のママを思い出してしまった。


そして、もうひとつわかったことが、ここがイタリアだということで、今いる場所は、ボンゴレの本部でボスと幹部の屋敷らしい…。
そんなところに私がいること自体場違いじゃ…と思うけど、そこは子供ということで…。


もう、5歳ということに慣れてきてしまっている自分に思わずため息がこぼれた。


たぶん、私がいた世界とここは違うんだと思う。パラレルだったりしたら、私のそっくりさん。というか、こういう場合は同一人物がいるかもしれないなあと思ってしまった。所謂パラレルワールドというやつだ。


似ている人3人にあったら死んでしまうというけど、同じ人だったらどうなるんだろう?…実際問題、あり得ないんだけどさ。


電話をしにいった沢田さんはなかなか帰ってこない。というか、もしかしたらそのまま仕事に戻ったのかも。


でも、ここは、暇だ。この部屋をでてもいいけど、さっき案内されるときに少し見た外は、結構低い所に地面があって、3、4階建なんじゃないかと想像した。そして、金持だからたぶんでかい。


そんなところで迷子になったら終わりだ。餓死して、しぬというより、迷って発見される頃には骨になっているかも…。うわっ!ホラーだ…。


一人でベッドの上にそんな想像をしていると、ガチャッという扉の開く音がした。沢田さんかなと思って振り返ったら、そこにはリボーンさんがいた。


「ツナは上からの呼び出しだ」


私が、沢田さんはどうしたのかと思ったまま見ていると、心を呼んだかのようにそういった。


「お前に、プレゼントだぞ」


そういって、渡されたのは、袋の中に入っていたのは、新品のスケッチブック。そして、濃さがそれぞれの鉛筆に、36色もある色鉛筆、黒、ピンク、青、黄色の4種類のマーカーだった。


ビックリして彼を見上げると、したり顔で笑われる。


「好きにかいていいぞ」


話せる手段ができた!


さっそく開いて、黒のマーカーを取って書きこむ。


[ありがとう!]


「どういたしまして」


それからは、鉛筆と色鉛筆をつかって絵を描いた。


[リボーンさん!]


そのページを見せて、次のをめくると、彼は少し目を見開いた。この数時間だけど、彼はあまり表情を表に出さないような気がする。だから、雲雀さんも驚いていたんだ。


「すごいな。よくかけてるぞ」


頭を撫でてくれる手が、すごく優しくて、ポーカーフェイスだけど彼がとても優しいのはすごく伝わってきた。


「あと、俺のことはリボーンでいいぞ。敬語もいらねえ」


「…[リボーン?]」


「ああ。なんだ?」


[よんでみただけ!]


そう書いて返せば、彼は、ふっと笑った。その表情が、あの、カメレオンと戯れていたときの彼の表情と一緒に、すごく柔らかいもので、なんとなく恥ずかしくなったから、すぐに、絵を描き始めた。


次は、抽象画だ。


そうやって、絵を描いていると、グゥ〜とおなかが鳴った。とっさにおなかを押さえてリボーンを見れば、喉でクツクツと笑っている。顔に熱が集まるのを感じて、それを隠そうと俯けば頭を撫でられた。


「そういえば、昼がまだだったな」


まだ少し笑いをもらしながらも、手を差し出してきた。


「ほら」


「…?」


「飯食いに行くんだぞ」


「!!」


差し出された、手を取って、ちゃんとスケッチブックとペンも持っていく。



(それにしても、)
(?)
(紫杏の腹にはでかい虫がいるんだな)
(!!―――〜っ!!)
(ほら、着いたぞ)


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あきゅろす。
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