初めてだった。初めて、変じゃないと言われた。私自身を認めてくれた。だから、それが、うれしくて、うれしくて…。 [なまえ] 「名前?」 [なんていうんですか?] 「あ、そういえば言ってなかったね」 私を連れてきてくれた男の人は、そういうと、ほかの5人を並ばせて、私にそちらに向くように言った。 「じゃあ、向かって右側。隼人から」 彼がそう言って、一歩前に出たのはあの、ちょっと怖い。いや、かなり怖い、銀髪で眉間にしわを寄せている。 「十代目の右腕の獄寺隼人だ」 十代目?何かをだいだいついでいる会社だったりするのかな?私は獄寺さんにお辞儀で返した。 次に前に出たのは黒髪に短髪で顎に傷がある、私に最初に名前を聞いてきた彼だった。 「俺は、山本武だ。よろしくな!紫杏」 第一印象は、さわやかで決定。お兄さんのような雰囲気がある。山本さんにもお辞儀で返す。 次に出てきたのは黒髪に切れ長の目を持つ人だった。この人は、なんとなく怖いという印象を持ってしまった。 「雲雀恭弥」 ぶっきらぼうにそう言って、そっぽをむいてしまった。って、それだけ?いや、別にいいんだけどさ…。 次に前に出たのは、長い青紫の髪を後ろで一つに縛り、後頭部でも短く結んでいるという不思議な髪型をしているオッドアイの男の人だった。 「クフフ、六道骸です」 うん。変わった人だ。でも、どこかさびしげな人だと思った。六道さんにもお辞儀をして返す。 次に出てきたのは、もじゃもじゃの髪に、なぜか牛柄のシャツを着て少しはだけさせている。なんとなく、大人、というか色気が醸し出されている人だった。 彼は、私の前に片膝を立てて膝まづいた。 「オレはランボっていいます。よろしくおねがいします。紫杏さん」 そして、私の手を取ったかと思うと、手の甲にキスをした。顔に一気に熱が集まった。 あ、熱い…。というか、恥ずかしい!! 「離れろ、アホ牛が。バカが移る」 はき捨てるように言った少年は、ランボさんを蹴り上げた。彼はきれいに浮かび上がって、床に体を打ちつけた。そして、震えながらも起き上がろうとする彼の目には涙が浮かんでいた。 「うっ…が・ま・ん…」 そんな彼を無視して、私の視界からランボさんを遮るように立った少年は、ニッと笑って頭をなでてくる。 「俺はリボーンだ。よろしくな。紫杏」 うん。やっぱり、彼の手は安心する。自然と顔がほころぶのを感じた。 「私は、沢田麻依よ。よろしくね?紫杏ちゃん」 麻依さんは昔のママみたいで安心する。でも、少しだけ心がざわつくのを感じた。ママに対する恐怖心が、最後に見たママの表情が思い出されてくる。それを振り払うように、麻依さんににこっと笑ってみせてから、お辞儀をした。 「本当は、あと一人いるんだけど、彼は長期任務でいまいないんだ。だからオレが最後。俺は沢田綱吉。紫杏ちゃんは、オレが、オレ達が守るよ。君は今日からファミリーだ!」 守ると言った時の彼の瞳は意思を宿していた。そして、その後の笑顔は、包まれるように温かいものだった。 [よろしくおねがいします!] 言葉とともに、笑って見せた。 ここから、始まる。新しい自分の生活が。5歳からのやり直し。 大丈夫。こんどは幸せになれる。だって、彼らがいるんだもの。こんな素敵な人たちが――― ([そういえば、なんのおしごとをしているんですか?]) (あ、そっか) (俺達はマフィアだぞ) (!?) いまさらながら、大変なところに来てしまったんじゃないかと思ったのでした…。 |