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烈々布店長の裏(銀魂)
午後の夢境の続き━土方(微裏)
最近
縁側での短いお茶会が続く


口付けの寸止め事件からは幾分か時間も経ったが
お互いに気まずい雰囲気は無く、しかし触れ難い事柄である タブーの様な扱いで 俺は何となく口に出来ず

しかし俺達はここに居る


休憩がてら 甘い物とマヨネーズと
何やらアマい空気に癒されている自分に気付く

待ち遠しくなってきている、この時間

短い この時間

[短い]と感じてしまうなど 俺らしくない……

気付かれない様、
悟られない様、
その表情を盗み見て

この女が 何を見てるのか、
何を思うか、
盗み読み


全然 俺らしくは無い、本当に俺らしくは無いおかしなムードが包み込む


またマヨネーズをスイーツに厚く掛けて
この胸のざわめきと共に頬張る


『そうだ、このマヨネーズ 舶来物なんですよ』


冬窓床が差し出した見たことの無いメーカーのマヨネーズ


『使ってみませんか?』


「へぇ 珍しい物じゃねぇか いいのか?悪いな」


マヨネーズ博愛主義としては試さない手は無い、と
二個目のタルトにたっぷりと掛けて ガブリと往く


『良い食べっぷりですね』

『ときに副長』

『画期的な天人用の自白剤が開発された様なんです』


「へぇ」


『地球人にもそこそこ効果があるらしく 一定時間 嘘がつけなくなるとかで即効性も悪くないんですって』


「副作用なんかは大丈夫なのか?」


『少し熱っぽくなる程度だとか』


「そりゃ画期的だな」


『で 副長、熱っぽくなってきましたか?』


「」


はあああぁぁぁぁぁん?


「てめーコノヤロー一服盛りやがったのかぁぁぁぁぁぁ!?」


『いえいえ、実はですね
とりあえず効果を実証してみたいとゆーことで 人権に乏しい副長が試してみるのがいいんじゃないかって』


「ぁぁぁぁぁん?」


『沖田隊長が言ってました』


「総悟かよぉぉぉぉぉぉ」


俺にも人権はあんだろ!

てゆーかハニートラップかよ!

総悟ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!


混乱する俺を見て冬窓床は何だか楽しそうに見える…


『さて副長、これから尋問を開始します』


「ああん…?」


『副長、と 土方さん、どっちで呼んで欲しいものでしょうか?』


「土方さんでお願いします」


『わかりました』


あ あれ 俺今…

なんか素直に思った事が口を衝いた

ええええぇぇぇぇぇぇ


ちょっとこれマズイってなんだこれ嘘がつけなくなるってこーゆーこと?


『土方さん、お菓子はおいしかったですか?』


「…」


なんとか喋らなければ…余計なことを考えなければ大丈夫なはず…


『土方ぁ、お菓子おいしかった?』


「旨かったけどぉ?いきなり失礼な口調だな」


冬窓床はニタァと 笑い


「とりあえず質問には答えて貰えるんですね…メモメモ、と。ありがとうございます」


ダメだ

考えてることがスルスルと口を滑りやがる…


『ときに土方さん』


『貴方は今 好きな人が居ますか?』


土方「!!」


はぁぁぁぁぁぁのんだよその質問んんんん
ヒミツの森のヒミツちゃんに決まってんだろぉがぁぁぁぁぁぁ


『…土方さんは好きな人、沢山いるんじゃないですか?局長、沖田隊長、山崎さん…ね?土方さん
かけがえの無い仲間ですものね?』


「!…ああ…そう…だ…」


このアマ…からかってやがるのか…


『私のことは…好きでいてくれてますか?』


土方「」


思わぬ直球に胸が跳ねる


そんな質問、
わざとらしい ワンクッション置いた、
イヤらしい質問なのに


そんな上目使いで
そんな微笑みで

底意地の悪い……


「おまえのことは…好きで…いる…」


顔から火が出そうだ
もう…勘弁してくれ…


『うれしいな…ねえ、土方さん…』


冬窓床の手がそっと俺の頬を撫でる


『嬉しいので土方さんにキスをしたいです。
したなら、土方さんは怒りますか?』


土方「は…?」


『怒りますか?』


だめだ


「べっ べつに」


口にしては


「おっ怒らねぇし…」


いけない


「おまえの事…」


こいつの思惑に


「嫌いじゃ…なく…て…」


頬を染めるな


「む…むしろ」


そっと塞がれる寸前の唇


熱に支配される 俺の感覚
薬の副作用だけじゃないはずだ


触れ合う薄皮の果実、唇
感じた吐息に世界が止まる


ピチャ…と口内に
跳ねる水音が 谺する一瞬


『そんな顔して』


『これじゃ、足りないんですか?』


どんな顔をしているのだろう…
酷い表情なんだろうが
堪らない


「足り…ねぇよ」


刹那
彼女の顔を覆い
唇を貪る


譫言の様に名前を呼ぶ

吐息で喘ぐ


俺の知らない俺


いや 気付かなかっただけか
少し前に気付いていたか


どちらにしろ、欲しい


首を傾けて反らされる
揺れる瞳が挑発する


『土方さん…私の事好きなんですか?』


「…好きになっても良いのか?」


『手遅れです…ね、そして』


冬窓床の手が、唇が首筋に滑る


『お薬の効果は切れちゃったんですね?』


擽られ 膨らむ想い


「どうかな…副作用が止まらねえ」


『副作用…どんな気分なんですか?』


下唇をなぞる


「微熱と」


絡める視線に息が詰まる


「独占欲」


薫る女の匂いにクラり

上着を脱がされ抱き締められて

早鐘の様に胸が鳴る


「…あッッ…」


首筋にカジりつく
辿る肢体
マトわり付く肌


刹那
股間を膝で持ち上げられる


『鬼の副長にも こんなグロテスクでロマンチックなモンが付いてたんですね』


「…おまえだって似たようなモンだろ
覚悟しろよ」


━━━ガラッ━━━


沖田「おーい土方ぁこの書類やっとけって近藤さんが」


ー俺もヤキが回ったかー


思春期のガキでもあるまいに

邪魔が入ったくらいで情けない


暴れ倒して喚き散らす


『まぁまぁ副長』


肩を撫でられて


『』ゴニョゴニョ


耳元 囁かれた睦言に すっかり宥められ


宵の約束
やれ 待ち遠しい


閨に灯る火のお伽噺は又
別のハナシ


end

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あきゅろす。
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