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不思議な喫茶店
*
カランカラン

可愛らしいそれでいて心地よい音が鳴り響いた。


「いらっしゃい」

そこには、僕にしか見えないものに囲まれている男がいた。

「えっ?」

僕は驚きの声を出してしまった。

な、何で?何でそんなに“楽しそう”なの?
アイツらは、不幸しか運ばないのに……

「悪いけど今日はもうかえってくれるかい?」

そう、アイツらにいった。
アイツらは、素直に頷いて出ていった。
そして、僕の方に振り返った。

「 ミルクかココアどっちがいい?」

「へ?」

いきなり呼び掛けられてスットンキョンな声を出し、一時停止した。

「…か、金なんて、ない…」

コイツはなにいってるんだ?
俺が何者か分からないのに、ただのバカか?
それにこんな格好してるのに……

「ん?知 ってるよ?見れば分かるよ」

「じゃ、じゃあな、んでです、か」

あっ、久しぶりに人と喋ったから片言になっちゃた。
しかも敬語とか生まれてはじめて使った……

「子供を守るのが大人の役目だからね」

僕は、動きを止めた。

でも、僕の周りの大人は……

「家は何処?迷子かな?
あ、あと名前も教えてね」

そんなことを考えていることを知らない男は僕に話しを振った。

「家、なんて…
な、まえは、神埼 雪(かんざき ゆき)」

「あ、ゴメンね無神経に……」

コイツ僕のこと知らないのか……
不思議だ
コイツといると安心する。

「別に」

僕は不器用で素っ気なく答えてしまった。

「そうなんだ
気を使わせてゴメンね」

だけど、コイツは気にしてない様子だった。

「気なん、て使って、ない、し大丈、夫で、す。
ココア、御、願いしま、す。」

「わかったよ」


コポコポコポ

不思議な機械だな
始めてみた。

コト

「はい、どうぞ」

「ん、あ、りが、とう」

「いえいえ」

ズズ

「あ、たかい」

自然とほほが緩んだ。

「ふふ、やっと笑ったね」

ん?

「気付いてなかった?
ずっと眉間に皺が寄ってたよ」

ニコ

気付かなかった。

「あ、もう夕方か
時間が経つのって早いね
良かったら泊まってく?」

ここにいたいな…
でも、迷惑掛けちゃうし…

「かえ、る」

「そうか、残念だね」

悲しそうに、名残惜しそうに微笑んだ。

「ま、たあし、た来て、い、い?」

そう言うと、とても嬉しそうな顔をして此方を見た。

「もちろんだよ!
また、いつでもおいで 」

「う、ん
あ、りが、とう」

断れたらどうしようと思った。
本当に良かった。

「また、明日」

男は、手を降ってくれた。
だから、僕も手を降って店を出た。

「ま、たあし、た」











[*現実逃避する][前進させる#]

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あきゅろす。
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