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烈々布店長の裏(銀魂)
河上/プロローグ2

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冬窓床目線




今日の任務も暗殺である
そろそろアサシンと呼ばれてもおかしくないくらいには仕事をこなしている


江戸にて
支援者と会うのだが、この「支援者」は鬼兵隊の情報を売るスパイだ

今日は宴会と称して 制裁を下す事が私の任務




いつもと違うのは 河上万斉さんが一緒について来るということ



なんて遣りづらいんだろう…
私が、こんな魔性であること…知られたく無いのに



万斉「何か考え事をしている様で悪いが、来たぞ」


『あ はーい…』



今は任務に集中しないと



着飾った私が愛想を振り撒き、この部屋で油断した男共を万斉さんが切る…
数時間後には血の海になる手筈だ



少しがやがやと 部屋の外が騒がしくなり
すっ、と戸が開く


取引先1「やあやあ、こんばんは河上殿」
取引先2「待たせてしまいましたかな」
取引先3「良い月ですなぁ」

かくして 宴は始まる



取引先「鬼兵隊に こんなに美しい女性がいらしたとはなぁ」
「事務経理ですかぁ、その細い指には筆も重たいでしょう」
「いや本当に美しい」



万斉さんと少しはミーティングでも進めるのかと思いきや

持て成し仕様に着飾った私とばかり絡みたがる
これだから オッサン共は


呆れた疲弊はおくびにも出さす
精一杯の笑顔を振り撒く



そんな重みの無い笑顔に誘われ 男共は頬を緩め
酒も手伝って 物事の境目が模糊になる


つまり先程から 肩先が当たっていたオッサンの手が馴れ馴れしく触れてくるのだ

身体を擦り寄せて 手を撫で腰を撫で


万斉さんは何も言わない
酒を少しやっている

そろそろ頃合いなんじゃないかなぁ…

万斉さんの合図を待ち、ジリジリと迫るオッサンらに耐える



万斉「それでは」

来た…!!


「拙者は少し用事があるので席を外すでござる、御仁達には申し訳ないが、まだまだ宴をお楽しみあれ」


ええええええええええええ


パタン、と 襖を閉じてしまった


マズイ

取引先「冬窓床殿の手は白魚の様な」
「ほれ、まだまだ酒はある」
「ささ、ぐうっと」



コイツら想像通り 私を酔い潰して何かしら目論見があるのだろう

目の前から番犬が居なくなったもんな、

お預け食らってた駄犬が涎を垂らしている



困った事に 彼らは 私の魔気に充てられた様で
鼻息荒く盛ってらっしゃる



更に困った事に 数日間、[食事制限]していたせいで 私も涎が口を潤して困っている


酒を飲みながら彼らに触れ続けていたこともあり、生体エネルギーをちびりちびりと吸ってしまっていたのだろう


さて困った困った



いつもの様に 干からびるまで吸えない

粉になるまで 絞り尽くせない





きっと 万斉さんは今、この時も見ているのだろう

私が
どうやって始末するのか
ちゃんと始末するのか
どうやって死体を消すのか




見せる訳ないでしょ
鬼兵隊に 居られなくなるのはイヤだもん




高杉さんには
『私の他に同行者を付けたら、屍喰いはしない…死体は残してきます』


そう言ってある

どうせ敏い あの男の事…屍喰いの正体は分かってるんでしょう


問題は、どう この場を凌ごう



……………うーん………

どう考えても サッとこのオッサンらを片付けて、ここを早々に立ち去った方が手っ取り早い


そう決めた矢先




「おっと 手が滑った」

『ひゃッッッ』

オッサンの手がわざとらしく、臀部を撫でたのだ


驚きから出た声であるものの

エネルギーをちびりちびり吸っている故に
本能が [餌]を煽る声を導くのだ




私自身も少しだけ悦楽を感じてしまう


全く厄介なシステムだ




ほら、オッサンらの顔色が変わってしまった





「鬼兵隊たっての冬窓床ちゃんのおもてなしの気持ちはとても良く伝わったよ」
「そうそう、おじさん達は理解したよ」

生臭い囁く声




何を理解したと言うのだろう
自分に都合良く解釈したらしい


オッサン達は滑稽なので微笑みを崩せないままに、帯に忍ばせた太刀を踊らせた





「ぐっ…ブ…」
「うわぁぁぁぁ」
「ひぃ…」


くるりとターンして 円を描き、オッサン二人の首を掻き切る


『おもてなしの気持ち…です』

「なっ、これは…ど、どういう」


万斉「貴殿が見廻組と通じているのは確認済みでござる」


「ひぃぃぃぃ!河上万斉!」


『万斉さんたら、席を外すんじゃなかったの?』


万斉「[鬼兵隊たっての]等と形容されるのも些か不愉快でござるし、
下卑た鼠に この屍の姫を睨め回されるのもやはり気持ちの良いものでは無いでござる」



「ひ、ひぃぃぃぃ」


最後のオッサンが走り出す瞬間 万斉さんの一振りが弧を描いた



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あきゅろす。
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