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烈々布店長の裏(銀魂)
兎の遠出/1日目(彼目線)
━━阿伏兎目線━━


『ご飯修行してくるので 地球に研修行かせて下さい』


なんて爆弾を投下した昼下がり 割とすんなり話は通りやがった

まぁ本日、喧嘩を売ったのは団長だからか
存外くるっと丸め込まれたような…


冬窓床のことだ、こういうプランをいつからか虎視眈々ジリジリと狙っていたのかも知れねぇな


『研修とは言え 怖いんで阿伏兎さんをボディーガードにしてください、だから 阿伏兎さんが地球出張の時とぶつけて下さって結構ですよ』


どんだけブッ飛んだ発想と厚かましさなんだ
隣で聞いてるコッチが気が気じゃない


冬窓床さん?アンタ 俺の前でネコ被ってんの?
俺なんかより団長にゴマ摩って取り入っといたほうがイイと思うよ、殺しちゃうぞされちゃうよ?

そうじゃなきゃ…

あ、わかった 団長、実は冬窓床の事好きなんじゃない?

じゃなきゃ こんなプラン許さないでしょ


「まぁ 良いだろう、今期 暇な時期だしね
他の食堂業者も気になってたし試してみようかな」


『あら じゃあその業者さんに負けないように切磋琢磨してきますね』


「腕が落ちたり結果が見えないとクビが飛ぶよ、両方の意味で」


『肝に命じておきます』


僅か 30秒程の会話の中に、合いまみえる龍虎が浮かんだよ

嗚呼…好きとか 絶対無いね…この空気。ピリピリ火花散ってるし


━━━
━━



「おまえさん、大丈夫なのか?あんなタンカ切って」


『えっ 短歌ですか?俳句も苦手だしなぁ、国語表現能力に乏しいから…』


「はぁ……期間は?滞在先は?どうするつもりなんだ」


『あら そんなの決まってるじゃありませんか』


━━━
出張日
━━━


「なんでだよぉぉぉぉぉ」


『はい?』


「なんで滞在期間びっちり 俺と相部屋なんだぁぁぁぁぁ!?」


『その方が安上がりだって団長が言ってました』


「あああああああ」


頭を掻き毟る
なんなんだ

冬窓床はそんなに旅行がしたかったのか?

どいつもこいつも俺に恨みでもあんのかよ…


『広いお部屋を取って下さったみたいですよ?』


「ああそう…俺は帰って寝るだけの部屋になるからいいや…」


もう 何を言っても無駄だと悟り 溜息と共に地球行きの宇宙船に乗り込んだ


━━━━━━


俺はお偉いさんやらとの幹部会や接待、挨拶、パーティーに出ずっぱりだ


冬窓床は…何をするか知らんが [修行]と主張出来るなら別に何をしていても良いんだろうな…
ホントに自由だな、羨ましいわ

この第7師団の胃袋を掴むってのは結構無敵なんじゃないだろうか

もしかして俺より偉いんじゃないの?

はぁ…
この4日間の滞在で どうなることやら


━━━
━━
━━
━━━━━━
ヒロイン目線
━━━━━━



やって来ました!
地球!!江戸だよ!わぁぁぁぁぁ
気分はすっかり観光客!!


周囲は皆着物姿、私は第7師団から貰ったあの黒装束…は目立つだろうし着るわけにもいかないので お馴染みのチャイナ服を着る


しかしこれは…意外と目立つかな…
いや、これしか無いしいいや

とにかく当初の目的を果たそう


私の目的、それは
この街で有名な万事屋さんにレシピを増やしてくれるように依頼する事!

お金を支払えば ちゃんと教えてくれるよね
あとは料理の本を適当に見繕っておけばいいでしょ


阿伏兎さん、つれないし…
怒ってるかな


私ちょっと強引だったし…


一緒の部屋になっちゃったからかな?

阿伏兎さん、ほとんど部屋に居ないらしいし、何より吸気しやすいと思うんだけど…


こうでもしないと一緒に居られる時間、作れないし…


━━━━


「今日の帰りは…そんな早くねぇから、この部屋に帰ったら先に寝てな」


━━━━


夜魔の秘密を打ち明けて 夜毎精気を貰ってるけど

なんか お兄ちゃん的心配症って感じか、義務感…みたいな雰囲気になって来ちゃった


まぁ…阿伏兎さんはきっと 師団の空気を乱す様なことはしない人だ


恋愛……に発展なんてしなそうだし
ここから踏み込んで良いのかも果たして良いのかわからないし


阿伏兎さんにその気はあるのかなんて
あわわわわ 聞けるわけもなく


気まずくなっちゃった時のほうがリスキーだし!
だから、このままの距離を保ちながら どうにか…せめて邪魔にならない所で見詰めていたいのです…

許されるときに、一瞬 隣に居られるだけで良いから……


あ━━━━━━考えたらおかしくなりそう!
恥ずかしいしもどかしいし恥ずかしい恥ずかしい!!


などと
アホな己と向き合っていたら ネットで調べた通りのあの看板が見える位置に居た


見つけた!!

其処に駆け寄る鼓動は速くなった


二階へ続く階段の軋みが耳に谺する
そよ風に背中を押され、恐る恐る押したドアホンの向こうから足音が駆けて来る


「はーい」タタタタ

ガラガラ


新八「あ…いらっしゃいませ、お客さんですよね?」


『は、はい』


新八「散らかってますが 上がって下さい、銀さーん お客さんですよー」


促されるままに 腰掛ける


銀時「いらっしゃいませ えーと 御用件はー?」


『あ、あの 私、冬窓床と申します
料理人を生業としていまして、レパートリーを増やすべく修行してます』


神楽「お茶どうぞアルよー」


『あ、頂きます』フーフー


銀時「なぁ 神楽、このお嬢さん知り合いとかじゃないよな?チャイナ服カブってるけど 偶然なんだよな?」


神楽「うーん 見たことあるような無いような生地ネ、どうせ偶然ネ」


『あ、あの それで レパートリーを増やしたいんです。レシピを紹介して貰ったり、お知り合いの料理人さんを紹介して貰ったりできないでしょうか?』


銀時「もっと専門の窓口に行ったほうがいいんじゃないの?専門学校とか、イタ飯屋でバイトするとか」


『それが…時間があまり無いんです、地球の滞在は4日間程のはずなので』


新八「僕達が教えられるものでも良いんですか?」


『はい!美味しく食べられるもので、私のレパートリーに無いものが良いです
一品につき、レシピ代金としてコレくらい出します
それとは別に、仲介して貰えた料理のレシピ代金はコレくらい、で…どうですか』


電卓を差し出しながら話すと


銀時「喜んで!」


さっきまで気ダルそうだった死んだ目が 生き生きと輝いている

ちゃらんぽらんな人そうだもんな、お金にもルーズなのかも知れない


いいんだ、貯金ならそこそこあるし 使い所も別段無いし

一応命が懸かってるし…


新八「お料理のプロが、何でまた 僕らなんかに…素人ですよ?」


『えへへ、私の雇い主がですね
「レパートリー増やして 腕を磨いて来ないと殺しちゃうぞ」
って言うんです…困りましたよね』


神楽「どっかで聞いたような台詞アルな」


新八「えへへじゃないですよ!最低の雇い主じゃないですか、困りましたよね、じゃないですよ」


『だから…金額にもあまり拘ってられないし、時間も無いし…形振り構ってられない部分もあるんです』


銀時「ふーむ、じゃあとりあえず あんたの力量を測ってやろうじゃあねェか」


『んと…何かお料理作れば良いんですか?』


銀時「ああ、うちの冷蔵庫にあるもんで何か作ってみなさい」


新八「ちょっと銀さん もしかしてアンタ」コソッ


銀時「ああ、ちょっと早めの昼飯にイイかなって」


神楽「さすが銀ちゃんネ バカと煙は高い所がなんとやらネ」


新八「神楽ちゃん、ちっとも意味分かってない言葉を なんとなく使わないでね?」


━━━
━━━
━━━

━━ちーん━━


銀&新&神「うおおおおおおぉぉぉ」


『…どう…ですかね』


銀時「ふ、ふん まぁまぁやるみたいじゃない!全然大したことないけどね!」パクパク


新八「銀さん、ご飯掻き込むその勢いじゃ説得力ありません!
てゆーか超美味しいです冬窓床さん!」ムシャムシャ


神楽「うおおおぉぉぉぉぉぉぉ私が作った卵かけご飯よりも味の宝石箱ネ!ご飯が進むネ!」モグモグ


『気に入ってもらえたみたいで良かったです』


新八「こんなに凄い腕前の人に僕ら、本当に何も教える事は無いんじゃ…」ムシャムシャ


銀時「クッ…では一子相伝の宇治銀時丼を」パクパク


神楽「ネコの餌アルな」モグモグ


新八「うん 要らないですね」ムシャムシャ


『(デンジャーな響き…うん、要らない)』


銀時「なんだよ、その無言の頷き」パクパク


神楽「ふふふふ ならば私の究極奥義!卵かけご飯
銀&新「いるかー!」



『(だめだこりゃ…てゆーか咀嚼音うるさいなぁ)』


━━━
━━



新八「えっと…本当に僕の料理なんかで良いんですか?」


『はい!なんか…お料理してそうですよね(そこの二人よりは)』


━━
━━
━━

━ちーん━


『わぁ このチャーハン、パラっとしてて美味しい!この煮付けも…新八さん 良いシェフになれますよー』


新八「あ、ありがとうございます」


銀時「新八、もっとレシピを提供しろ!おまえに掛かっているんだぞ!うちの家計は」


『うーん あとは抜きん出てイイなってお料理が無いぽいです…』


銀時「うーん…あとは仲介料頼みかぁ…思った程提供できる我が家のレシピが無かったな…」


━━スナックお登世━━


お登世「はぁ?レシピぃ?」


銀時「おお、2日程 ここで料理を学ばせて欲しいとか」


『よろしくお願いします!』ペコー


お登世「うちはスナックだから お通しやら酒のアテがメインだよ…いいのかい?」


『もちろんです!』


お登世「…チャイナ服ってことは神楽の親戚とかかい?」


『違います…(着替えを買って来ようかなぁ)』


━━━━


お登世「ちょっと銀時!なんだいあの娘!!」


銀時「えっ 何か粗相でも…」


お登世「とんでもない料理の腕前じゃないか!教えた事の吸収も早いし…何者なんだい」


銀時「詳しくは知らねえけど、商業用宇宙船の雇われコックらしい。レパートリー増やしの修行だとよ」


お登世「へぇぇ…2日と言わずもっとシェフとして居て欲しいもんだよ」


━━━━━


たま「冬窓床様、注文入りました」


『はーい』


お登世「冬窓床、ソレ作り終わったらそろそろイイ時間だね、上がっていいよ」


『え お店、少し人が増えましたよ?もう少し居られますよ?』


お登世「いいんだよ、あとは酒んだくればっかり増えてく一方さ
大して料理の味も解んない連中だよ
ずっと立ちっぱなしじゃないか、飯は食ってくだろ?」


『あ、ありがとうございます、じゃあお言葉に甘えて…(お登世さん 良い人だなぁ)』



━━━━
滞在ホテル
━━━━


はぁ…ちょっと疲れた
張り切り過ぎちゃったかな


でも仕方ないよね
万事屋銀ちゃんファミリー、みんな良い人達だもん
楽しくなっちゃった


お登世さんに教えて貰って作った 和菓子…阿伏兎さん、食べてくれるかな…



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