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NOVEL ROOM
予想外
高山総合病院  

二階  東側 207号室

蓮「ん・・・」
窓側のベッドに寝ており太陽の光に顔を照らされ反対側に顔向けながらも手で目をこすり蓮は重いまぶたを開ける
蓮「ここは・・・」
蓮が見た光景はいつもの自分の部屋とは違った、壁は白く塗られ、‘自分の部屋はこんなにすっきりしていただろうか?‘と一瞬考えたが、隣のベッドで寝ている仁を見てここは自分の部屋ではないと確信した
蓮「仁!」
蓮はとりあえず仁を起こそうと仁を呼ぶが反応はなかった
>蓮 そういやこいつなかなか起きなかったな
そう考え左手を伸ばし仁をゆする
仁「んー。母さん、もう少し寝かせてよ」
仁の寝言を聞き笑う蓮だが、起こそうともう一度ゆさぶる
仁「わかったよ。起きるよ」
そういい、目を開ける仁だがいつもと違う風景に混乱する
仁「ここ、どこだ?
蓮「どうやら、病院みたいだな」
蓮は風景とにおいから推測し言う
仁は聞きなれた声のする方を向き蓮と確認すると‘病院?‘と不思議そうに聞きなおす
蓮「ああ、そうみたいだ」

カチャ

蓮が言い終わるのと同時くらいに扉が開き看護婦さんが入ってくる

看護婦「あら、起きてたの?二人とも具合はどうかしら?」
看護婦さんが微笑みながら二人に聞く
仁「あ、大丈夫です」
看護婦「君は、右手はもう大丈夫?」
蓮は‘え?‘と思いながらも看護婦に言われたとおり右手を見てみると、包帯がしてあった
蓮「あ・・・」
看護婦「どこかにぶつけたのかしら?少し腫れてたけど大丈夫よ、すぐよくなるから」
蓮「あ、ありがとうございます」
軽く頭をさげ礼を言う
看護婦「先生呼んでくるから少しまっててね」
そういい、看護婦は部屋からでていった

仁「あ、その手わるかったな」
少し恥ずかしそうにあやまる仁に蓮は‘いいよ、もう‘と言う
蓮「それよりもどうする?今回の件、言い訳できないよな」
仁「ああ、そうだな。どうしよう・・・」

ガチャ

二人が話していると眼鏡をかけた少し小太りの先生という感じの人と先ほどの看護婦が入ってくる

先生「もう、起きられるようだね。じゃあ、上着を脱いでくれるかな?検査しとこうか。先に手前の君からだ」
仁「あ、はい」

高山病院 玄関前 庭

雛「三坂さん、大丈夫かな?」
花束を片手に持ち隣の麻菜に話かける
麻菜「大丈夫だって!」
雛の方を向き笑いながらいう
麻菜「さ、行こ」
自動ドアをくぐり麻菜は雛に‘ここで待ってて‘というとくぐったところ左の受付のお姉さんの所に行き、仁たちの病室を聞き雛のところに戻ってきた
麻菜「二階の207号室だってさ、行こ」
雛「うん」

病室

先生「うん、二人とも大丈夫だね。もう、手の痛みはないかい?」
蓮「あ、はい。でも、触るとすこし」
先生「そうだね、触るとまだ痛みがするだろうが、もうだいじょうぶだよ」
蓮「ありがとうございます。あの、退院はいつごろ?」
さっきから聞きたいとタイミングを伺っていた蓮が聞く
先生「ああ。そうだな、本当は今日にでもといいたいが念のため退院は明日かな」
蓮「あ、そうですか。ありがとうございます」
仁「ありがとうございます」
先生「はい。お大事にね」
そういい先生は出て行った
看護婦「あ、後で二人のご両親には連絡しとくから」
と言い先生に続き出て行った

蓮「はぁ、明日、退院か・・・学校どうする?」
仁「どうしようもねぇだろ?」
仁が諦め口調に言いしばらく暗い雰囲気だったが‘コンコン‘とドアを叩かれ仁は‘どうぞ‘と明るくいう

ガチャ

雛「こ、こんにちわ・・・」
麻菜「よっ、元気?」
二人のいきなりの登場に‘ヤバイ‘と心で思いながらも平静をたもった
麻菜「あんた達大丈夫?顔色悪いけど?」
首をかしげながら聞く
仁「あ、も、もとからだよ。」
苦笑いで麻菜に言う
雛「ホント?」
念を押して聞く
仁「ああ。ホントさ」
麻菜「でも、あんた達も大変だったわね」
>仁・蓮 や、ヤバイ
麻菜「まさか、学校立てこもり事件の人質になっちゃうなんてね」
仁「え?」
自分たちの予想とは違う言葉に二人の思考が止まった

病室

麻菜「何よ?呆けた顔して・・・まさか忘れたの?!記憶喪失?」
麻菜と雛が心配そうに二人を見つめる
仁「い、いや・・・覚えてるさ!な、蓮!」
蓮「あ、あたりまえじゃないか!ちょっと、気が動転してて頭の整理ができてないだけさ」
異様な雰囲気が病室を包むなか麻菜は事件の話を続ける
麻菜「そういや、犯人は覆面かぶってたらしいけど特徴とかなかった?」
>仁 覆面?そんなのしてたか・・・
仁「いや、よく覚えてないな・・・」
麻菜「そう。でも、よかったじゃない。皆無事で、他の先生たちも大丈夫だったし。まぁ、生徒はあんた達だけだったから、あんた達はついてなかったけどね・・・」
仁「それで、学校は?」
麻菜「ああ、学校は明後日からよ!結構、学校の中壊れててさ・・・昨日の事件の後すぐに皆帰ってさ、自宅待機よ!おまけに犯人は捕まってないし!」
半ば愚痴のように力説し、最後には拳を握りしめていた
蓮「へー、昨日ねぇ・・・・・・昨日!?」
蓮は何かに気づいたらしく、あわてて正面の壁のカレンダーを見ると自分達の戦闘からすでに一日が過ぎていた
仁「え?じゃあ、俺たち一日寝てたのか?」
仁も異変に気づいたらしく蓮に確認する
蓮「そうみたいだな・・・今、4時前だから、てっきり1時間くらいかと・・・」
仁「そうだな、3時間くらい奴と・・・やりあって・・・」
仁は思い出すようにいった
麻菜「‘やりあった‘って何よ?!アンタたちだけ怪我してるから変だと思ってたけど・・・」
麻菜は問い詰めるようにいった
仁「い、いや。言葉のあやさ・・・な、蓮!」
焦り、助けを求めるように蓮に振る
蓮「ああ。これはこけたんだよ」
麻菜「なーんか怪しいわね!何があったのか全部喋りなさい!」
好奇心が騒ぎ出したのか仁にすごい剣幕でせまる
仁「あ、ほら、もう4時だぜ!家から遠いんだから帰らなきゃ・・・な??」
とっさに壁に掛かってた時計を指差し、何とかこの状況から抜け出そうとする
麻菜「あ、もうこんな時間なの。仕方ない帰ろうか雛」
さっきまでの剣幕はなくなりホッとする仁
雛「うん・・・あのさ、いつ退院なの?」
仁「あぁ、明後日だよ」
雛「また明日も来ていいかな?」
恥ずかしいのかうつむきながら言う
蓮「いや、明日は検査とかいろいろあって忙しいんだ」
仁が答える前に蓮が答えた
雛「そうなんだ・・・じゃあ、また学校で!お花ここに置いとくね」
台の上に持ってきた花束を置き‘お大事に‘と今度は仁の方を向きドアから出て行き、その後、麻菜が出て行こうとした時に何かを思い出したのかクルッと仁達の方を向いた
>仁 やべぇ
麻菜「そういえば、明後日に例の留学生来るから。あと、教育実習生の人もくるから、1限目はその紹介でなくなると思うから!じゃね!」

バタン

仁「あー、ビビった。心臓に悪いぜ!」
‘はぁ‘とため息をつき蓮の方を見ると蓮は考え事をしていた
仁「どーしたんだ?」
蓮「いや、どうしてあの話を・・・というより、まるで俺たちのこと何もなかったかのように。演技してるようには見えなかったしな・・・」
仁「ああ、確かにな。俺たちのことや、冷のこと・・・記憶にないのか?」
二人はさらに推測をひろげていった

条定空港

ごおぉぉぉぉぉぉーーーー

飛行機が飛び立っていった国際空港から、白い帽子、白いワンピース、そして左手に銀のアクセサリー、右手に白いキャリーケースを持った少女が自動ドアからでてきた
???「久しぶりネ。日本・・・」
少し発音の違いから、日本人ではないのだろうと近くを歩いていた男は思ったがそんなに珍しくはないので、すぐに自分の進行方向に目を向けた。だが、外国人などいつも見慣れているのでわざわざ見る必要はなかったが、彼の目を一瞬奪ったのは彼女の真珠のように白い肌と文句のつけようのない顔、そして風になびく肩ほ どまである黒髪だった。他にも通り過ぎていく男ばかりではなく、女性の目まで奪っていった。
???「エーと・・・メジルシは・・・アカイ」
彼女が辺りを見渡していると右から‘プー‘という音がするのでそちらに視線を向けて見ると、一人の女性が赤い軽自動車に乗っており彼女に向けて右手をヒラヒラさせていたので、赤い車び向けて歩いていくと車から上下を黒いスーツできめ、髪を後ろで結んだ女性がおりてきた
???「ソライシ・・・ユリ・・・サン?」
彼女がカタコトに言った自分の名前を聞くと微笑みながら返事をした
百合「ええ、私が空石 百合よ!あなたが 珠凛 舜華(シュリン シュンカ)さんね?待ってたわ。さぁ乗って、あ、荷物は私がトランクに積んでおくから置いといて」
舜華「ハイ。アリガト・・・ゴザイマス」
軽く一礼をし、助手席に向かいドアを開ける彼女を確認すると、百合はキャリーケースをトランクに詰め終わりドアを開けようと手を伸ばしたところで、左の胸ポケットに入っている携帯が‘プルルルル‘と鳴り出し、少し面倒くさそうな顔をしながらも右手にとり番号を確認するとでた
百合「はい、どうしたんですか?  えぇ、今から向かうところです。・・・・・・え?あの二人がよかった!じゃあ、今から向かいますね」
携帯をポケットにしまうと右手でドアを開け車に乗り込んだ
百合「舜華ちゃん、大丈夫?疲れてない?」
車のキーに手を伸ばしながら聞くと‘ハイ‘と返事が返ってきたのでそのままエンジンをかけた
百合「じゃあ、高山に行きましょうか!」
そういい、百合と舜華を乗せた車は発進した

ブゥゥゥーン

赤い軽自動車は条定〜苑笠間の高速をしばらくの間は順調に走っていたが半分」を過ぎたところで渋滞に捕まっていた

車内

百合「はぁ、捕まっちゃったか・・・ごめんね。この車スピードでなくて・・・ここは、いつも6時過ぎると帰宅する人の車でいっぱいになるってわかってたんだけどね・・・」
百合はハンドルに上半身を傾けた姿勢で、前の車を見ながらいった
舜華「いえ、百合さんに責任はありませン」
百合の方に顔を向け微笑みながらいう舜華を見た百合は疑問に思っていたことを聞いた
百合「ねぇ?アナタ日本語うまいけど結構勉強してきた?」
舜華に顔を向け聞く百合に窓の外から見える景色に目をやりながら答えた
舜華「いえ、パパが中国人でママが日本人なんです。それで子供の時日本に住んでて、出身は日本なんデス。」
百合「へぇ、日系中国人てわけね。それで!それから中国に?」
百合は少し立ち入った話になるとわかっていながらも舜華に聞く
舜華「ええ、お家の都合デ。小学校高学年の時に」
舜華がすぐに返答してきたので百合は質問を続ける
百合「今回はどうして日本に?」
百合が質問をするとしばらく外を眺めていたが、やがて口を開いた
舜華「家族3人での思い出ヲ・・・パパとママとの・・・」
百合は舜華の今までと喋る雰囲気が違うのを感じ、‘しまった‘と口を押さえた。
百合「ごめんなさい。変なこと聞いて」
すまなさそうな顔をし舜華に謝った
舜華「いいデスよ。気にしてませんカラ」
百合の方を向き笑いながら言う舜華を見て‘この子は強い‘と百合は思い反省していた
百合「もしかして、思い出の場所って苑笠?」
舜華「ええ」
百合「さっきからあなたの苑笠を見る顔が悲しそうだったから・・・でも、どうして高山に?」
百合は新たに生まれた疑問をすぐに聞いた
舜華「苑笠に留学制度がある高校がなかったんデス、そして調べてみルと近くの高山高校が・・・」
百合「そう、寄ってく?苑笠に」
百合は気を使い舜華に聞いた
舜華「ありがとうございまス。でも、近くデスし・・・一人で来たいんデス」
申し訳なさそうに百合に言うと‘変な気つかってごめんね‘と言われ、百合がいい人と舜華はわかった
舜華「そういえば、学校は明日からデスか?」
その質問に百合は一瞬‘ドキッ‘とし苦笑いを舜華に向け口を開いた
百合「あーー、それが・・・学校ちょっと壊れててさ、明後日からかな??」
‘ハハ‘と乾いた笑いを舜華に向ける
舜華「どうかしたんデスか?」
心配そうに聞く舜華に重い口を開いた
百合「それがさ、ウチの学校が昨日、覆面してた奴に・・・占拠っていうのかな?まぁ、そんな感じでいろいろ派手に壊されて・・・」
舜華「犯人は捕まったんデスか?」
百合「それがまだでさ・・・でも、大丈夫よ!セキュリティとか強化するらしいし」
留学生を不安にさせまいとセキュリティとの部分を強調して言った
舜華「それで、一人なんでデスか?」
百合「え?うん、そうよ。でも、天井とかいろいろ派手に壊れててさ・・・あ、そのとき私も含めてほとんどの先生と生徒は外に出されてて中で何が起こったのか、わからないんだけどね」
舜華が怖がると思っていた百合は違う反応に一瞬戸惑ったが自分の知っていることを正直に話した
舜華「気づいたら、犯人がドコかに?」
百合「ええ、そうよ」
舜華は少し頭で考えしばらくするとさらに聞いた
舜華「中には犯人以外にダレか?」
百合「ええ、そうよ。先生が数名と生徒が二人・・・先生は大丈夫だったんだけど、生徒二人が怪我しててね・・・でも、さっきの電話がかかってきて軽い怪我だってさ。一応は入院するらしいけど明後日から二人も学校に来れるって!」
嬉しそうに話す百合を見ながらも質問を続けた
舜華「その二人は誰なんですか?」
百合「あなたと同じクラスの三坂 仁君と結城 蓮君よ。でも、どうして?」
百合の質問に少し間をあけ答えた
舜華「いえ、何でもないデス」
そう答える舜華の眼差しは今まで見せたことがないくらい鋭かった

某バー

時刻 22:15

カラァン

ベルを鳴らし、20代前後で黒いサングラスをかけ右手にジュラルミンケースをもった170p近くあるがあまり筋肉がなさそうな男が入ってきた
マスター「いらっしゃい」
マスターはグラスを拭きながらその男をチラッと見たがすぐにまたグラスを拭くのに集中した
男は数人の客のいる席を通りすぎ、店の角の二人席で背を壁に向け左手に煙草を持っている男の席に向かい男の前の席に腰を下ろしジュラルミンケースを右側の壁にもたれさせ、煙草の男に口を開いた
サングラスの男「あなたが依頼人ですか?」
そう言われると男は銜えていた煙草を灰皿に置いた
煙草の男「そうだが・・・お前が?」
サングラスの男「そうですよ。それで依頼内容は?」
煙草の男は鋭い目でサングラスの男を睨んだ
煙草の男「お前みたいな奴にできるのか?」
サングラスの男「もしかして、見た目で判断してます??見た目に惑わされてはいけませんよ・・・そういうのは一番愚かな行為だ」
煙草の男「フン、まぁいいだろう。依頼が果たせなかった時は殺すだけだからな」
その言葉を聞きサングラスの男は‘うんうん‘と頷いた
サングラスの男「金さえ払ってくれれば、ちゃんと働きますよ」
煙草の男は胸ポケットから一枚の写真を取り出しサングラスの男の前にだした。そうするとサングラスの男はサングラスを胸ポケットに刺し‘これは?‘と聞いた
煙草の男「そいつを調べて欲しい、俺のことを嗅ぎまわっているらしくてな。何もかも調べろ」
サングラスの男は携帯で写メをとりジュラルミンケースを開きノートパソコンを出し起動させ携帯とつなげいじりだしたのを見て煙草を手に取ろうとするとサングラスの男が右手で手を掴んだ
サングラスの男「すいませんが、僕の前で煙草を吸うのはやめてください」
そういうと煙草の火を左手の指で消し、またパソコンに集中しだし、何かを見つけると、パソコンから携帯を取り電話をかけ、しばらくして終わると紙に文字を書き煙草の男の前にだした
サングラスの男「それじゃあ、明日までにこの講座に100万振りんでください。振り込んだら後は僕からの連絡をまっててください」
そういいながら、パソコンをしまい立ち上がった
煙草の男「いつから動く?」
サングラスの男「振り込んでもらえたら今日からでも・・・もう計画はたてましたから」
余裕の喋りに煙草の男は‘まさか・・・、もう‘と聞いた
サングラスの男「ええ、そいつは高山にいますよ」
煙草の男「いいだろう、すぐに振り込もう」
含み笑いをしながら言ったのをサングラスの男は確認するとサングラスをかけ右手にジュラルミンケースを持ち‘ああ、それと、僕の邪魔はしないでくださいね。そういうの嫌いなんです‘というと店から立ち去った

店の前

サングラスの男「さて、どうなるかな・・・」
星が見えない夜空を見上げ立ち去った

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あきゅろす。
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