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☆銀魂の小説(真選組/長編)
マヨネーズと電車
『ふぁー…やっと座れたぁ…』


土方「おい、だらしねぇぞ 仁和」


『だってー、パトカー出払ってて徒歩だったしー』


土方「メンテと出動が重なったんだ、運が悪かったな」


『帰りでやっと電車とか…せめてハイヤーお願いしますよぉ』


土方「ブツブツ文句ばっか垂れてねぇでピッとしやがれ」


『ブツブツ…ピッ♪』


土方「おちょくってンのかお前はぁ…」


『もーヤダ 土方さんとお話してるくらいならちょっと寝ます。着いたら起こして』


土方「はぁ!?お、おい…」


『…』


言い終ると 仁和は 目を閉じて俺の肩に凭れ掛かってきた

ふわりと舞った 甘い髪の香りに一瞬動揺する


『あー すいません、鬼の副長さんにこんな恐れ多い』


わざとらしく スッと離れ、仁和の反対隣に座る乗客の方を見て


『おじ様、ちょっと肩に凭れ掛かっても良い?』


乗客「えっ、ぼ、僕ぅ?」


土方「一般人に絡むなあぁぁぁぁ!!」ボカッ


『ぬあぁ……痛ぁぁぁぁ』


土方「乗客に…迷惑掛けるくれぇなら、俺に…凭れる事を、許可してやっから…」


そう言って この肩をポンポンと叩くと 彼女の大きな瞳に俺が映る


『…いらない』


土方「あぁン!?このやろ、人が折角…」


『こうさせて』


土方「…!」


俺の腕に静かに 仁和の腕が絡む

座席側に潜り込ませた腕は重なっても、乗客側からは見えない


『あったか…』


呟く彼女 言葉が出て来ない俺

数秒して、規則的な呼吸が 体温と共に伝わると
さっきより控えめに 凭れ掛かって来る 柔らかな体重を感じた


土方「…ったく…」


乗客も疎らになってきた
これくらいなら まぁ…………………許してやるか


頭を掻き、そう思った時だった


向かいの座席に座る、見覚えのあるだらしの無い銀髪と目が合ったのだ


土方「…」


銀時「…」


土方「…」


銀時「」パシャパシャパシャパシャパシャパシャ


土方「16連写で写真撮ってんじゃねぇよ!!クソ白髪!!」


銀時「あー?良い気なモンですねぇ 税金ドロボーさん。昼下がりから 電車でご帰宅ですかぁ??デート帰りですかぁ?」


土方「んな訳あるかァ!!こちとら公務だ!」


銀時「はっ 知ったこっちゃねぇけどよ。ペッ、ペッ」


土方「くそったれが…」


ろくでもねぇヤツに ろくでもねぇトコを見られちまったモンだ


銀時「おーおー…スヤスヤ良い寝顔だこと」


土方「見せモンじゃねぇぞコラ」


銀時「よっぽどコキ使われてるんですねぇ、女の子なのに大変ー」


土方「女だてらに突っ込んだ首だ。コイツもそれくらいの覚悟くらいあンだろ」


銀時「トンでもねぇブラック企業発言だな」


土方「そもそもテメェにゃ関係ねぇだろ!」


銀時「関係…?あるさ。クライアントだもの」


土方「あ?」


銀時「おめぇらの無能さを相談されたり、憂さ晴らしに付き合ったり、ウチで鍋をつついたり…」


土方「…クライアントっつーより ただのナカヨシじゃねぇか」


銀時「…なぁに?妬ける?」


土方「あァ?何で俺が…」


銀時「…オニのフクチョーさん、輪を掛けて眉間にシワが寄ってるけど」


土方「…てめぇの面が目の前にあっちゃ 自然の摂理ってモンだ」


銀時「ふぅん?」


土方「…」


銀時「健気なモンだねぇ」


土方「あ?」


銀時「あんな男所帯でイチャつける場所も無ぇ。かと言ってお前さんは誘いに乗っちゃ来ねぇ。仕事で組める時くらいなんじゃねぇの…そんな風に甘えられんの」


土方「…!」


銀時「健気な女の子が好みなの?」


土方「うるせぇ」


銀時「銀さんなら構ってアゲるつってんのになー」


土方「…それは…コイツが…決める事だろ…」


銀時「おっと…自信満々ですこと」


それから 一駅が過ぎて
野郎は降りてった

フラフラと やる気の無い、生気の無い面下げて


俺の隣、仁和はまだ眠っている


土方「……自…信…」


そんなもの


土方「あるワケ……」


無ぇだろ


心の声さえ、表に出す事も容易く無いというのに


彼女の心をつなぎ止めておく 魅力も約束も有りはし無いままで

また、側に居てやる勇気も無い
笑顔を守る勇気も無い
満たしてやれる勇気も無い

こんな臆病な俺には この寝顔すら勿体無い


end

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