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烈々布店長の裏(色々詰め)
is this Prolog?(裏無し)
始まりは、有りがちな光景だった

パン工場に向かう途中、道に迷った私を案内してくれたのが彼だった。


カツブシマン「拙者もジャムおじさんの所に行くところだったので 丁度良かったでござるなぁ」


『本当に助かりました。ありがとうね カツブシマン』


カツブシマン「なんのなんの!ところで、フラウちゃんがジャムおじさんに届ける、ルンルンキャンディとやらは一体どのようなものなのでござるか?」


『ああ、これは お薬の一種なの。一粒食べたら 半年 風邪を引かない…所謂、予防薬なの』


カツブシマン「なんと!予防薬とは…フラウちゃんはお医者さんでござるか?」


『お医者さんではないけど、お家では薬草を育てて お薬を作ったりしてるよ』


カツブシマン「ほう!凄いでござるなぁ」


『カツブシマンにもあげます。道案内してくれるお礼にどうぞ』スッ


カツブシマン「おお これはかたじけないでござる」パク

カツブシマン「………む、美味しいでござる!」


『お口に合って良かった!薬っぽくないでしょ。だから小さな子供でも食べてくれるの』

カツブシマン「なるほど!賢いでござるな」


ほのぼのとそんな会話を弾ませていたら、お腹を空かせた子供に出会った。


「では拙者のソバをご馳走するでござるよ」


彼は優しくそう言うと、馴れた手つきで瞬く間に、手打ちソバを披露した

良い薫りに誘われ、私もお呼ばれして 見事な味に 皆で舌鼓を打った

その後、ジャムおじさんのパン工場に到着し 楽しい時間を過ごしたのだ。


どんな偶然か、こんな風にカツブシマンと会う事が2,3日置きに続いて 彼の人となりが分かってきた

正義感の強い誠実で優しく、強い人だと思った。


私の仕事も手伝ってくれたり、パン工場のお手伝いもしたり…良い人だった。

真っ直ぐな眼差し、凛々しい横顔
恋に落ちてしまうことに 時間はそうかからなかった


このときめきを 臆せず伝えられたら良いな…なんて思っていた

━━━━彼が彼女の前に立つ迄は


カツブシマン「マキちゃん!」

鉄火のマキ「久しぶりだねぇ、カツブシマン!…このお嬢さんは?」

『私は…フラウといいます。宜しくね、鉄火のマキちゃん』


こんな初対面の挨拶のシーンだったけど、カツブシマンの表情を見て…
何となく、悟ってしまった

優しく彼女を見詰めるキラキラした瞳、
嬉しそうに 細い肩の彼女の名前を呼ぶ声

何かが音を立てながら崩れたような気がしたけど、身動きも出来ないままで
ただ 呆然と佇んだ

それは一瞬だったんだけど
とても長く感じた一瞬で━━━

私が見たことの無い彼が、其処には居て
遠く、遠くに感じた。

こんな気持ち━━━何て 言えば良いのかな
こんな 気持ち……かと言って、力任せに誰かにぶつけてしまうほど身勝手にもなれない

何かをしてあげることが出来るのは、私や誰かでは無いんだ、
彼女だけなんだ…なんてことも、唐突に理解した


沈んだ気持ちを抱いて、今日は美味しい紅茶とケーキを食べよう…

そう、予定は決まったハズだった


━━ハヒフヘホー━━


カツブシマン「あの声は!」

鉄火のマキ「ばいきんまん!?」

ばいきんまん「むむっ!鉄火のマキちゃんにカツブシマン…!!俺様にソバと鉄火巻を作れぇー!」

カツブシマン「なんでござるか!」

鉄火のマキ「誰があんたなんかに!」


そうこうしてるうちに、バトルが始まってしまった。
命令口調で、突然ワガママを言われたら 誰だって気分が悪いよ…
ばいきんまんは、相変わらずなんだから…


ばいきんまん「お前なんかこうだ!」バッ

鉄火のマキ「わぁ!!しまった!捕まった!」グググ

カツブシマン「マキちゃん!」

ばいきんまん「カツブシマンには…コレだぁ!」ニャー

カツブシマン「ぎゃー!!ね、ねこぉぉ!?」ビクゥ


ばいきんまんが取り出した、猫の張りぼてオモチャで カツブシマンが取り乱す。
えっと…アレが怖いの?


カツブシマン「拙者 猫だけはぁ…猫だけはぁ!苦手でござるぅ!!」ブルブル


あ 怖いんだ…そっか…
と、少々驚いたけれど、主戦力の二人がピンチに陥ってしまった

仕方なく 私は、ばいきんまんに声をかける


『ばいきんまん!その辺にしておいたら?』


ばいきんまん「ん?な!!お前はフラウちゃん!!」


『あ 気付かなかったの??あー 帽子のせいかな?』


ばいきんまん「くぅ…俺様 フラウちゃん、苦手なんだよなぁ」ボソ


『知ってる知ってる。聞こえてるよー。
でも久しぶりに会えたんだから、邪険にしなくても良いじゃない』


ばいきんまん「うるさい!馴れ馴れしくするな!!」


『馴れ馴れしくするよ?だってホラ、私は今、ルンルンキャンディを 持ってるよ!』


ばいきんまん「何!!ルンルンキャンディ!?」


『カツブシマンと鉄火のマキちゃんを離してあげたら、このルンルンキャンディをあげるよ?』


ばいきんまん「何ぃ…うーむ」


『要らない?』


ばいきんまん「むむ…良いだろう、さっさと寄越せ!」


『二人を解放するのが先だよ』


ばいきんまん「くっ……これで文句無いだろ!」ポイッ


鉄火のマキ「おっと」ストーン


カツブシマン「わぁっ」ドシン


『ちゃんと優しく降ろしてあげてよ』


ばいきんまん「早く寄越せ!」


『…どうぞ』ポイッ


ばいきんまん「ふんっ!今日はここまでにしといてやる!」キャッチ


━━ハヒフヘホー━━





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