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烈々布店長の裏(色々詰め)
武士と惚れ薬2

かつぶしまん「……んー…」

『…どうしたの?』

かつぶしまん「いや、何だか……」


何だろう?何か………変な感じ

思ったリアクションと違う。そう思ったので 彼の表情を覗き込めば、目が合った


かつぶしまん「……フラウちゃん…」

『な、なんか 顔、赤いし 汗かいてない??』


まさか…まさかばいきんまんが作った惚れ薬、失敗作で 毒性があったとか!?
しまった!
考えナシだった…そんな自分を呪ってももう遅い…!!


かつぶしまん「フラウちゃん…!!好きでござる!!」


『…え??』


かつぶしまん「フラウちゃん……」


『え、え…??あ…』


かつぶしまん「フラウちゃん、拙者は…フラウちゃんの事が……堪らなく…」


彼の強い眼差しが私を射抜く
私の手を握り、熱っぽい唇が 色味を増す


薬が毒物である疑惑は一応払拭された
だが、胸騒ぎがまだ残る


フラウ「抱きたいで…ござる………」


━━━ねぇ ばいきんまん、惚れ薬ってゆーか媚薬じゃない?

思ってたのと違う…


かつぶしまん「いや………フラウちゃ、ん!に、逃げてくれぬか……」

『かつぶしまん!?』

かつぶしまん「拙者から…逃げてくれ……!!」

『かつぶしまん!!あなた、大丈夫…??』

かつぶしまん「今の拙者は……どうにかなってしまっている……」

かつぶしまん「フラウちゃんに、絶対に酷い事をしてしまう!!は、早く…離れて…」


━━━その時私は、気付いた
なんて事をしてしまったのだろうか


かつぶしまん「フラウちゃんに、拙者の欲望をぶつけて…しまう…」


私利私欲の為に、ばいきんまんの薬を利用したの…


かつぶしまん「くぅ………いっそ、殴って、気絶なり させて欲しいでござる!」ハァハァ


かつぶしまんに叱られるべきは私なの…


『ご、ごめんね かつぶしまん…』

かつぶしまん「フラウちゃんが、謝るのは おかしいでござる…」

『私、ばいきんまんのくれた薬を、ジュースに入れたの…振り向いて欲しくて…』

かつぶしまん「(ははぁ……純粋そうなフラウちゃんのことでござるから、ばいきんまんに騙されたのでござろう)」

かつぶしまん「大丈夫…拙者、分かってるでござ、る…」ハァハァ

『え?』

かつぶしまん「フラウちゃんの、純粋な、気持ち…だから ばいきんまんにそそのかされたのでござろう」


そんな…かつぶしまんは私の想いに気付いてたの?
私がかつぶしまんに抱いてた気持ち…
そして ばいきんまんに作って貰った惚れ薬を、そそのかされたって勘違いして…


『違うの、ばいきんまんは悪くないから…悪いのは私で…』

かつぶしまん「(ばいきんまんを庇うなど…フラウちゃん…)」

かつぶしまん「フラウちゃんは、優し過ぎるでござるよ…」ジロ

『え…??』

かつぶしまん「お人好しでござる…」

『いや、お人好しはかつぶしまんのほう…』

かつぶしまん「……ほら、早く 拙者から、逃げて……」グラ

『え…』


途切れ途切れに吐息交じりの声で 私に注意を促すが、その身体はこちらに倒れ込む

抱き止めたが、かつぶしまんの体重は男性的で身動きが取れなくなった


かつぶしまん「……(マズイでござる…フラウちゃんに抱きついてしまっ…)」

『かつぶしまん、大丈夫?』

かつぶしまん「……!!」ドキドキ


かつぶしまん「(フラウちゃんの、肌が、温もりが触れて…)」


『かつぶしまん…』


かつぶしまん「(あ……ぁ、その声も…熱を誘う…)」


私に凭れたかつぶしまんを抱き締めて、ジリジリと木陰に移動する
その間 彼は 荒い呼吸を誤魔化すように、咳払いをしたり 頭を掻いたり、落ち着きが無い

どうしよう、この薬の効き目はまだまだあるし…


『かつぶしまんの、楽な体勢とかある?どうしていたら 負担は少ないかな?』

かつぶしまん「こ、このままで…大丈夫でござる…」

『え?立ったまま 私に凭れてるの…疲れないの?』

かつぶしまん「変に…身体を…動かすよりは……良い……
(フラウちゃんの匂いも、心地良いし…)」

かつぶしまん「フラウちゃんが、嫌じゃなければ 許して欲しいでござる…」

『嫌なわけないでしょ…ああ…どうしよ…』


困り果てた私は、彼の肩や背中をさすり撫でることしか出来ない


かつぶしまん「う………!」ひくんっ

かつぶしまん「(フラウちゃんの手……拙者の背中を撫でさすって…)」


『かつぶしまん…』


かつぶしまん「(ダメでござる…フラウちゃんは、拙者を心配してくれて、背中を撫でてくれているのに…)」

かつぶしまん「(こんな…よこしまな想いを…抱いては…ダ、メ…)」ハァハァ


『(そうだ!毒性を…中和出来れば…!!)』

『(いや でも、この惚れ薬の材料が何なのか分からないし…下手なものをかつぶしまんに与えるのは良くない…)』


かつぶしまん「く…(でも……このよこしまな想いに、フラウちゃんは気付いているわけでも無いのだから…少しくらい甘えても…いや、いかん…!)」

かつぶしまん「(くぅ…こんな、こんなおかしな感情を抱いてしまう拙者は…)』


『(いや………待って!前に私、どんな傷や病にも効果を示す薬を作ったはず…!!
そんな強くないものだけど…)』

『(アレは………ポシェットにあるかな?)』ゴソゴソ


かつぶしまん「(しかし……フラウちゃんになら…もっと試されても……)」ぶるっ


『かつぶしまん!私、解毒剤になりそうな薬を今、持ってる!』バッ


かつぶしまん「へ…??」


『以前作ったの!どんな傷や病にでも ちょっと効果があるの!コレを飲んで!』


かつぶしまん「え?フラウちゃんのその薬を飲めば、この…熱は どうにかなるのでござるか?」


『う、うん 多分…ちょっとは楽になると思う』


かつぶしまん「……(フラウちゃんに触れて、こんなに…ドキドキする感覚が、薄れるということであろうな…)」

かつぶしまん「それは…(何か………勿体無いというか………喪失感があるでござる…)」


『どうかしたの?』


かつぶしまん「いや…(もう少しこの感覚を味わって、ドキドキの正体を確かめたいのだが…)」


『あ…やっぱり不安だよね…元々 私が毒を盛ったワケだし…ごめんなさい!』


かつぶしまん「いや、そうではなくて…」


『信用出来ないかも知れないけど、私…こんな辛そうなかつぶしまんを見てられない!どうか、この 解毒剤を 信じて…』

『わ、私の事 もう顔も見たくないと言うのなら 遠くに行くから…これだけ、お願い…』ウルッ


かつぶしまん「」ドッキ…ン

かつぶしまん「そ、そこまで言うなら…フラウちゃん…」

かつぶしまん「(マズイ………フラウちゃんの下がり眉に 潤ませた瞳など見たら おかしな事を口走る……)」

かつぶしまん「(止めておけ、拙者はかつぶしまん!武士であろう!!そんな事はいけない…けど…けど…)」

かつぶしまん「その解毒剤とやら、く、口移しでなら…飲むでござる!」


『え…………く、ち??』


かつぶしまん「(しまった!!!とんでもないことを口走った!!!)」アセアセ

かつぶしまん「い、いや フラウちゃんが嫌だと言うなら 無理にとは━━」アセアセ


『(そうか 惚れ薬の熱に浮かされて こんな事を言ってるのか…仕方ない)』

『良いよ』


かつぶしまん「え!!い、良いでござるか!!」ドッキン


『うん…手持ちの解毒剤は少ないから 確実にかつぶしまんの口に入れたい所だし…しっかり 飲み込んでね?』


かつぶしまん「わ、解ったでござる!」


『屈んで、私よりも身長を低くして…』


覚悟が決まれば指示は早かった。

かつぶしまんを膝立ちさせ、私が屈み 彼の口に 口移しで 解毒剤を流し込む、そんな作戦を説明する。


素直に彼は膝で立ち、顔を上げると その凛々しい顔が 赤面していることが伺える


あー………こんな形で あなたとキスをしてしまいたく無かった……


ダメだ
ホントに私…バカだな
もう遠くに引っ越しちゃおう……


そんな決意を胸に、一口分の解毒剤を 自分の口に入れる。

出切るだけ私の唾液が絡まないうちに、かつぶしまんの口内に運ばなければ…と 彼の表情を見ずに その頬を両手で持ち上げて
唇と唇を接合する


かつぶしまん「!!!」ビクゥ


私の口内の解毒剤を 彼に流し込む。
肩や腰など 震わせるものの、受け入れ態勢の彼は すんなりと受け入れてくれる

舌に残る解毒剤も、彼の舌に絡めて 飲み込ませることが出来ただろう。


かつぶしまん「ん…!!ン!ぅ…」ビクッン…


『ん………どう?』


かつぶしまん「あ、ぁ……スゴいで、ござるぅ…」


『な、何が?ちゃんと解毒剤は飲めた?』


かつぶしまん「の、飲んだで ござる!」


『そ、そう…良かった…』


かつぶしまん「(スゴい………口付けでござるなぁ………)」ポヤ…


『こ、これできっと 身体は楽になるはずだか、ら…』


かつぶしまん「………楽に、ならなかったら どうすれば良いでござるか?」


『え? 多分楽になるよ…??惚れ薬が中和されて、平常通りになって…』


かつぶしまん「いや、その……フラウちゃんはお医者さんみたいなものであろう?なら、ばいきんまんの薬の後遺症などがもしあれば また、解毒剤とやらを処方して貰えないでござるか?」


『いやいや、ばいきんまんの薬は一回飲んだら一度切りの効果だと思うよ?
継続的に飲まないと、効果は継続しないはずだし…』


かつぶしまん「いや!何と言っても あのばいきんまんの薬!しばらく油断は出来ないのではござらぬか?」


『え?えー?まぁ確かに、あのばいきんまんの薬ではあるけどさ…まさかー…』


フラウ「フラウちゃん、お願いでござる…拙者を助けて欲しいでござる…
完全に、ばいきんまんの薬の効き目がなくなったのなら 安心するから…」


『う……そこまで言うなら…分かったよ…良いよ?定期的に健康診断、しよう』


かつぶしまん「おお!!それは頼もしいでござる!!」


『えー…本当なの?』


参ったなぁ
今回の件が気まず過ぎて、もうどっかに引っ越そうと思ったのに……

ちょっとだけかつぶしまんの健康診断する期間出来たみたい……


━━━
━━


━━━
彼目線
━━━


先程の口移しの、甘いこと甘いこと

フラウちゃんの口内から流れて来た薬は 最初ひんやりとしていたが、彼女の体温を帯びた唾液も
するりとこの口に入ってきた。


踊る舌に、拙者の舌な巻き付かれた時には 滾った下半身に電流すら走った。

ちゅうちゅうとフラウちゃんの唇を吸うのは なんと強い 刺激でござろう

フラウちゃんの唾液、体液が 拙者の口か、食道へ 入って行ったときには 拙者のとろけた精が 数度脈打った。

本射精では無い

粗相というには充分である


ダメでござるな…
拙者、ここまでフラウちゃんに溶けてしまうとは
いやはや………
口付けまで…これは責任を取らねばならぬ、よな…


とは言え、ばいきんまんに騙された彼女だが 拙者に毒薬を盛ってしまった罪悪感もあろう

今 変に交際を申し込んでも断られるかも知れない……
なので もう少し、拙者がフラウちゃんに本気であることを解ってもらわなければ!
そしてこのかつぶしまんのアピールポイントを知って貰わねば!!
ようし…エイエイオーでござる!


end



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