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第50夜 古時計発動

 


私がダメな理由

何をやっても上手にできないくせにやろうとするトコロ
もうやらないと決めたくせに未練がましくまたやろうとするトコロ

どうせ何もできないなら
やらなきゃいいのにね



馬鹿よね…











ミランダと古時計を中心に円を書くように光っていた。無理矢理身体を起こすが、激痛で結局はミランダに支えてもらう事になる。ミランダが何かに気が付いたように後ろを振り向いた。



「(…あら?何かしら…?何かの存在を感じる。時計……)イノセンス…?」



ミランダがそう口にした瞬間、文字盤に十字架が浮かび上がった。そのまま時計は姿を変えるように歪み、巨大な文字盤を形成し、範囲を広げドームで俺達を覆ってしまった。

このイノセンス攻撃型には見えないが、どんなものだ?
ゆっくり文字盤の針が逆回転し始めた。その瞬間床や俺達から文字盤の形をした時計が出てき始めた。



「ミランダさん…」

『そう…か……時間の…吸い取りだ』



街全体の時間の吸い取りを出来たならば、怪我をした時間の吸い取りも!
案の定、ミランダの手の怪我も含め俺達の時間を吸い取り傷がない時間の状態に戻った。

カチッ コチ

やけに大きい音がなった。恐る恐る身体を動かすと全く痛みが消えていた。アレンも平然と起き上がった。



「!…ア、アレンくん、篠神くん動けるの…?」

「ミランダさん……」

『どうやら動けるらしい』



不安そうに見つめるミランダは髪がほどけており、団子のときよりも女性らしく見えた。俺とアレンは穏やかにミランダに笑い返す。



「そっか…やっぱり適合者だったんですね」

『やるかアレン』

「ええ!」




アレンは力強くイノセンスである左手を握り締めた。俺はカラクリを傍に引き寄せる。



「あの篠神大丈夫なんですか?あの子に何かされていたみたいですが……動いたら」

『大丈夫だって!まあ多少無理に身体を動かしたけど』

〔主様、無理ハ駄目デス。私ノ発動ハ主様ニ過度ナル負荷ヲ与エマス。動クノハオ控エクダサイ〕

「だそうですよ篠神」

『参ったな、カラクリにまで止められるとはね。分かった、俺はミランダの傍に居るから頼んだカラクリ』

〔承知〕
「行きます!」



腕を発動させたアレンは、勢いよく思いっきり腕を出した。同時にカラクリも飛び出した。ミランダの隣に座り自然と目を閉じると、カラクリの視野が浮かんできた。アレンの腕はそのまま勢いよくリナリーが座る椅子を掴んだ。ロードには避けられたが上出来だ。アレンの邪魔をしようとしたアクマをカラクリが倒した。アレンが腕を引き終わったらカラクリも戻ってきたので、俺も目を開ける。アレンはリナリーが座る椅子の前に座り込んでいた。俺は隣に立った。



「リナリー」



返事がなく、アレンが慌てて手首を掴んだ。その右手には何かをしっかり握っていた。



「生きてる……!」

『外傷はないし……あのカボチャの音波を深く受けて神経が麻痺してるんだろうな』



それかロードの能力だろうが、流石にそこまではしていないはず……あれだけ言ったのでしていないと思いたいな。ミランダが心配そうにリナリーを見ている。



「アレンくん、篠神くん、リナリーちゃんは…?」

「…大丈夫。この空間(なか)にいれば…」



リナリーから時間が吸い取られる。
これは原型のままの発動だ。ミランダに負荷がかからなければいいが……。

リナリーの瞳に光が戻った。



「あれ…私…?」

「『リナリー』」」



キョトンとしているリナリーは、何かを握っていた右手を広げた。瞬間、アレンの顔に何かが突撃した。



「ぐふっ」

『お、ティム。無事だったか』

「ティムキャンピー!何でそんなトコから…っ」



ベリッと剥がさられたティム。アレンの事はちゃんと好いているらしい。リナリーは状況が分からないらしく不思議そうだ。



「あれ元気?あ、アレンくんが倒れた時一緒に砕けちゃって。ずっとカケラを持ってたの。って私どうしたの?ここどこ?このカッコ何?あ!篠神!?」

『とりあえず、落ち着けリナリー』



ミランダがどうすればといった感じでリナリーを見ている。ポンポンとリナリーを撫でてやる。



「僕達ミランダさんのイノセンスに助けられたんですよ」

「え?わ、私…?私が…??」

「あなたが発動したこのイノセンスが攻撃を受けた僕らの時間を吸い出してくれたんです」



一息入れて笑いながらアレンは続きを口にした。


「――ありがとうミランダさん!」

『ありがとなミランダ』




ミランダの瞳から涙が溢れた。





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あきゅろす。
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