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R E B O R N !
10

 闘争を強制的に終わらせる為に、獄寺はボンゴレの名の下に両ファミリーに停戦を持ちかけ、半ば強制的に和平を結ばせた。仲介者がボンゴレとあって、しばらくはお互いに面倒は起こさないであろう。綱吉には既に連絡済みで、そろそろ補修の為の要員が到着するだろう。勿論、費用は全額クーパとティミダ持だ。本当に、この闘争は集結を迎えようとしている。
 しかし。
「…山本の野郎、どこで油売ってやがる…」
 待っていろ、と言われてしまった手前動くことも出来ずに、こうして公園の片隅で山本を待っている訳だが、そろそろ日が沈もうとしているのに一向にその姿を現さない。
 獄寺は終始苛々としていたが、その実、不安が高まっていた。逃げたクーパを追いかけた後、何かあったのだろうか。もしや、動けなくなるほどの重度な…
「私が占ってあげましょうか?」
「要らねえ」
 どこまでもシリアスな雰囲気をブチ壊すこの女に、獄寺は苛々をそのままぶつけた。
「大体、何でオレがテメェと一緒に居なきゃならねえんだよ! もう終わっただろうが、好きなトコ行きゃあいいじゃねえか!」
「嫌よ、だって、ここが今日の私の居るべき所だもの」
 訳が分からない。
 こんな半壊して、何が何だか分からなくなっているような店の前で佇むことが重要なのだろうか。それも彼女の占いなどという眉唾ものの弾き出したものなのだろうか。
「ねえ、だから占ってあげるわよ」
「何を」
 しまった、反射的に答えてしまった。
「ふふ、アナタの運命を、よ」
 にこにこと嬉しそうに語りかけてくるのは良いのだが、正直今の獄寺にとってはうっとうしいだけだった。大体、運命など信じていない。あっち行け、と手を振って顔を背ける。しかし、背後で紙が擦れる音を聞いてすぐさま振り返った。
「何勝手に人のもん占ってやがる!」
「良いじゃない、…助けてくれたお礼よ」
 要らないものを礼として貰うなら、礼など初めから要らない。しかし、少しだけ獄寺には興味が湧いてきた。山本のことが多少なりとも分かるかも知れない。大部分は戯言だと、聞き流してしまえばいいのだ。
「よし、それだけ言うなら聞いてやろうじゃねえか」
 煙草に火を付けながら、お粗末な板に何やらカードを並べる女に向き直る。退屈しのぎくらいにはなるか。
 女は、カードを配っては捲り、戻してはカードをシャッフルして並べ直し、また捲り、それを繰り返していた。こんなもので運命などが分かってしまうものなのだろうか。
「…アナタの運命の道筋の傍らに、二本の強い誰かの運命があるわ。アナタの運命は、その間で揺れている」
 どきり、として、獄寺は煙草を取り落としそうになった。
「その二本の運命は、太くて、真っ直ぐで、強い輝きを持っているわ。だから、その両方にアナタは惹かれているのね」
「……」
 そう言われれば、その通りなのかも知れない。どちらも、種類は違うが、強く心惹かれる光を持っているのは確かだ。そして、その間で揺れているのも然り。


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