[携帯モード] [URL送信]
お題・何だかんだで/土方(百合描写有り)
天人の薬のせいで女体化してしまって
薬の効果を消す為には主とキスしなければ元に戻れないってゆー、都合の良い展開
土方篇


━━━
━━



屯所中に響いた、ニコチン上司の低めの声
数秒後、輪を掛けて響き渡る声でゲラゲラと嘲り笑う ドS王子の声

駆けつけた近藤さんと私は 世にも奇妙な風体のX子さんに遭遇する事になる


近藤「うっ!?トシ!?どうしたのソレ?」

『えっ?トシって……コレ、副長なんですか?!』

土方「指差してコレとか言ってんじゃねぇよ、 聚楽 」

沖田「ヒーッヒーッ、あー苦しー…ぷっ、ぷくっブヒャヒャ」

土方「総悟!!てめぇ誰のせいでこうなったと…」

沖田「天人から差し押さえた薬品を無用心に弄くるからですぜィ」


三つ編みおさげの背の低めのぽちゃぽちゃした彼女の眼光と声は、そのものズバリ土方さんだ

確かに…このコントラストは絶妙に笑いのツボに…ぷぷぅ、ふふふ『ぷくっ』

あ、ヤベ 変な笑いが出…

土方「てめぇもかぁぁぁ! 聚楽コラァァァァァ!」

『ひゃはははーんスミマセンスミマセン!わざとじゃ…』

近藤「ま、まぁまぁトシ 直ぐに元に戻れるんだろ?」

沖田「処方箋には…何々?投薬した者の本来の性別から 異性にあたる者の唾液摂取により…あー」

土方「唾液?」

沖田「接吻しろって事じゃないですかィ」

近藤「接吻!!?」

沖田「土方さんの本来の性別で、異性にあたる者って事はつまり、女性じゃなければいけねぇって事ですよねィ?」

『……………嫌な予感』

近藤「屯所で、女性ってったら…聚楽… 」チラッ

土方「ちょ、ちょっと待て!い、今は女同士じゃねぇか!そ、そんな…」アセアセ

沖田「何言ってるんですかィ 土方さん…本来のアンタの性別は男なんだ、全然問題無いじゃねぇですかィ」

『わ、私の意思はどうなるんです?』

近藤「うむ… 聚楽は 女の子…これは重要な決断だと思うが」

沖田「甘ったれてんじゃねぇや… 聚楽 アンタ言ったよなぁ?真選組に入ってスグ位に」

『う…』

沖田「[松平公への恩を返す為にも、命を懸けて任務に励みます]、[女性隊士だが、オンナだからこそ出来る事もあると思います]と」

『ぐぬぬ…』

沖田「命を懸けて身を投じに来た奴が接吻くれぇでビビってなんかないですよねィ?それに丁度、今が、[女性隊士だからこそ出来る事]なんじゃないですかねィ?」

『あーもー!!解ったよ!分かりましたぁァァ!オラ 豚足!こっち来い!』グイッ

土方「ぐぇ!お、お前ッッ…」

『何が悲しゅーて太ったメス土方にキスしなきゃいけないんだか…』

近藤「ちょ! 聚楽!そ、そんなに嫌ならいいんだよ?他の方法も有る…グム!?」

沖田「近藤さんは黙ってバナナでも食ってて下せぇ」


何か言い欠けた近藤さんの口にバナナを突っ込み、ドS王子はドス黒い嗤いを浮かべている…

もういいや、ちょっとチュッとするだけ、
こいつは土方じゃない、ただのハムよ、
こいつは上司の土方じゃ…


土方「お、お前…」

『黙って…ぬ!?』


いざ キスを…と、彼女(?)を近付け 目を合わせたのが失敗だった

輪郭さえ視界に入らない程顔が近付けば、土方そのまんまなのだ


『…!!!!!』

土方「…?」


途端に顔が赤くなってしまう

副長も顔を赤らめていたけど、少し怪訝な顔付きになってしまった

どうしよう
悟られる前にさっさと…


沖田「ロケットパーンチ!」

土方「どわ!?」

『んぶっ!?』


沖田隊長の妙な体当たりにより、押された副長がバランスを崩した

有ろう事か
私の唇に、副長の唇が重なった


近藤「わわわわ!?そ、総悟!!」

沖田「怖じ気付いてたみたいなんでね、ちょっとした優しさでさァ」

『こ、こ、この!ボケナスドSぅぅぅ!』

土方「あ…」


そこには いつもの スラリとした、切れ長の眼をした少しヤニ臭い副長が居た

『あ…戻…』

近藤「トシ!良かったな!!」

土方「近藤さん…」

『よ、良かったですね…』

土方「ッッ…お、おう…」

『か、感謝して下さいよ!お姫様のキスでデブの呪いが解けたんですから!』

土方「お姫…自分で言うか…」

『何です、文句でも?』

土方「…いや、感謝はしてる…」

口元を指先で覆い、彼は目を逸らして 呟く様に続けた

土方「礼は…今度な」


もうそんな副長を見て居られなくて パッと反射的に顔がそっぽを向く

すると去っていく沖田隊長の背中が見えたので 追いかける


『沖田隊長…別に私じゃなくても、キスすんのって、食堂のおばちゃんとかでも良かったんじゃ…?』

沖田「へっ…それよりコッチのが面白い絵になったじゃねぇですかィ…ま、あそこでセクハラ云々ガタガタ騒がなかった分は褒めてやりまさァ」

『食堂のおばちゃんとキスする土方のが面白いんじゃない?』


そう返すも、歩みを止めずに何処かへ行ってしまった

きっとまた昼寝にでも消えたのだろう

沖田隊長らしくない…
何だか、お膳立てされたみたいで気持ち悪いけど


後日、沖田隊長発であろう 私とX子のキス写真が出回る羽目になったので、彼の目論見は成功したのだろう…

殺す…!


end




[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!