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☆銀魂の小説(真選組/長編)
Hold me tight


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彼目線
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強気な夜に、抱き締めた肩が
思いの外、壊れてしまいそうで その名を呼んだ

この真選組でやり抜く為の、それなりに鍛えている筋力を感じるが 性差が余計に際立つ。


『土方さん…』


うっとりとした、俺を呼ぶ声が 耳に響くと こっちまで 微睡み、沈みそうになった。


『もっと…』


だが状況に躊躇はせず
俺は仁和の耳を噛み 熱っぽい声で、また名前を呼んで
彼女を内から揺さぶり、
身体中の柔らかさを堪能していく


唇を押し付けて
粘膜の音
指先に操られて溶けそうだ
吐息で叩く肌

性を思い知らされる
刺激し合う眼差し
体を重ねて、甘く甘く…

どこまでも、波に乗って突き進む
もう止まれない感覚



━━━━━━━━「!!」バッ


そこで 目が、醒めた


「…!!」ハァ、ハッ、ハァ


荒い、俺の息遣い


起きてから、今しがた見た夢の
キワどさに 淫靡さに、乱れた胸が 呼吸を崩す


俺は、夢で
[何]をした?
[誰]を抱いて…

…………いや、止めよう
思い出すな

こんな、こんな夢を見るなんて………
俺は どうした

どうした…??


朝日の射し込む部屋の中
囀ずる鳥の鳴き声も、耳に入って来ない

そんな間隙
ぽつり、と 想いが零れそうになる


「(あいつに惹かれてんのは…)」


ぐっ、と 拳を握って


「(否定出来ねぇんだよな)」



布団の皺、一点を見詰めるも
脳裏にフッと、浮かぶのは 仁和

微笑む 顔だった

悪びれもせず期待させる笑み
落ちてしまいそうになる雄のサガと静かに戦わなければならない━━━


魔の囁く、美しい微笑みだった



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━━



山崎「副長、どうかしましたか?」


土方「あ?いや…別に…」


山崎「マヨ切れですか?ヤニ切れですか?一休みしましょう」


土方「………おう…」


参った

仕事中だってのに…

今朝見た夢が 頭にチラついて 落ち着かねぇだなんざ
言えねぇ
中学生かよ

こういった時は 変に否定なぞしねぇで 山崎の提案に乗っかっといた方が面子も保てるってモンだ…

頭を整理する為に ファミレスに入って オーダーを終えると 山崎が午後の予定を語り出す


山崎「じゃあ この後は仁和
さんと見回りに行って下さいね」


土方「」ブフォッ


山崎「前に攘夷浪士が出没するって通報があった所ですよ。角の茶屋の近くの」


土方「あ、ああ 言ってたな…」


マズい…こんな心持ちで仁和
に会うのは
気まずい…し、落ち着かねぇ…


『ちわーす』


土方「!?!?」ビクゥゥ


山崎「仁和
さん、もう来たの?」


『午前の仕事、思ったより早く終わったから。あと あんたらが見えたからタカりに来たよ』


土方「総悟みてぇな事言ってんじゃねぇよ!!」


山崎「まぁまぁ…相席しましょう」


『わーい』


自然に突っ込みを入れられたのはまずまず…
しかし気マズ…いや
気にすんな、土方十四郎

クソッ たかだか夢じゃねぇか
ガキじゃあるめぇし…

乱されるな 動揺すんな…


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━━



ファミレスを出て、山崎とも別れると 仁和と二人になった

彼女は襟元を直すと 口を開いた


『さて、聞き込み調査 軽くやっておきますか』


土方「この辺りは攘夷浪士出没の疑いがある地域だ。隊服のままで良かったんじゃねぇか?」


『名の通ったヤツを追ってるんですから、隊服じゃ警戒して尻尾を出しませんよ』

『どっちみち ジミーが応援要請しやすい態勢をとってくれてるし、探りを入れておきましょー』


案外ヤル気になっているらしい
隊士としての自覚がやっと育ってきたってか?
部下の熱意に水を注すつもりは無いので
俺は仁和と、連れ合いを装い 周囲の聞き込みをすることにした


茶屋のおばさん「その人なら、2日前に見たよ」


『本当?』


茶屋「でも[明日には転勤先に引っ越すんだ]って言ってたから もうどっかに行っちまったんじゃないかねー」


『えぇー マジですか…』


土方「…振り出しだな」


『ちぇーっ マジかー』


土方「もう動いちまった後だったな」


『タイミング悪い………ん?』


土方「一応このことは……って、おい!!」


『土方さん!!今の人見た!!??探してたヤツ!』


土方「追うぞ!」


数メートル先に 重要参考人の人相と一致するヤツがいた。

弾かれたように踵を返す仁和
が 今、俺の手を引いた


刹那的にすうっと あの夢が頭を掠めるが
任務、仕事、職務…
冷静になれ 追ってたホシが 手の届く範囲に現れたんだ

仁和の横顔に眼を奪われてる場合じゃねぇんだよ


土方「………」


『無口だね?』


土方「い、いや…」


落ち着け
言葉に詰まるが…


また意識しちまうだろうが
いや、俺は何も…やましい事など無ぇ!
平常心平常だ心!!


仁和に引っ張られて 少し歩くと 重要参考人の男が周囲を気にする素振りを見せた


土方「隠れろ」


咄嗟に路地裏の暗がりに潜って
息を潜めた俺達に、男は気付いていない様子だった





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あきゅろす。
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