二度あることは三度ある
バカに地図を渡したのがいけなかったな。つか、真逆行くとか相当だろ。
「やっとついたね…」
「水族館なんて超久々ー!」
後ろで盛大な溜息が聞こえて振り返れば、到着したことにまず疲れてる春日に、横で飛び跳ねてるハイテンションな馬鹿。
自分のせいでダチ疲れさせてんの分かってんのか、こいつ…。つか、水族館なんて楽しみが一つしかねぇじゃねぇか。それ以前にこのメンバーでの集団行動は避けてぇ。
「中入ったら別行動にすんのか?」
ナイス野球馬鹿。そう思っていた俺の心の代弁をしてくれた山本は頭の後ろで腕を組みながら、のんびり口調で話を切り出した。
「落ち合う場所決めて、自由行動とか」
「うーん、トラブルは勘弁だし、せめて2人1組で行動した方がよくない?」
何でそうなんだよ、面倒くせぇ…。
「隼人がものっそい嫌そうだよ?」
「あたりめぇだろ!」
俺の様子に気づいたらしいアホ女がわざわざ俺を指さしながらそう呟きやがるから、春日は面倒くさそうに溜息をついた。溜息つきてぇのはこっちなんだよ!
「んじゃ、公平にグーキーしようぜ!」
「は?ふざけんな!俺は一人で行く」
「だから隼人がもし万が一、約束破ってダイナマイトなんて出しちゃったら、水槽ドカーンで溺れちゃうでしょ?」
「出さねぇっつってんだろ!つか溺れねぇし!」
水槽の一つや二つ割れたところでトラブルになったとしても溺れるわけねぇ。ま、このアホみたいなちびじゃしらねぇけどな。
「鮫もいるんだぞっ!水槽ドカーンで、いきなり上から落ちてきて食べられちゃったらどうするんだー!」
「だあーっ、力説するとこ違うんだよ!てめぇは!」
「鮫かー、何かスクアーロに会いたくなってきたな…」
「やっぱり鮫=スクアーロなんだね」
「ま、そうだな」
俺たちが言い合いを始める横で、それを気にするわけでもなく、ずれた話をする2人に内心突っ込みながら、目の前でバカみてぇに鮫の力説を始めるアホの言葉を右から左に聞き流す。
「じゃ、隼人はあたしと行く方向で!たけちゃんと風ね!はい解散!」
「は!?」
「じゃ、イルカショーのイベント会場で落ち合おう」
「あいさー!行くぞー!」
「な!俺はまだ何も言ってねぇ!!」
いつの間にか終わっていた鮫の力説に、強制的に決められた2人1組。反論する暇さえなかったじゃねぇか…。
「いいのか?あの二人一緒にしちまって」
「ダイナマイトが飛び出したら空がなんとかするでしょ」
「そうだな、俺達は俺達で楽しもうぜ」
「うん!」
水族館にそれぞれ期待や不安を抱いて、足を踏み入れる。まず、入館口から上がった女の子たちの黄色い声には、苦笑するほかなかった。


(ありゃ、獄寺が捕まったな)
(今のうちに走り抜けよっか)
(はは、そりゃいいな、お先!)

(あ、ずるっ!たけちゃんと風の薄情者ー!!)
(な、近寄んじゃねぇ!果た―)
(あー!!ダメダメ!走るよ隼人!)
(っ!だから、手掴むんじゃねぇ!!)

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