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烈々布店長の裏(銀魂)
兎の遠出6(甘)
━━━


『ただいま戻りましたー』


ドアを開き、開口一番
しかし返事が無い

靴はあるのに
まさかまたシャワーか?


少し覚悟して奥へ進む
しかしどこにも姿が見えない…

なので視線を落とし 耳を澄ませたら
ソファで眠る阿伏兎さんが居た

わぁぁぁぁぁ


寝てる!寝てるぅぅぅ

寝顔…カッコ良すぎる!
ハリウッド映画のワンシーンみたい!
この人は何してても絵になるなぁ…

はっ

毛布でも掛けたほうがいいのかな?
起こしちゃうかな?


起こしちゃう位なら…もう少しこの寝顔を目に焼き付けとこうかな…

写真欲しいけど…絶対起こしちゃうだろうしなぁ
パシャッとやっちゃえない歯痒さを噛み締めつつ
高鳴る胸を抑え、しゃがんで阿伏兎さんの顔を覗き込む


━30秒経過━


何してんだろ、私
こんなことなら写真撮れば良かったかな?
でも でも あともう少しこのまま…

ホント カッコいい…


「早くキスしないと目覚めちまうぞ?」


『ひゃあああああああああおはよう阿伏兎さぁん』


「ったく じろじろヒトの寝顔見詰めるなんて、あんたにも同じ事をしてやろうか?」


『へ?や、あの ダメです!!臓器が全部ドキドキの大爆発して死んじゃうぅぅぅ!!そんなことより お早いお帰りだったんですねぇぇぇ!?』


「案外はっきりダメって言うんだな…夕方には終わったんだ。冬窓床、飯は食ったのか?」


『真っ直ぐ帰って来たので まだです』


「じゃあ折角だ 上のレストランで食うか、軽めのドレスコード有りだ。用意できるかい?」


『は、はい』


━━━━━
━━━━━
━━━━━
レストラン
━━━━━



阿伏兎さんは 少しラフな上品な黒いチャイナ服
阿伏兎さんに合わせて 私も装飾着きのチャイナドレスにした

どうして夜兎ってチャイナなんだろ…民族衣装?

けどこれって 気を遣ってくれてるんだよね


なんか豪華な食事だし…


『いただきます』
「いただきます」


『あの…』「ん?」


『まさかこの料理を…覚えろって意味で…ここに連れて来たんじゃ…』


「ははっ…だったらどうする?」


『高い研修代になりますよ、一回じゃ覚えらんない』


「ははっ 何回来るつもりだよ」


阿伏兎さんとなら
何度でも来たって 飽きないよ…

でもお料理の味 ドキドキして分からないかも
ホントに何回か食べないと覚えらんなそう


なんて贅沢、言えないけど


「安心しな、ここの飯はまぁまぁだし 純粋にお前さんを連れて来たかったのさ」


サラッと嬉しい言葉で包んでくれる


『凄く嬉しいです…!ありがとうございます!』


しかし私がアペリティフを半分飲む間に一皿、二皿と平らげていく様は圧巻


これが本当の夜兎の食欲だとすると
つくづく私の作る量で満足しているのが嘘みたい


これは…食費が相当な物なんだろうな
神楽ちゃん1人とは言え銀さんも大変だなぁ
育ち盛りのエネルギーは凄いだろうな


万事屋の皆を思い浮かべた所で阿伏兎さんが口を開く

「おまえさん、そんな量で足りんのかい?」


『まぁ…後でメインディッシュは阿伏兎さんにお願いしますからねぇ』


ぶっ


「あ、ああ そうだったな…」フキフキ


阿伏兎さんは勢い良く吹き出して 少し困ったように頬を染め言った

し、しまった…つい


「あんた…たまに大胆だよな 言動が」


『え、あ、ヤダ!そーゆー意味じゃ!』


苦笑いさえ消え、恥ずかしくなって二人とも言葉を失う


そして ふと見詰め合う瞬間
お互いが胸をざわつかせていることに気付いて やっぱり沈黙は気まずいのかまた彼が口を開く


「なぁ…」


「よーぉ 阿伏兎じゃねぇか」


阿伏兎さんが何か言い掛けた瞬間
脇から陽気な声が聞こえて 現実に引き戻された


阿伏兎「おお…アンタか 久しぶり」


天人「相変わらずの食欲だな、おっと…お邪魔かな」


『いえ、続けて下さい』


[席を外しましょうか?]と阿伏兎さんに合図するが [必要無い]と返される


天人「こりゃまた別嬪さんだなぁ おまえも隅に置けなぇな」


阿伏兎「バカ言え、ボディーガードだ」


天人「そんなにめかし込んでか?」


阿伏兎「紳士の嗜みってやつよ」


天人「はぁん…最近も毛むくじゃらの別嬪さんといるのを見掛けたが、そんなナリじゃなかっただろー」


阿伏兎「毛むくじゃらだからだろ それにこの別嬪さんは…スペシャルなんだよ」


天人「かぁー お熱いねぇ、聞いたかい なぁ 別嬪さん」


『は、ははは…あの その』


顔に火が点いて 阿伏兎さんを見られなくなる


阿伏兎「ウチの団長が丁重にもてなせってぇお姫様だ あんま困らせんな」


天人「へえっ?あの神威が??そりゃまた見掛けに寄らずすげぇ女傑だったりすンのかい…まぁ今度の会議でまた会おうや、じゃあな」


一本調子の天人は去って行った
挨拶だけだったみたい


『お仕事の相手ですか?』


「まぁな…ちっ 色々ぶち壊されちまったな
気を悪くしないでくれ
団長を引き合いに出しておきゃ変な虫は震えて近付いちゃこねーからよ」


気遣ってメニュー表を手に続ける


「酒でも飲むか?おっと、弱かったっけ?それともデザートかい?」


『じゃあ…軽くお酒を貰います』


「そう来なくっちゃ」


勢いでつい 頼んでしまった
お酒弱いのに…アペリティフ飲んじゃったのに…

まぁ…少し酔うくらいのほうがいいのかも知れない…

お酒の力で開放的に饒舌になってみようかな…こんな夜に照れ過ぎていたくないもの


後悔する間もなく
直ぐにカクテルとデザートが来た


「ホラ」


グラスを傾け ニヤッと笑う阿伏兎さん
お酒とか 大人アイテムが似合うなぁ
眩しいからもう一度 カッコいいなぁってときめいて目を逸らす


『じゃあ…地球に乾杯』


キィン


「ははっ 冬窓床は地球の育ちだっけな」


『ええ…まぁ』


「懐かしいかい?」


『まぁ…町並みは変わってしまったみたいですけど…』


「そうか まぁ景色は移り行くものだからな」


『でも 素敵な人達に出会えました。お料理教えて貰ってたんです』


「ああ そっちの課題は順調か」


『まぁまぁです…そうだ、なんで私の料理を食べた夜兎さん達が お腹いっぱいになってくれるのかがわかりました』


「えっ」


『かくかくしかじかで』


「ええっ」


『えへへ 私の能力でした』


「へぇ…そんな事ができるのか…」


『狙ってした訳じゃないんですけど…だから…あの…阿伏兎さんの元気が許す時でいいので…』


「………」


『精…気を…もっと…ですね…』


やだな
顔 熱い…


阿伏兎さんも口を手で覆って…困ってる
どうしよ
声が掠れちゃう


『食ベさせて…くっください…ね?』


「ったく…可愛いオネダリだねぇ
そんなカオで頼まれちゃうとオジサン、手加減しねぇぞ?」


ひー!

なにこの会話!!やらしい!カッコいい!アダルト過ぎる!
もーだめ!


恥ずかしさの余り グラスのカクテルをグイと飲み干す


「あ おい それ 俺の…テ、テキーラ」


『ヒック』



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あきゅろす。
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