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烈々布店長の裏(銀魂)
三味線の寝言/河上(彼目線/甘)
部屋をノックする いつもの時間を知らせる音





『万斉さん、入りますよ』

「ああ、少し待って欲しいでござる」




副業である音楽家としての作業に手を付けていた所だった





『あら ごめんなさい、出直しましょうか?』

「此所で待っていてくれぬか、寝ていても良い」

『お邪魔にならないなら…本でも読んでますよ』



そんな会話をしたのが5分程前




今は安らかな寝息が 拙者の後ろのソファーから聞こえて来る





『すぴー…』

「…」


結構な速さで眠りに着いた…疲れていたのだろうか

早めに切り上げようと思った作業だが 急ぐ必要も無くなった



どうしたものか

この無防備なカオ






『ふへへへへ』

「!?」


不意を衝かれ声を掛ける




「…冬窓床?」

『…』


しかし眠っている様だ


『万斉しゃん…』


「…」


気になる




冬窓床の声、それだけなら未だしも

いつもと違うムードで名を呼ばれる
どんな姿で 拙者は冬窓床の中に存るのだろう




『可愛いねぇ』

「?!」





クスクスと鈴が鳴る様に笑う
こんな表情は見た事が無い

とゆうか!拙者 可愛いのか?可愛い?のか?


『万斉しゃ…なでなで』


ソファーに身体を預けたままの冬窓床の手が空を泳ぐ


何かを撫でる様な仕草
夢で…何かを撫でている?
拙者を撫でている!?


不思議な気分になるが近付いてみる


『おいでおいで…』

冬窓床の手は空を泳いだまま

どんな反応が返るのか気になる

顔を冬窓床に近付けてみた





『よしよし』

「…」


頬を撫でられている


手に感触を捉えたからだろうか 冬窓床の表情が一層明るくなった




そして 普段は 淫靡な空間でしか触れ合わぬから
こんなに穏やかに肌を確かめるのは初めてだ


女性らしい柔らかさの残る掌

もっと、
もっと冬窓床の旋律が聞きたくなった






そう感じると同時に ゆっくりと
彼女の唇に己のそれも重ねて居た


『…む…ンン』


安らかな呼吸が乱れ 甘い吐息が見えて隠れて


いつもの口吸いなら自分が乱れてしまい、余裕が無いが


どうやら 精を吸うという能力が発動しなければ 拙者はいつものように淫らに喘ぐこともないのか



そしてその能力は本人の意志有りきなのだろうか





『ん…らめ…』

唇から零れる言葉の切れ端
こうなればただのオンナか

しかし 尚更 そそる

気付けば 止まらぬ

冬窓床の口に吸い付いていた




甘い、甘い
脳髄が痺れる

結局、夜魔の魔力に魅せられ
オンナである冬窓床に魅せられ

囚われたまま


この小さな少女に





本来 寝込みを襲うのは本意では無い
が、
いつも こちらの精が尽きるのが先で 決して身体は重ねられぬ



何か 現状を打破する切欠が欲しいのだ



女々しいが 許せ
お主がそうさせる
お主の音が
拙者の音が




『万斉さん…ふふふ…』

本当に呑気なものだ

もう待ってはやらんぞ
拙者にしては好く辛抱したほうだ




既に冬窓床を覆う拙者の身体は熱を持った






『大…好き』むにゃむにゃ



万斉「」








なっ


っっっ!!


っっっ?



っっっ!







冬窓床…拙者を……??


いやいや

何故 頬が熱っぽくなる…

何故 落ち着かなくなった

何故 鼓動のビートが変でござるか


女性にその様に 告げられる事は慣れておろう




おかしい
手が震える

さっきまで その寝顔をぶち壊そうとしていたのに


躊躇われる


何故だ…






『万斉さん…すき…』



「」







もう少し…………待ってやっても良かろうか……




主が その台詞、ちゃんと起きている時に聞かせてくれる事を願って





end








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あきゅろす。
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