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NOVEL ROOM
朝NO攻防
西暦2100年。人類の科学技術は、100年前とは、比べものにならないくらい進歩していた。その技術は、100年前の科学者が、『400年後には、これくらいの技術だろう』と、口をそろえて言うものだった。そんな時代に生きる、ある、16歳の少年、彼がこの物語の主人公だ。

時刻は、8:00、少年はシャワーを浴びていた。
「あー、気持ちいい」少年は、そういいながら、頭、体、足、と彼の体を洗っていく、天井から伸びたノズルを見ながら言った。‘フー’と、息をもらすと、ピピピと電子音が響いた。すると、前の小さな画面に、メイド型の電子生命体の上半身が姿を現し、すぐさま、不愉快な口調で、しゃべり始めた。
「リュウセイさん、まもなく8:05になります。そろそろ、シャワーを止めて、学校に行く支度をしてください」
その声を無視し、横を向きながら鼻歌を歌っていると、今度は、頭に怒りマークをつけながらも、冷静に話す。
「もし、今すぐやめないのでしたら、強制的にシャワーを止め、さらに、ペナルティを課しますよ。よろしいですか?」
リュウセイは、聞こえない程度に舌打ちをすると、画面の横にあるパネルに手を伸ばし、シャワーの停止ボタンを押した。
「これで、いいだろ?」
メイド型の電子生命体は、頷き、自分の手元にパネルを出すと、ピッピッといじりだした。しばらくすると、ちょうど、リュウセイの身長に合わせ、左右から温風が吹き出し、リュウセイは体を右に向け、1、2分くらいあたっていると、体がかわいた。そして、横のドアが自動的に横に開くのを確認すると、裸のままでた。出ると、小さな透明の籠に、その少し上の四角い穴からでてきた制服一式が入った。
「それでは、早く着替えてください。時刻は8:10です。ホームルームまで、あと、20分です」
そんなことを、リュウセイは着替えながら、鬱陶しそうに聞いていた。着替えがすむと、小さな段差を上り、ベッド、テーブル、PCなどがある部屋に入った。そして、テーブルの近くにいくと、床とつながっている椅子は自動的にひかれ、リュウセイは腰をおろした。「今日の朝食は和食になさいますか?それとも洋食になさいますか?」と、メイド型の電子生命体が、目の前の空中に浮かんだ画面からしゃべっていた。リュウセイは、少し悩むと、軽く頷き、「うーん。時間もないし、食欲もないから、今日は、グレープ味のVDでいい」と答えると、すぐに「かしこまりました」という返答がきた。少し待つと、ウィンという音とともに、机の真ん中に小さな四角い穴があき、小さなVDとかかれたビンにストローがさしてある状態であがってきた。リュウセイは、さっと、右手を出して、それを受け取ると、いきおいよく飲み、また、もとの場所においた。そして、すぐさま、立ち上がり、ビンがまた、下がっていくのをチラッと見ながら、窓まで歩いていった。しかし、窓に着く前に声がかかった。
「リュウセイさん。早く、STルームに行ってください。学校に間に合いませんよ!?」
リュウセイはため息をつくと、クルッと体の向きをかえ、今度は体ごと映し出されているメイド型の電子生命体にむけて言った。
「あのなぁ、まだ8:17じゃん。どー考えても間に合うだろ!」
その言い方に内心少しムッとしながら、メイド型電子生命体は口を開く。
「ダメです。早くしてください。そんなにギリギリに行って、どーするんですか!?」
「別にいいじゃん。俺のかってだろ?」
フン、と少し視線をずらしたリュウセイは言った。それを見たメイド型の電子生命体は、手を右手で覆い‘まさか…’というポーズでリュウセイを見た。そのポーズを盗み見るように見たリュウセイは、「何だよ…?」と、不安げにつぶやいた。
「反抗期ですね?そうなんですね?これが反抗期ってやつなんですね?そーですか。反抗期ですか。ワタクシ悲しいです」
早口で、しっかり、‘反抗期’という言葉を強調し、三度も言ったあと、いきなり両手で顔を覆い、「およよ」と、声を出した。それを見てリュウセイは、弁解する。
「お、おい。ちょっと、べ、別にそんなんじゃねーって、おい」
少し顔を赤らめ、必死に弁解しが、メイド型の電子生命体はリュウセイの言葉を無視し、さらに嘆きだす。「そーですか。そーですか。ワタクシがウザイ年頃ですか…。反抗期ですものね。仕方ないですね。そーですか。まだ、反抗期から抜け出してないのですか。そーですか…。これは、ワタクシの責任ですね。ああ、どーしよう?ワタクシがいたらないばっかりに、まだ、リュウセイさんが反抗期。ああ、ワタクシどーすれば…」
そういいながら、グルッと後ろを向き、なおも、「ワタクシが…、ワタクシが…」と、ブツブツ言っているのを見て、リュウセイは素直に‘メンドウだな’と思い、この場をおさめにかかった。
「さて、学校行こう、行こう。うん。ほら、今すぐ行こう!」
と、わざとらしくリュウセイが言うのを聞くと、すぐにメイド型の電子生命体は、クルッと向きをかえ、目を輝かせ、元気に「はいっ!」と返事をした。すると、隣の部屋の扉が、開き、満面の笑みで「どうぞ!」と言った。それを確認したリュウセイは不服そうに歩いていった。部屋に入ると、中央にSTと言われている、イス型の機械が置いてあった。さっそく座ると、右手のところにある画面に、メイド型の電子生命体が現れ、「今日の持ち物のデータはすでにあちらに送ってありますので!!」と、上機嫌な様子で言ってきた。その笑顔に見惚れ、少し照れながら、リュウセイが「ありがとう…」と、視線をずらしいうと、間があき、「ハイ!」と、少しうわずった声で、返事が返ってきた。それを聞くと、リュウセイはさらに照れ、これ以上一緒にいるのが嫌なのか、さっさと、なるべく画面をみないようにパネルに手を触れた。すると、頭に、目までを覆う半円のものがかぶさり、本格的に動きだした。最後に綺麗な声で「いってらっしゃいませ」と言う声が、リュウセイの耳に聞こえた。


あきゅろす。
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