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烈々布店長の裏(銀魂)
兎の遠出7/4日目([兎の香り]描写有り)
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阿伏兎目線
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ったく!
このスットコドッコイ

俺の酒 一気に空けやがって

パカスカおかわりしてんじゃねぇよ
調子に乗り過ぎだ バカ…


「ほら、部屋着いたぞ 冬窓床…おまえ いい加減にしろつったよなぁ…聞いてる?覚えてる?」


『えへへへへへへ うんー』


「…折角早く仕事ご終わったから 構ってやろうと思えばコレだよ…」


『ふえぇぇ?怒られてる?私!!』


「…」


そりゃな、無茶するからだ

ったく少し 洒落た時間を過ごしたいと思ったらコレだ
ささやかなオネガイだろう、女神様?罰は当たらない筈だと思うんだが



『やー!阿伏兎しゃん 怖いカオしないれ!カッコ良すぎる!だめ』


ダメだこりゃ
何言ってんのかわかんねぇ

ベッドに腰掛け赤い頬でコイツは



「もーいー!そんなワルガキにはお仕置きだ
今日は精気 抜きですー、あげませんー」


『ええええええええええなんでっ』


「人の忠告シカトでガンガン飲みやがって…普段飲まねぇクセに」


『だって…』


「急アル中で死ぬぞ?オジサンの言うこと聞けないスットコドッコイにはあげませんー」


『ぅぅぅ コレくらい平気だよ…私、お酒飲める年だよー』


目に涙を溜め睨んでくる


これはこれでかわいらしいが…


『ご飯…ちょーだい』


「…っ!」


この…抱き付き方…上目遣いであざとく甘えりゃイイと思いやがって
クソッ

ここで甘やかしたら
団長みたいになりそうだな


『阿伏兎しゃ…』


はだけた俺の胸に

呂律の回らない舌を踊らせ
ちゅ ちゅ

リップ音を部屋に響かせる


「━━━ッッ…!」



少し背伸びして 今度は胸の突起に目掛ける狙い

生暖かい湿りにじわじわ刺激されて その気になりそうだ
このまま流されそうになる
が…


「…そんなオネダリじゃ お預けだな」

少し強がりたい、ややこしい気分に浮かされる


『やーだ!』


本格的にツレなそうな この態度に焦り、俺の腰を掴んで遠心力でベッドに転がすと
ボスン、と体重に任せ倒れ込む


「…お手並み拝見といこうか…?」


「話はそれから…」


ぎゅ


「…」
『…』


言葉途中の 遮る抱擁
俺の身体の上、華奢な甘い香りがふわりと舞う



「…何だよ」


『阿伏兎…好き!』



えっと…なんだコレ
なんで突然呼び捨て?


『ずっとずっと前から好き』


俺の鼓動に 冬窓床の鼓動が重なる
胸と胸を合わせ、同じ目線の高さになった


『貴方に逢えて幸せになれたの』


胸の音はどんどん煩わしくなる
これは…真面目に聴かなきゃいけないヤツだろうが…この優しい誘惑に負けないでいられるだろうか…?



『この想いを伝えたら 阿伏兎さんは 私を突き放すかもしれない』


『でも それは優しいからって知ってるから
どんな言葉も答えも受け入れるよ』


少なくまとめられた言の葉の束に
見え隠れる 痛い位の本音


『けどね 今の私は身も心も阿伏兎さん無しじゃ生きられないの』


『団長に愛染香を盛られた時の……阿伏兎さん』


『あの時、私にくれた全部、忘れてないから。責任取ってね』


酒の力を借りなきゃ聞けない言葉、言えない言葉
追い詰めちまってた部分もあるかも知れねぇ

そう思っていたが、存外 主張も豪気じゃねぇか


「…ククク…ははは」


むずむず くすぐったい気分だ


『あれ…愛の告白 笑われた 』


「いや すまん…夜兎に責任とれ…か …あんたらしくて つい笑いが」


『そろそろ泣いていい?』


「冬窓床…俺は こんな仕事 こんな性分だ
幸せになんて してやる、なんて言えねぇや」


『知ってる』


「それでも……?」


『知ってるもん』


『何年片思いしてたと思ってるの』


「…片思いじゃねぇよ」



俺の上で身動ぎ のし掛かる

目を合わせた先に 薄く口を開く


「俺だって おまえさんに何年片思いしてたと思ってるんだ?」


『…………片思いじゃないよ』


どちらからと無く 唇が重なる


誓約など何も無い
しかし何かが ほどけたお互いの胸の内は
きっと似たような色をしていたと思う


何かが赦されて 溶け合った心の温度
擦り寄せた鼻が感じ取った香りはひたすら 優しかった



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『…ん…』



目覚めると



『?!』


ベッドの上
阿伏兎さんの腕の中に居た



『なっ…おっ?あっ!ぶ?』


「んー…お目覚めか?お姫様」


慌てて離れ 乱れ姿を確認する


『あの…えっと、昨日は…すすすすすみませんッッ…』


「…………覚えてるよね?昨夜のこと」


『あ、あはは…はい…』


「……」


『あ、あの すいません??』


「…もう…おまえさん、酒は禁止な……」


『えっでもでも、ギュッてして寝てただけじゃないですか、変にエッチな事してませんよ?』


「寝てただけじゃないですかぁ…?…じゃねーよ…ったく」


『ごめんなさい…阿伏兎さん怒らないで…』


「別にー 怒ってなんかないしー」


『う、迷惑をかけちゃ…』


「じゃねぇよ、そーゆーのいいからモウ。昨日確かめ合っただろ…お互いの…気持ちってゆーか、意識とゆーか、合意とゆーか………」


阿伏兎さんが頭をガシガシと 居心地悪そうに掻いている
何だか、照れ…て?る?


「こーゆーコトに慣れてる訳じゃないから、困らせちまうこともあるだろうけど…」


『は、はい』


「…冬窓床、俺の隣に居ろ……」


『………はい…!』


「…今日が地球の最終日だ 帰還準備しとけよ…」


そう呟く様に口にして、ゆっくりと私の肩を抱く


『あ…』


「船に戻ったら、ここまで二人きりの時間なんて 到底無いからな」


直ぐに体勢を変えて くるん、とお姫様抱っこに移行する
そのままソファーに腰掛けて優しく、ただ優しく髪を撫でてくれた


『阿伏兎…さん…』


「……昨夜は満たされた気分で眠っちまったしな…」


『私こそすみません…確かに、阿伏兎さんの腕の中、心地良すぎました』



いとおしい温もりに沈んで逝く静かな部屋

柔らかく、軟らかく 秒針のままに 甘い時間は進んで
この蕩ける微睡みの中、「絶対また遠征に付いていこう…無理矢理にでも!!」
そう固く私は誓ったのだった



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第七師団
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神威「お帰り、阿伏兎、冬窓床」


阿伏兎「団長ぉぉぉぉ…この短期間に3社の料理長、いびり出したんだって?」


神威「だって美味しくなくて高いんだもん」


『ははは…私の料理、そんなにお気に入りなんですね…怖いなぁ』


神威「うん、この1週間足らずはイライラしちゃったよ」


『じゃ…明日から頑張ります…』


神威「何言ってんの?早くおやつ作ってよ、その為の研修でしょ」


『あの私疲れて…』


神威「もう一度言うよ、おやつ作ってよ」


『あ、あぁぁぁぁあァ』


そして私は哀れにも、首根っこ捕まれてキッチンにズルズルと持ってかれてしまうのだ


「なんか、すまん…冬窓床…」


少し離れた距離で阿伏兎さんが呟いた

うん、大丈夫…阿伏兎さんが居てくれるから 私、頑張るよ…頑張る…



━━━
おまけ
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阿伏兎「(やっべぇぇぇぇぇ!!勢いで冬窓床とヤッちゃった事、言いそびれたぁぁぁぁ!!やっべぇぇぇぇぇいつ言おう……)」



end



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あきゅろす。
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