空へ優しさにトキメキ

「おー、快晴だねー」


「んなとこ突っ立ってねぇでとっとと済ますぞ」


ホースを片手に暑いだ、何だ喚いてる隼人に駆け寄ってお手伝いするべく、私は水道からじょうろに水を溜めて、半分に分担した自分側に水を撒いていく。


「ねー隼人ー」


「あ?」


「今日ね、実はあたしの番だったりしたんだー」


「……(ハメられた」


あたしが事実を告げると、目を見開いて固まった隼人君。あー、やっぱり怒るかな?でも気づいたのって部屋出て、マンションの掲示板みたときなんだもん。


あ、詳しく説明すると一ヶ月担当の水まきなんだ。今月があたし達の号室になったから、四人いるし分担表作って、掲示板に掲示してあった。それをあたしが一週間勘違いして、隼人とあたしの順番真逆にしてたんだよね。


「ご、ごめんねっ」


「!…、じゃ、これで許してやるよ」


「なっ!ちょ、冷たっ、!」


「暑ーんだから丁度いいだろ、」


ざまーみやがれ!て顔して、あたしに水かけやがった隼人は、プイッとそっぽを向いた。何なんだこの横暴さは!ツナに見せてやりたいよ!


「隼人の所為で、下着透けるんだけど!」


「っな!んな事、大声で叫ぶな!」


お返しに隼人の苦手分野で返してやれば、少し赤くなってキョドりだす。相変わらず繊細な子だなー、なんて思ったり。


パサッ─────


「へ?」


「変な誤解されたら俺が困んだよ!」


あたしにかけられた隼人の上着(薄いやつね)に目をパチクリさせると、ゴンッと頭を殴られてそんなことを言われた。手加減してるつもりだろうけど痛いから!少しでもトキメいた自分が情けない。


「じゃあ誤解解くために、隼人もぬれちゃえ!」


「なっ!冷てっ!」


油断した隼人からホースを奪い取って、水をかけるあたしに、思いっきりかかった隼人。油断大敵ってね。


「ははっ、びちゃびちゃー」


「てめーの所為だろーが!!」


お互いびちゃびちゃにぬれて、ホースから放たれた水は七色の綺麗な虹を描く。


「ね、虹」


「あ?──…、ガキ」


「ガキ?隼人に言われたくないからー!」


「だからそういうとこがガキだっつってんだよ!」


また勃発した水のかけ合いに、さっきにもまして滴る水がハンパない。こりゃ下着までびちゃびちゃだよ。


「くしゅ、」


「!──、オラ戻んぞ。…風邪ぶりかえしたって二度と看病なんかしてやんねーからな」


「!──、はーいっ」


隼人照れ屋だから。心配してくれたらしい彼の背中に小さくありがとうってお礼を告げると、マンションに入っていく隼人を追いかけた。




(風に見つかったら部屋いれてもらえないかも……)
(……、(リアルに想像できて否定できねー…)


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