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☆クラシカ口イドの小説(短編)
攻受を決めないと出られない部屋/バッハ
[攻受を決めないと出られない部屋]



「ここは…?」


『どうやら…いつかの様に…また迷い込んでしまったみたいですね』


「そうか…またルールに従えば脱出できそうだね…」


『ま、まぁ そうですね…』


「しかし どういう意味だ?攻受??」


『あ、あの』ゴニョゴニョ


「……………ん?つまり…………君と…私が??」


『は、はい…そう…しなければ脱出できないと思われます………』


「そうか…君が嫌では無いのなら 実行しようと思うが…大丈夫かな?」


『え?は、はい…』


「では…失礼…」




そう呟き 大きな身体が 私を抱きしめた

両の腕はとても優しく包み込んでくれる

(暖かい…)
あまりの居心地の良さに惚けてしまう



『…』
「…」




が いつまでもいつまでも この体勢から動かない
…もう少し待ってみるか?








…30分経過…






いやいやいや
何で何で?


『あ、あのバッハさん…ずっとこのままの体勢…なんですか?』


「…疲れたかな?腰を落とすかね?」


『い、いえ…そうじゃなくて…』


「??」




どうしよう
これは多分 状況をよく理解してないのか、
攻受ってのをよく理解してないんだろうな…

ここは 私が 出来るだけムードを壊さないように…なんとかしたい




『バッハさんの…腕、大きくて 暖かいで…す』


「そうか…」


『(会話が…もう続かない…なんか照れちゃうし)手…下さい』







バッハさんの右手を 胸元に抱きしめ 頬を寄せる


「!」


『この…優しい手が大好きです、あの大好きな曲を織り成す…』


「田歌 …」


『また…どうか…歌わせて下さいね…貴方の奏でる 音と一つになりたい…』


「君は…いとおしいな」


『え??』


「この空間に来てから、私に不安を感じさせまいと 健気に気を使っている」


『いえ、そんな』


「きっと 私が今がトライしている脱出方法も上手くいっていない
違っているかもしれない、だが 私に恥をかかせまいと 君は何とかしようとしている」


『う…』(ちょっとだけバレてる)


「君が…口にし難い事が クリア条件なのだろうか…それに気付けない自分が情けない…」


『え、と…いやあの』


「許してくれ…」



何だかちょっと違う勘違いをされているみたい


わぁぁ また強く抱き締められて…!
これじゃ脱出できないよ…


いやいっそこのまま この空間で暮らすとかエヘヘ…
いやいやそうじゃないでしょ私






「田歌 」


あれ バッハさんの顔が 近い…


唇が…







チュ


額にそっと触れた




チュ


今度はこめかみ


チュ


目の下に



チュ


今度は顎に



「田歌 …」






とても切なげな目で また向き合って 名前を呼ぶ




ねぇ、 いっそ唇にしてください…






顔を手で覆うが 赤面は見られてしまった


何も言わず、貴方は静かに微笑み、頭を撫でてくれる




心臓bee cool、ほっぺた bee cool
ドキドキし過ぎて身体も揺れてるよ 私
沸騰しないで 血液






そんな私の様子が確認されたのか 機械音声が判定完了を告げた




「ん?何だ??扉が開いたのか?」



ああ もうこの人ヤダ



「また脱出条件は[キス]だったのか?」


小首を傾げないでよ、可愛いよ…
天然だ…天然天然

もうどうしよう


end



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あきゅろす。
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