べんきょーかてきょーなにきょー?

夏休みももう終わりに近づいて、後半ずっとギクシャクしていた関係も、皆で海に行ってバカやったり笑いあったりしている内に消えていった。


あたしは先輩と付き合うことになったけど、ちゃんと考えた上の決断だし後悔はしてない。あたしだって確かに先輩が好きなんだから。


それでもどうしても隼人の存在が頭の中にあって、だけどそれは友愛なんだからと打ち切った。


そんな目まぐるしい日々はもう終わり──の筈だった。


「宿題終わんないー!風ヘルプミー!」


「私だって終わってないんだからダメよ無理。先輩のとこ行けばいいじゃない」


「だ、だってー」


急に彼氏になって、そんでもっていつも以上に優しくなった先輩は、学期開けの準備で生徒会の仕事に追われてる。そんな先輩にこれ以上迷惑かけれないし…、何より宿題が終わってない事実を知られたくない!


今日は生憎の雨で今、あたしと風はリビングの机に終わってない夏休みの宿題を広げて猛勉強中。風はまだじみちにやってたから量はあたしより少ない。


それに比べてあたしの宿題の量、ハンパないんですけど!


「お前、まだこんなにやってなかったのかよ;仮にも副委員長だろーが」


「か、仮にもって失礼だぞ隼人!」


そんなあたしの背後から宿題を覗きながらバカにしてくる(呆れてるのか)隼人に言い返せば、フイッと顔を逸らされた。


「風も終わってないなんて何か意外だな」


「そりゃあ、居候が二人も増えたら時間が削られるし?弓道も行かなきゃいけないし?野球部のマネージャーで何かと押しつけられるし?バイトあるし、それから──」


そんなあたしたちを気にするでもなく、風の隣に腰を下ろしたたけちゃんの何気ない一言に、風は容赦のない言葉をあびせてる。ご愁傷様だね、たけちゃん。


「悪かった。俺が悪かったからその辺で勘弁してくれ」


「クスッ、分かれば宜しい」


溜まらず降参と、謝るたけちゃんに風は優しい笑顔を向けて、笑いあう二人が何だか微笑ましく思えた。


最近この二人、いい感じなんだよね。もしかしなくても両想いだったりするのかな?そしたら何かあたしまで嬉しくなっちゃうな。


「アホ面してねーで、さっさとやれよ」


「アホ面ってな──!」


「何だよ」


そんなあたしに、横からかかった嫌みな隼人の声にバッと横を向けば、眼鏡をかけて髪の毛を束ねている彼の姿があって。あまり見せないその姿に一瞬、目を奪われた。


「な、何でもない!」


フイッと顔を逸らして、今頭で考えたことを吹き飛ばすように首を左右に振る。あたしってば先輩という者がありながら!不純だ!


「獄寺、空のそれ手伝ってあげて。武には私の手伝ってもらうから」


「は?」


「俺もやんのか…?」


「簡単なやつだけ、お願いね?」


「ハハッ…、まあやんねーと頭鈍るしな!」


「頭鈍るなんていわねーよ!」


三人の掛け合いに自然と笑っていたあたしは、何だかやる気のなかった宿題も頑張ろうという意気に変わった。


「はーやと、かてきょ宜しく」

「!……おう、」


「武の分、これね!」

「!……お、おう;」


あたしと隼人──、
風とたけちゃん──、


こっからはチームプレイで、夏休み最大の難関を突破してみせます!




(ねーね、これってこう?)
(ああ、…けど答えが違ー)
(えー?あ、こうか!)
(あってる、やれば出来るじゃねぇか)
(へへー)

─────
(獄寺が笑ってんなんてレアだなー)
(そうね、けど今は口より手動かす!)
(でもさー、これわかんねーんだけど)
(え?…これは、これ使って──)
(あー、流石風だな)
(──(私が教えてどーすんのよ)


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あきゅろす。
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