[通常モード] [URL送信]

R E B O R N !


 光陰矢の如し、とは良く言ったもので、どうしようもなくギクシャクした関係のまま、気付けば卒業を迎え、それぞれの進路へと進んで行くことになった。綱吉はしきりに二人を心配していたが、獄寺が何度も首を横に振るので諦めたようだった。
 そうして、綱吉と獄寺はボンゴレ本部の受け入れ体制が整うまで地元の公立高校へ、山本は電車の路線を二つ乗り継いだ先の私立高校へ。野球ばかりが頭にあったからなのかは知らないが、元々余り甲斐性ある性格をしていない山本から綱吉達への連絡は高一の夏休みで途絶えた。高二の半ばで、綱吉は正式にボンゴレ十代目として招集されることとなり、獄寺と共に高校を中退してイタリアへ向かった。出立の通知は送ったのだが、結局山本は現れないままだった。
 しかし、此方の世界に干渉して欲しくないからこその分断なのだから、顔を見ずに済んで逆に良かったのかも知れない。…そう、獄寺は思うことにしていた。
「…くん、獄寺君!」
「へぁ、…ハイ、十代目! 済みません!」
 深い思考の渦にはまっていた獄寺は、綱吉の呼びかけに漸く気付いて目を見開くと、ぺこぺこと頭を下げた。その様子に苦笑すると、つい、と前方を指差した。
「着いたよ。…懐かしいなぁ」
 指された先を見詰めて、獄寺は目を細めて頷く。
「変わってませんね…」
 目の前には、かつて彼らが通っていた並盛中学校が、あの頃のまま鎮座していた。しかし、それを見詰める自分自身はあの頃から随分と変わってしまった。身体的にも精神的にも。
「うわ、校門が小さく見えるよ、獄寺君!」
 校門に走り寄った綱吉が無邪気に笑いつつ石柱相手に背を測っている。確かに、数年の間に随分と…まあ、人によって量に多少はあるものの体格が立派になったことで、当時の目線と今の目線が変わってしまったから、校門の見え方も当時と違っている。
「成長されましたからね、十代目」
「え、でも獄寺君と比べたら…さ」
 この数年で随分と背が伸びた嵐の守護者を見上げて綱吉が眉を寄せる。綱吉は獄寺ほどの劇的な変化は見られなかった。男らしさを欲しがる綱吉としては、その変化のなさが面白くないようだったが。
「十代目はそのままでもご立派ですよ」
 獄寺としては正直な気持ちを伝えたつもりだったが、綱吉は拗ねたように礼を告げた。途端に焦り出す自らの右腕を眺めて楽しそうに笑いつつ、懐から小さな紙切れを取り出した綱吉は少し緊張したように獄寺を見詰めた。


[*Back][Next#]

4/9ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!