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NOVEL ROOM
悪夢
次の日

教室 4限目終了後

仁「たく、なんで土曜日まで学校に来なくちゃなんねーんだよ!」
窓から外の景色を眺め、両隣の仁と隆に愚痴を言う。
隆「まぁ、いいじゃん。もう終わったし」
‘ポンポン‘と仁の左肩を軽く叩く。そんな話をしているとドアの向こうで麻菜が呼んでいるのに気づき、行くと、麻菜の横に雛が立っていた。
雛「あ、あの・・・よかったらこれからドコかに行かない?」
面と向かって言ったのが恥ずかしいのかすぐにうつむいてしまう。
仁「悪い、今日はちょっと無理だ」
雛から視線をずらし、窓の外を見ながら言う。
雛「そ、そう。じゃあ、明日とかどうかな?」
外を見ている仁の横顔をみながら言う。
仁「ごめん、無理だ。また誘ってよ」
結局、雛とは一回しか視線を合わせず足早に教室に戻って行った。麻菜は‘また今度誘いなよ‘と、落ち込んで教室に戻っていく雛を見送ると、仁や隆と話している蓮を手で‘チョイチョイ‘と呼び出した。蓮が来ると早速、不満をぶつけた。
麻菜「ちょっと、どうなってるのよ!何であんなにそっけないわけ?」
‘ズイ‘と蓮との距離をつめすごい剣幕で迫った。
蓮「い、いや・・・俺に言われても・・・」
いきなり迫られ、動揺してしまう。隆と話ている仁をチラッと見ると続けた。
麻菜「アンタ達、友達でしょ。そんくらい聞きなさいよ!」
蓮「・・・」
黙りこんでしまう蓮を見て、‘フー‘と一呼吸置くと今度は声を小さくし話を続けた。
麻菜「これは、アタシの女の勘だけど、アイツ好きな娘いるでしょ?」
自分と考えが同じなので一瞬ビクッとしたが、表情には出さなかった。だが、麻菜は蓮の目が泳ぐのを見て‘やっぱりね‘とつぶやいた。
麻菜「相手はあの留学生ってとこでしょ?」
麻菜の睨みに耐えかねたのか、自分の意見を言う。
蓮「好きかどうかはわからないけど、惹かれていると思う・・・」
‘やっぱりね、見てりゃわかるもの・・・由江もうすうす気づいてるし、アイツ見すぎなのよねー‘と少し下を見ながら言う。
麻菜「とにかく。雛を傷つけたら許さないから。二股なんてしたら・・・殺す」
迫力に圧倒されながらも‘仁はそんな奴じゃないさ‘と言う。
麻菜「そうね・・・あ、先生来たわ」
蓮が後ろを向くと先生がこちらに来ていたので二人はさっさと教室に入った。そう、話を聞いていた雛が自分の教室のドアにもたれながら悲しい表情をしているのに気づかずに・・・。

夜 

仁の部屋

部屋に来るなりベッドに仰向けに倒れこんだ仁は考え事をしていた。
>仁 あーあ、本当に俺は恋をしてんのかな?確かにあの日以来、意識しているけど・・・くっそー、わかんねー!!
そんなことを考えている間に仁は深い眠りにおちた。

蓮の部屋

>蓮 仁の奴、どうするつもりなんだろうな。まぁ、今日の麻菜の雰囲気はやばかったな・・・
外を見ていた蓮の目には月が雲に覆われていくのが見えた。

二日後

2限目の体育で疲れたのか、仁は雅人の授業中凄まじい眠気に襲われていた。
>仁 ヤベー、マジで眠い・・・
3分後仁の耳にはすでに雅人の授業をする声は届いていなかった。

仁「ん・・・」
仁が起きると教室には誰もいなかった。
仁「アレ?みんなは?」
教室を見回したが誰もおらず、外を見ると真っ暗だったので‘夜!?‘と思い焦ってカバンも持たず教室を出た。

ガラ

扉を開けるとそこは廊下ではなく、何一つない闇に包まれたところだった。仁
は慌てて引き返そうとするが、すでに扉はなかった。
>仁 どうなってんだ・・・
歩いてみるがどれだけ時間が経ったのか、どれだけ歩いたのかさえわからない世界の中で仁の恐怖心はだんだん増していった。
仁「蓮ー!!隆ー!!みんなー、どこ行ったんだよ!!!」
恐怖が限界にきたのか、叫んでみるが返事はない。ついに仁は座り込んでしまった。
>仁 いったいどうなってんだよ・・・・・・
どれだけ時間が過ぎたのかはわからないが、仁がふさぎこんでいるとどこからか声が聞こえてきた。
‘仁ー‘
聞き覚えがある声に仁は立ち上がり、声のする方を見ると蓮がいた。だが、仁が近づくと闇に消えていった。
‘仁ー‘
声のする方を見ると今度は隆がいた。だが、やはり仁が近づくと消えていった。
>仁 何だよこれは・・・
‘三坂さん‘
また声が聞こえた、だが、仁は諦めたのか座りこみ動かなかった。
‘三坂さん‘
その声は何度も何度も仁を呼び続けた。仁は期待を胸に立ち上がり見るとそこには雛がいた。仁は恐る恐る近づいて行った、しかし今度は消えることがなかった。
仁「なぁ、いったいどうなってるんだ・・・」
しかし、雛は答えず、下を向いた。
仁「どうしたんだ?」
再び話かけるが雛は何も話さなかった。‘どし・・・ぎった・・・の‘、仁の耳に雛の声が聞こえたが小さすぎて聞き取れなかったので仁は‘え?‘と聞き返す。そうすると雛は左手で仁の左手をおもいっきり掴み、泣きながら仁を見た。
雛「どうして私を裏切ったの?・・・私より、舜華さんの方がいいの?」
‘ギュウウ‘と手を握る力がだんだんと強くなっていく。
仁「い、いや・・・俺は」
弁解しようよしたが、手の痛みでそれどころではなく次の言葉がつなげられない。
雛「許さない。殺してやる・・・」
ふと雛の左手を見ると短刀が握られており、気づいた仁は左手を振りほどき逃げ出した。
仁「ハァハァ、ハァハァ」
どれだけ走ったのかわからないが雛がいないのを確認し安堵していたが、今度は目の前に蓮が現れ助けを求めようと近づいたが、蓮の口からでた言葉は予想もしないものだった。
蓮「近寄るな!ウザイんだよ!!」
思いもよらぬ言葉に立ち尽くしてしまう。
蓮「お前みたいな、自分勝手でバカな奴とはもういたくないんだよ」
そう言うと蓮は闇に姿を消した。仁が愕然としていると、周りを囲むように蓮、雛、隆、麻菜、雅人、母、由江、そしていつしかクラスのほとんどが仁を囲んでいた。そして、口々に仁に向け喋りだした。
蓮「俺はずっとお前が嫌いだったんだよ!」
隆「お前、調子乗りすぎなんだよ!さっさと消えちまえ!!」
雛「許さない、許さない」
母「アンタなんか産むんじゃなかったわ!」
麻菜「さっさと学校辞めなさいよ!」
雅人「お前なんか生きる価値ないんだよ!」
由江「アナタなんか存在しなければよかったのに!」
川越 健太「誰にも関わるな!」
村明 利勝「オラ、さっさと死ね!」
日田 恵「死ねないんだったら、私が殺してあげましょうか?」
次々に罵声を浴びせられ、ついに仁は‘ウワァァー‘と声を上げ何人かを突き飛ばし、囲まれていたところから出て走って逃げていたが、なおも声は聞こえていた。
蓮「逃げてもお前の安らぐところなんてないさ!」
隆「お前は死ぬしかないんだよ!」
仁の精神は限界がきて、ついに叫びだす。
仁「やめろー!!やめてくれー!!」
叫びながら両手で耳を塞ぐが、声は止むことなくどんどん聞こえてくる。
‘死ね‘、‘消えろ‘、‘誰にも関わるな‘、‘お前といると不幸になるんだよ‘、‘迷惑なんだよ‘、‘何でお前が生きてるんだよ‘
声はくり返しくり返し聞こえた。
仁「うわぁぁぁーーーー!!!!!」

教室

仁「うわぁぁぁーーーー!!!!!」
教室中に仁の叫び声が響き、授業が中断されてみんなが仁の方を見た。頭を抱え叫んでいたがやがて、みんなの視線に気づき‘え!?‘という情けない声を出し顔を真っ赤にした。すると、みんなの‘ハハハ‘、‘クスクス‘という笑いが聞こえてきて仁もつられ‘ハハハ‘と笑い出したが、すぐに雅人のゲンコツをくらった 。
雅人「何やってるんだ仁!廊下にたってろ!!」
そうするとまたみんなの笑いが聞こえてきて、仁はしぶしぶ廊下へと行きこの時間中ずっと立たされていた。

帰り道 学校近くの坂


用のない生徒はすでに帰っており、部活をしている者、やることがある者は学校にいるという時間に重なったせいか、周りに他の生徒はいなかった。
仁「あーあ、こっぴどく叱られたぜ・・・」
結局のところ仁は放課後、雅人に呼び出されて1時間くらい怒られたのだった。
蓮「まぁ、当然と言えば当然だと思うけどな。でも、指導にならなかっただけでもよかったじゃないか!」
と、フォローするが仁は不満をあらわにしていたので‘このテンションについていけないな‘と思った蓮は話題を変えた。
蓮「そういや、お前寝てたんだよな?怖い夢でも見たのか?」
痛いトコを突かれ、仁の肩が一瞬‘ピクッ‘となり顔がこわばる。
仁「まあな・・・」
>仁 絶対に‘どんな夢なんだ?‘とか、聞いてくるだろうな・・・まぁ、言えない・・・な
蓮「どんな夢だったんだ?」
蓮は仁の期待を裏切らなかった。
仁「い、いや〜・・・忘れた。まぁ、普段から夢なんてそんなに覚えてないしな!」
>仁 ハハ・・・はっきり覚えてるけどな。
半笑いで右手で頭を掻きながら言った。
蓮「ふーん。そうか・・・」
>蓮 コイツが頭を掻く時は嘘ついてる時なんだよな!・・・と言っても、コイツは強情だから絶対に言わないしな。気になるが少し時間をあけて今度聞くか。
あっさりと引き下がる蓮に仁は違和感を抱いた。
>仁 アレ?いつものコイツなら‘別にいいじゃん!誰にも言わないからさ!‘とか言って追及してくるのに?・・・まぁ、煽ると厄介だしいいや!話題変えよ。
と、話題を探していた。一方、蓮は
>蓮 ヤバイ、何か話題ださねーとこの前の‘俺の恋‘の話題出される・・・・・・何か話題作らないと!
と、互いに話題を探すのに必死になっていた。
2人が坂を完全に降りかかった時、誰かが呼び止める声がした。
???「アンタたち、ちょっと待ちなさい!!」
威勢のいい声が聞こえ、振り返ると坂の真ん中あたりに高山の制服を着た少女が立っていた。夕日がバックにあるせいか、誰かまでは見えなかったが二人とも聞き覚えのある声だと感じていた。
仁「俺たち?」
すかさず、聞き返す。
???「そうよ!他に誰がいるっていうのよ!!」
上からの物言いに仁は少しイラッときた。
蓮「何か用ですか?」
蓮も少しムカついていたが冷静に聞き返す。
???「あら、アンタは少しは目上の人に対する態度を知っているみたいね」
コツコツ
音をたて、少女が近づいてくるにつれ顔が見えてきた。そして、誰だかわかるのに時間はかからなかった。
>仁・蓮 生徒・・・会長
2人の前に現れた少女は高山高校で知らない人はいない、生徒会長だった。
仁「え・・・生徒会長・・・。な、何かようですか?」
生徒会長の怒った顔に動揺する。
綾乃「アンタなめてんの?態度コロコロ変えるんじゃないわよ!」
仁「い、いや・・・夕日で誰だかわかんなくて・・・」
そう言い終わるとすかさず、胸ぐらを右手でつかまれた。
綾乃「それなら、なおさらでしょ!年上かもしれないんだし。丁寧語くらい勉強しなさい」
と、仁にいい手をはなし、坂を上り始めた。
蓮「それで、何かようですか?」
正直、ビビリながらもすごい気迫で上って行く綾乃に声をかけた。言われた、綾乃は‘あっ‘という声をもらしその場で止まりクルッと振り返った。
綾乃「そうそう、こんなこと言いにわざわざ来たんじゃなかったわ」
さっきまでの態度とは一変し、いつも通りだったが、仁は精神的にかなりダメージをうけており綾乃の方をまともに見れていなかった。
綾乃「アンタ達ふざけてんじゃないわよ!!」
右手の人差し指で指された2人はわけがわからず‘ポカン‘としていた。

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あきゅろす。
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