第52夜 戦いの終結
アイツが珍しく嬉しそうにしていた。思い当たることがなく首を傾げるとアイツは笑った。
「どうしたんだ?神月」
『……嬉しそう』
「お、わかる?わかる?」
無言で頷くと待ってましたと言わんばかりに箸を置いたが、彼女の姿を見つけた瞬間、アイツは口を閉じた。
「神月!ーーー!二人とも一緒だったのね」
『……無理矢理連れてこられた』
「まあ!もうーーったら!神月を無理に連れてきちゃ駄目よ!」
「は、はい……」
「ふふっ、でも私も神月に話したいことがあったから丁度良かったから勘弁してあげる」
彼女まで俺に話したいことというのは珍しく思わず驚く。と言っても微かに目を開く程度しか感情が写せなかった。それでも彼らは俺の微かな変化を見逃さない。
「あら、珍しく神月がビックリしてるわ」
「基本は俺ばかり喋ってるからね」
『…話って何?』
「実はな俺達ーーーーーーになったんだ!」
その瞬間の二人はとても幸せそうで、感情の薄かった俺にもよく分かって、初めて周りが分かるくらいに俺は微笑んだ。
『ーーおめでとう』
俺がその後目が覚めたのは全てが終わって後だった。起きた俺は先に目覚めていたアレンからその後の話を聞いていた。
あの後アレンとリナリーでアクマは全て壊したらしい。一匹はロードに自爆させられたらしいが…(その時のアレンの様子が気になったが…まあ突っ込まない方がいいだろうと思ったのでスルー)。
「AKUMAを倒した後はロードはあっさりひきました。それで…」
『ん、その後はなんとなく分かるからいい。ミランダが負荷がかかって発動を解いて、皆病院行き…と』
「はい、ミランダさんが医者と探索部隊<ファインダー>を呼んでくれたそうです」
『なるほどね…悪ぃな、肝心な時に倒れて』
「いえ、ロードに捕まってたんですから、仕方ないですよ」
その言葉に軽く胸が疼く。俺にはロードと渡り合える知識と力はある。だけど、この心が邪魔をしてアレン達を危険な目に合わせてしまった。
でも、今回の事で覚悟は出来た。俺は教団もノアも憎い。だけど、神田達の事は話は別だ。あいつらを護りたいと思うのも本当で、一方でノアを未だに家族だと思ってしまう気持ちも本物だ。でも、ノアが神田達を傷付けるなら俺は絶対に許せねぇ。
だから、ごめんロード。俺はお前の敵になる。でも、何があってもきっとお前の事は好きだという気持ちは多分変わらない。
「神月ーー!ボク等は家族だよぉ!神月が悲しくないようにボクがずーっと神月の傍にいるからねぇ♪」
今までありがとう。
『アレン』
「何ですか?」
『俺が絶対にお前達を護るよ…何があっても、きっと』
「じゃあ僕が篠神を護りますね」
『サンキューアレン』
可笑しくなってアレンと二人で笑いあった。
もう二度と失ってたまるか、絶対に。
『そういえば、リナリーはどうした?』
「神経へのダメージだから、回復が遅くまだ眠ってるみたいです。でもブックマンとかいう人が治療してるそうです」
『……は?え…ブックマン来てんのか?』
「あ、はい。後、ラビ?とかいう弟子の人も」
『げっ…まさか次の任務あいつらと一緒なのか?!うわぁ……マジかよ』
「あの…篠神?」
『俺、あいつらあんまり好きじゃねぇんだよ…』
「そうなんですか?」
溜め息をついた俺を不思議そうにみているアレン。でも、アレンなら案外あいつらとはうまくやれそうな気がする…。
「あ、忘れるところでした!これミランダさんから僕達宛の伝言を伝えに来たんでした」
『ミランダから?』
アレンくん リナリーちゃん 篠神くん
目覚めるまでいれなくてごめんなさい
私が時計のイノセンスを発動した あの日からなぜか奇怪が解けました
街の人達は34回も10月9日が来たことを知りもせず
まあ、私が原因だったのだからその方がありがたいのですが
さんにんは時計<イノセンス>が奇怪を起こしたのは
私の心に反応したからだと言っていたけれど
今 こうして思うとあの奇怪は時計<イノセンス>が私を試すために起こした気がするの
おかしいかしら、こんな考え
だって時計<イノセンス>は私がアレンくんと篠神くんを庇うあの時まで ずっと黙っていたんだもの
でも おかげでやっと自分の居場所を見つけられた気がする
また会いましょう
今度はエクソシストとしてお役に立ちます
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