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烈々布店長の裏(銀魂)
甘い酒に仍りて━3
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土方目線
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一人 雑務を片付けに席を外していた俺は一段落したので 宴会場に来た

何か知らんが 一悶着あったらしいな

俺を見て隊士達が救世主でも崇めるかの様な勢いですがり付いて来て 説明を始めた


隊士「━━かくかくしかじかな事があって」
鉄之助「お 俺が悪いんです…」


土方「……♪…それは…総悟も悪ぃだろ。山崎は…とばっちりだな」


『だよねー ほらぁ 副長様が仰ってンぞー うぷぷ』


土方「………冬窓床はずっと こうなのか?」


鉄之助「はい…本当に酒に弱いらしくて…」


『うぷぷ 今度は副長が遊んでくれる雰囲気ですか?』


土方「…ほう…俺に挑もうってか。言っておくが女相手だろうが容赦はしねぇぞ」


『んー、鋭い目線 ホントカッコいいですね ドキドキしちゃうな』


いつもと違い過ぎる雰囲気の冬窓床に 確かに戸惑ってしまう


土方「あぁ?……ふざけやがって」


『勝負は何かな?やっぱり負けた方が勝った方の言うこと聞くってことで良いかな?』


土方「フン、俺に勝負を選ばせていいのか?」


『いいよ。さすがに副長は 年下の女の子(肉体的な意味)相手に変な勝負を提案しないでしょうし』


土方「」


隊士「マズイな」
「女である事を逆手に取った空気」
「これで副長は下手に自分の得意分野で挑めなくなったな」
「隊長…怖いっすね」


『夜も遅いし、シンプルにジャンケン、三回戦にしません?』


土方「なにっ」


「(確かに下手に勝負を挑んでもあの術でどうにかされて俺が不利だ…なら一層ジャンケンのが俺にも分があるか…)」


「いいだろう…」


『せーの、ジャンケン』


「ぽん」『ぽん』


土方「よっッッしゃ!」


『負けないぞー、もっかい…ジャンケン』


「ぽん」『ぽん』


『やったぁ』


「クッ負けねぇ!」『ジャンケン』


「ぽん」『ぽん』


『やったぁーーー』


土方「ぐぉぉぉぉこのパーがいけないのか!このパーめぇぇぇぇ」


『さて…じゃあ何をお願いしよっかな〜わぁいわ〜い』


土方「チッ…テメェのそのアヤシイ技の試し撃ちしてぇんじゃねぇのかよ」


『…じゃ、そーします』


土方「いや、違う要望があるなら是非そっち優先でいいからね。むしろ そうしない?」


『いや じゃあ、1週間禁煙か禁マヨネーズにしようかなー?』


土方「ぐぉぉぉぉぉぉぉ」(葛藤)


隊士「だめだ…副長、ジャンキーで馬鹿だから」
「だめだな…副長」
「うう…勝てねぇのか、鬼の副長でも…」


『えへへ まぁいいじゃないですか、技の試し撃ちなら 一瞬ですよー』


そう言って対峙していた冬窓床は
酒臭い身体に不釣り合いな、妖しい笑みを称えて数歩近付く


『失礼しますね』


土方「チッ…」


公衆の面前で、ジャンケンとは言え 副長が約束を反故にするなんざ 示しがつかねぇ

どうせ一瞬だ……俺は覚悟を決めて 身構える


「トゥウィッッ!トゥウィッッ!」


後学の為に経験しといてやらぁ、クソッタレ


『…』
「…」


土方「何だ?何ともねぇじゃねーか…」


ぴと


俺の頬に 遠慮がちに触れてくる冬窓床の手に背筋が震えた


ゾクリ


小さな柔らかい掌に 得体の知れない感覚を覚えたんだ


『痛くないですよー』


ニコリと無邪気に笑う 整った眼


この笑顔は俺のために存在したのか…なんて 思った瞬間
自分がおかしくなっている事に気付く
突然沸き起こる妙な思考に困惑する

しかし容赦無く 冬窓床の指は頬から首へと滑り込んでくると


土方「…ッッ」


じわりじわり 熱くなる
《もっと下、もっと下に》と 彼女の指先を求める俺の肌


『スカーフとか邪魔なんですけどぉ?』


土方「…取る気は無い」


波打つ欲望に 少しでも抵抗してやる

吐息を律して冬窓床を見据える


隊士「スゲー 平気みたいだぞ」
「さすが副長!」
「一生付いていきます!!」


隊士達にはそう見えているようだ


いつも通りにポーカーフェイスを気取り冷静を纏う


しかし 気を抜くと別のモンまで出しちまうんじゃないか


上半身から媚薬をひっかぶったみたいだ


『えい!抱き抱きギュー』

土方「!」


ふざけた甘え声に抱き締められた身体

素直な体温が余計に沁みる

不意に顔に熱が上がり
顔を背けてしまう


『照れないで 副長、私の体温、感じて欲しいな』


目なんて 向けてやるもんか
この…クソ…

慌てて顔を逸らす

そうじゃなくてもこんな面


『私 こんな時じゃないと、土方さんに触れられないんだよ』


クソッ………なんて狡い言葉なんだ

ずっと触れたかった、とでも言うのだろうか

俺に興味があったとでも


おまえは俺の事なんて…上司以上に思っちゃいないだろう…?


自分から寄って来ねぇ、自分の事を話さねぇ、心を開かねぇだろう?

ずっとずっと、ずっと


俺に心を寄せていたから、それが出来なかった、とでも言うのだろうか


やめてくれ


意識してしまうだろ


この熱がそうさせるのか?


なんてズルい女


同じ女なのにアイツとは偉い違いだ


クソッ こんな事 考えたくも無ぇ!

アイツもおまえと比較なんざされたかねぇだろ

おまえも知らない女であるアイツなんかと比較されたかねぇだろ


いつまでも記憶の片隅に存在し続ける姿を誤魔化し誤魔化し、眉間にシワが寄る


ってアレ
真剣に考えてたら 熱が逃げて行くんじゃねぇの?


『副長…別の事、考えてる』


土方「へっ そ、そんなこと無いし」


冬窓床がニヤリと
何かを見透かした様に笑う


『往生際が悪いですね…けど 野暮な事は言いません』


俺のベストの上から顔を埋める


『人は誰でも ある程度、誰かに縛られているものだから』


そして 胸の突起に歯を立て


土方「ッ…あッ!」


なんて不意討ち

こいつはエスパーかなんかなのか?
俺の顔になんか書いていたか?


その舌先で湿る部分から一気に毒が回って来た


土方「…ふ…ぅ…ァ」


おまえに 何が分かる
何が判る
何が解る


知ったようなクチ訊きやがって


そう 悪態をついて

歯を食い縛り 必死に抑えつける渇望


土方「上等だ…コラ…そんなに…ヤられてぇなら…拷問室に来やがれ」


『副長、目に涙浮かべて言う台詞じゃないです』


目の前を チカチカさせる
ベストのシミが俺の理性を侵食していく


土方「クソッッ…テメ…生理止めてやっぞ コラァ…」


『ヤダ、えっち』


ふざけたように俺の局部を腹で小刻みに押して来る


クソッ…こんな柔らけぇ圧迫でこみ上げて来そうだ…俺もヤキが回ったな


抵抗を諦めた途端
波状に押し寄せるのは 幾重にも重ねられた
とてつもない快楽だった


土方「ヒッ…ん……」


引き釣る睾丸、あとはどくどくと もう止まらない射精に戸惑った

何度か身震いして
虚ろな目を律し
早く、呼吸を整えなければいけない

それなのに そのまま俺は倒れ込んでしまった様だ


性交渉はともかく、自慰すら疎かにしてきた身体だ
こんな愛欲の申し子に勝てる訳あるか、と

突っ込んだ後の祭り


『おやすみなさい、副長』


優しげな笑みを讃えた冬窓床を見て、見物していた隊士達が逃げ出した


隊士「ひぃぃぃぃ」
「逃げろぉぉぉ」
「副長がヤられだぞぉぉぉぉぉ」
「餌食にされちまうぞぉぉぉぉ」
「みんな逃げろぉぉぉ」
鉄之助「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」


ドタドタ…


『餌食って何よー 失礼だなぁ』


ポツンと残された冬窓床は 屍と化した山崎と俺を肴に鬼嫁をクイッと煽った

確認したその様を最後に、俺の意識は闇に溶けていった


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