第3夜 大騒ぎ
あれから数日、神田は次の任務に出かけ、リナリーは科学班の手伝い。
俺は大人しくしてる筈もなく、鍛練してたら案の定ぶっ倒れました。婦長とコムイ、リナリー、リーバーにまで怒られた。
そして現在、病室から出るのを婦長から禁じられ、何となくヴァイオリンを弾き始めた。
〜〜〜♪〜♪〜♪〜〜♪〜♪
傍ではリナリーとジョニーが座っており、静かに聞いていた。実は婦長からのお願いで弾いてたりする。こんだけ綺麗な音なら疲労困憊で倒れる人達には癒しになるだろうな。
「おー、篠神ちゃんのヴァイオリンだ」
馴染みのファインダー達。
「篠神さんのヴァイオリンは綺麗な音か出ますよね」
よく話す科学班の人達。
俺を認めてくれる人達は静かに聞いてくれる。まっ、その他の奴等も流石にこのヴァイオリンの音は綺麗らしく何も言わない。
一曲弾き終わると拍手が聞こえてきた。どうやら婦長の狙いは的中したようだ。
『拙い演奏を聞いてくれてありがとう』
「よしっ!俺も仕事してくるよ」
「篠神凄かったよ」
演奏を聴いていた人達は、曲が終わったのを確認してそれぞれの場所に散っていった。病室には数人しか残っておらず、かなり静かだ。
「ありがとうね、神月」
『婦長、ユウ君的に言うと「ファーストネームで呼ぶなって言ってるだろ!!篠神!!」
声のした方向を見るとそこには血だらけの神田がこちらを睨みながら立っていた。
また怪我をほったらかして帰ってきてるし。
『神田、すぐ治るからってほったらかしはないぜ。見てる方が痛い』
「知るか」
こうして会話している間にも神田は医療班の人間に取り囲まれた。医師は神田の傷を見て顔をしかめている。俺はやることもないので神田が治療しているのをじーと眺めていた。神田が溜め息をついたときだった。門番の声が教団中に響き渡ったのは。
「こいつアウトォォオオ!!!」
途端に回りにざわめきが走った。
『!』
「ええっ!」
「アクマが来たってこと!?」
神田の方に目をやるとバッチリ目があった。すでにコートに手をかけて準備していた。
「こいつバグだ!額のペンタクルに呪われてやがる!アウトだアウト!!」
門番の声は相変わらず五月蝿い。そう思いながらもこっそり俺は窓に近づいた。神田も医師を無視してコートを羽織ると六幻を手にして、こちらに来た。俺が窓を開けると神田は窓枠に足をかけた。冷たく澄んだ風が吹き抜けた。俺も窓を覗くと遥か下、門の前に立つ、白い髪をした少年らしき姿が見えた。神田が飛び出して後、婦長に止められる前に人形<ドール>をひっ掴み俺も窓から飛び出した。
物語の始まり
(一匹とは良い度胸じゃねぇか)
(つうか、あれAKUMAじゃなくね?)
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