久しぶりに感じる学校の雰囲気。でも、学校には夏休み中にも来ていたから、そこまで懐かしさは感じない。 そして、学校の始まりにまだ夏休み気分を引きづっている生徒たちは今ある噂に花を咲かせていた。 「転校生が来るんだって!しかも2人らしいよ!」 「めっちゃイケメンなんでしょ!?」 「片方はすごいさわやかな美人さんだって聞いた!」 「違うよ!ハーフの爽やかな男子だって!」 もう、噂が一人歩きして、いろいろとしたことが混じっている。そんな中、久しぶりの学校の雰囲気で大人しくなっている2人は、その噂話に耳を傾けながらも顔を見合わせて苦笑していた。 「すごい噂ね。もう混ざっちゃってるし」 「だよね…。隼人が…爽やかとか…っ!やばいうける!」 何を想像したのか、空は口元に手を当てて吹き出した。それには風は苦笑しかできない。確かに、さわやかな獄寺なんてこっちから願い下げだ。 「にしても、これだけ噂がたってたらこれから大変ね」 「だよねー。しかも一応いとこになるわけだし…」 「あれよね。どっちのいとこって言うのは、はっきりと言わないようにしないといけないわね」 「うん。学校側には風のいとこになってるけど、生徒にはあたしのいとこにしたもんね…」 「先生がなんて説明するか、よね」 「下手なこと言わないでほしいな…」 そんな中、噂の的の2人は職員室で少しだけ説明を受けていた。どうやら学校側の計らいで2人同じクラスに転入できるらしく、もちろん担当の先生も同じになる。 「って、感じだから。あとは会長、副会長にも気にかけるようにはいっといたからな」 「はい!」 「……」 「で、お前たちのクラスは、204Hだ」 それを聞いて二人は顔を見合わせた。なぜなら、風と空と同じクラスだからだ。 先生について教室に向かう。二度来たことのある場所。大体の位置は把握していた。 生徒たちは皆、先生の話に耳を傾けている。 ある教室の前で立ち止まらせると、先生は入ってこいというまで待ってろと言って教室の中へと入っていた。入った瞬間に、ざわめく教室。 そして廊下で話声を聞いている彼らの身としてはなんとも落ちつかないものだった。 「入っていいぞ」 その声に、二人は教室の中へと入っていく。そして、入った瞬間に上がる黄色い声に獄寺が舌打ちしたのは言うまでもない。 「お前ら!静かにしろ!……じゃあ、自己紹介」 「山本武です!えーっと…、よろしくな!」 爽やかな山本にまた上がる歓声。そして、それに苛々している獄寺は盛大に舌打ち。それに気づいた先生は、かなりどもりながらも場をなだめ獄寺の自己紹介をさせた。 「……獄寺隼人だ」 教室が静まり返ったのは言うまでもない。 「えーっと……そ、それじゃあ、春日!伊集院!いろいろと面倒みてやれ!じゃ、じゃあ終了!!」 「は!?」 先生は、号令も待たずそそくさと立ち去って行った。 (…逃げた) (逃げたね) (よろしくな!風!空!) (……) (まあ、とりあえず…) ((204Hにようこそ!)) |