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佐倉佑(さくらたすく)は焦っていた。

数分前に、突然耳に入ってきたのは間違いなく「悲鳴」だったからだ。

恐らく自分と同じ小学5年生くらいの男子の悲鳴。
まるで世界の終わりを見るかのような悍ましい悲鳴であった。


それはいつもの登下校道の坂の上から聞こえてきた。
全速力で坂を上がる。

佑が走りはじめると、そっちにいってはならないとでも言うように、向かい風が坂を吹きおろしてきた。
佑の額のゴーグルが光を反射してチカチカ光る。



(何があったんだ?
こんな平凡な町で事件か!?)



なんとか坂を上り終わると、向かい風がいっそう強くなった。
どんどん強くなっていくその風は、いつしか台風のそれと変わらないほどになる。


「…………くっ!!」


思わず目をつぶる。





と、風がぴたりと止んだ。





「…………え……?」






大輔は、さっき少年とあった坂まで戻ってきていた。


「……賢に……知らせないと……!!」






その目に映った三秒の出来事。

少年が大きな手に胴体を掴まれ、空間にできた裂け目へと引きずり込まれたのだ。

その手を形状は見たことがあった。


「……デジモン!!」


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あきゅろす。
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