烈々布店長の裏(銀魂)
遠出のあとで(兎の遠出の続き)
今 阿伏兎さんの部屋に入って、ひとしきり談笑をして、
いつもの儀式をいざ……という所で制止された
阿伏兎「……あのだな」
『はい…』
この調子で かれこれ10分、
とてつもなく何かを伝えたそうにしているが 口ごもり目を泳がせたり白黒させたり、狼狽しながら やはり言葉を詰まらせる
一体何を、そんなに言い辛そうにするのだろう…
彼は団長の尻拭いの言い訳や、元老達の丸め込みを日常的にさせられている程度には言語能力、理論展開能力には長けているハズだ
そんな阿伏兎さんが、何をこんなに考え込んで説明し辛い事があるというのか
…ほら……またソワソワして…話題を反らした
それ、本音じゃない
ここまで落ち着かなくなるなんて…
………もしや………浮気…?
てゆーか、この関係が嫌になった?
私の行動は多分いつも通りのはずだけど…それとも何かやらかした?
てゆーか………他に好きな人が出来た!?
そっちの方が濃厚じゃない?
とんでもなく美人でスタイル良くて性格も阿伏兎さん好みで夜の技も多彩で多才で…ヒィィィィィ!!そんな想い人が!?
阿伏兎 「ど、どうした冬窓床?」
『ぬななななんでもないデスよ』
阿伏兎「?」
こここここ怖いぃぃぃぃぃ!
でもありそう!
春雨の有能美人なんて知り合うチャンスがゴロゴロしてんじゃん!!
まさか この関係を辞めたいとか?光の速さで気が変わったとか!?
モテそうだもん、ええ、分かるよ、分かるけど…
切り出そうとしてなかなか言い出せないってそーゆー事!?
あわわわ嘘……
どうしようどうしようどうしよう
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彼目線
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どうしたものか、どう切り出したものか
思えば 冬窓床と ちゃんと体を重ねた事は無い…
いつも前戯でくたばってる情けないオッサンだったな
ここはやはり男らしくそんな雰囲気を出すも良し、面と向かって口説くも良しだ
しかし、この夜魔姫の事だ
下手を打つと事に及ぼうとした辺りで、
前回みたいに喘ぎ散らしたり、あまつさえアヘ顔を晒すハメになる…
失態だ
冬窓床に見られるだけの 失態ならまだしも
ここはホテルや宿じゃねぇ
筒抜けになる可能性すらある…
さすがに副団長の威厳が吹き飛ぶような無様は避けたい
ああモウどうすれば…
阿伏兎「……」
『あ、あの阿伏兎、さん…?』
阿伏兎「ど、どうした 冬窓床!?おま… 」
考え込んでいたせいで 冬窓床の様子が目に入っていなかったが
どうしたことか、今 俺の目に飛び込んできた彼女は 涙を眸いっぱいに貯めて 肩が僅かに震えている
『あ、あの…何をそんなに…考え込んでらっしゃるんですか?』
阿伏兎「あ?ああ…その…だな」
『ど、どんなお話でもちゃんと聞く覚悟は…できてます…』
阿伏兎「…あ、ああ…って、なんで泣き出しそうなの?」
『わ、私、阿伏兎さんの意見は…そ、尊重する所存で…ひック…』
阿伏兎「え?あ、あの…?」
『でもやっぱり、いざその時が来てしまうと、胸が…震えてしまって…ふぇ…』
阿伏兎「…ど、どうした…なんで涙を…」
困惑したものの 目の前で突然 尋常ならざる涙顔の 冬窓床の頭を撫でる
しかし抱き締めると 尚更その細い肩は震え、遂には泣き出してしまった
『わ、私、阿伏兎さんと離れたく………ナイ……………です………うっく』
阿伏兎「………え?」
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