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朝から憂鬱だ。まあ、どんな人間でも死体を見て元気でなんか居られないと思う。
「朝から猫の死体みちゃってさー、まじ幻滅っちゅーの?」
「あたしも見た見た!神社の前のでしょ」
僕も見た見た、あと「幻滅」の使い方ちょー違うし。
僕は隣の席の如何にも頭悪そうな女子たちを横目、溜息を吐く。憂鬱だ。ゲームしか能がないあいつの方が余程言葉を知っている。

左手でシャーペンをくるくると弄りながら、数学の先生が着ている褐色のウィンドブレーカーを眺める。能内で再生されてしまう、散らばる猫の体液。
ぱっと視線を真っ白なノートに戻すと、残像なのか錯覚なのかわからない暗緑色が、掛線と変に混ざって気持ち悪かった。もう何を考えてもあの猫一色で、僕自身も気持ち悪い。
しっかりしようとして眼鏡をワイシャツの袂で拭くと、机の中に置いてあった携帯のランプが桃色に点滅する。苺からだ。

あの猫ね、

僕は全部の文章の意味を飲み込む前に携帯を閉じた。




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あきゅろす。
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