☆銀魂の小説(夜兎組/長編)
寝言
いつもの通り 俺の 広くは無いベッドで隣に眠る柔らかな寝息の主が
魘された泣き声で目が覚めたんだ
『うぇ…阿伏兎さんのそぉゆー所が…きらいなんですー』
え
何何何
俺のどーゆートコだよ…
『そーゆー所がきらい』
確かに俺は出来た男じゃねぇことは解ってる
戦バカ、根っからの戦闘狂、オンナよりケンカ
そんな風に言われて来たし それはこの血の性分で 自覚もある
って 今更そんなのキーキー抜かす様な女じゃねぇよな…
俺に寄り添うには物分かりの良すぎる女だと思う コイツに、それはそれは無理や我慢をさせている事だろう…
だから尚更気になる
そんな 紫竹に「きらい」と言わしめる俺の部分
余程だろう
夢に見るまでに
一体どんな事なんだ…
━━━
━━
━
阿伏兎「なぁ 紫竹… 」
『どうしました?』
阿伏兎「おまえさん、今日はなんか 夢を見てた?」
『え?夢…あ、えっと…阿伏兎さんの夢、見ちゃいましたよ』
思い出し、少し恥ずかしそうに俺を見る
可愛らしい仕草だが、俺の内心はそう穏やかでも無い
阿伏兎「へぇ、どんな夢だい?」
『……えっと…』
『……その…』
…………そんなに言い辛いの?
まぁ、俺の嫌いな所が出て来る夢だしな
━ピピピピピピピ
その静けさを破ったのは 紫竹のキッチンアラームだった
『あー!!お米が炊けました!!ごめんなさいちょっと行って来ます!!』 バタバタ
阿伏兎「…」
俺は彼女への不服は無いから
気付かなかったのかも知れん
なんだ、どこだ、俺の嫌いなとこって…何だ
━━━
━━
━
阿伏兎「よぉ 紫竹!さっきの話なんだが…」
『あっ 阿伏兎さん 』
阿伏兎「なっ!危ねぇ!!」
『え?うわぁ!!』
棚の上に積み上げられていた荷物がグラついてた
重そうな段ボールがバランスを崩し 紫竹の頭上に墜ちる前に
棚と彼女の間に入り込む
阿伏兎「大丈夫か?」
『は、はい…あ、ありがとうございま…』
阿伏兎「ど、どうした?そんなに怖かったか?」
『ち、違うんです 今日の夢、思い出して…』
阿伏兎「夢…」
キター!その話が聞きたかったんだよ
『夢の中では銃撃戦で…私を庇って、阿伏兎さんが敵に撃たれちゃうんです』
阿伏兎「……」
『私なんか庇った所為で…阿伏兎さん、ぐったりしちゃって…私、私…』
その流れからの 「そーゆー所がきらい」発言だったのか
まぁ 紫竹が言いそうなこった
阿伏兎「俺が体張って守ったお姫様の事を[私なんか]なんて言わないでくれよ」
『阿伏兎さん…』
阿伏兎「俺は 口より体が先に動いちまうタチだからよ…仕方無ぇだろ」
『……でも、私の代わりに銃弾を浴びるのは止めて下さい…』
阿伏兎「おまえさんの銃弾に負けないタフさが育ったらな」
『分かりました…修行します、それで強くなります…』
阿伏兎「修行って…何すんだよ…」
『い、いろいろ!』
阿伏兎「ほどほどにしとけよ…」
『でもねでもね、その後 死んだフリして 私の様子をニヤニヤして見てたんですよ?…そーゆー所はちょっと嫌いかも…って』
阿伏兎「」
『オチャメなのは良いんですが、死ネタは勘弁して欲しいんですよ…
夢の中の阿伏兎さんてば めちゃくちゃニヤニヤしてたし』
阿伏兎「…おまえさんの中の俺、そんなんなの?」
『え…あ、まぁ…私の夢ですもんね…』
阿伏兎「ねえねえ、おまえさんの深層心理での俺、そんなんなの?」
『うーんと……いや、たまにそーゆーイタズラ?みたいな引っ掛け、阿伏兎さん やるじゃないですか』
阿伏兎「オジサンを振り回して、悪いコだ。ちょっとこっち来い」
『うわわわー!?わ、私 悪くないですよー!?夢の中の阿伏兎さんがね?』
end
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