第49夜 本気と意志
俺の前に立っていたのは、フードを被った人。俺の手の中から人形<ドール>が無くなっていることから、きっとコイツが人形<ドール>だと思う。
今まで第2開放なんて負担がかかるからやらなかったから、俺自身もよく知らない。彼は数百近くあった蝋燭の殆どを叩き落としてみせた。
〔私ハ自立型人形カラクリ。貴方ヲズット見テイマシタ。今ナラ貴方ニ力ヲオ貸シシマス〕
「カラクリ…」
「篠神っ!」
泣きそうな顔で此方を見ているロードを俺は敵意を込めて睨み付けた。ビクッとなったロード。アレンとミランダを完全に庇う為に俺の身体には3本の蝋燭が刺さっていた。掠り傷もかなりある。俺がカラクリを完全に扱いきれていない証拠のように。
俺は無理矢理蝋燭を抜き立ち上がろうとするが、流石に腹からの出血が激しく頭がグラグラし、膝をついた。後ろではアレンがミランダの手の杭を抜いていた。
「ひいいい〜っ」
壁まで一目散に逃げたミランダ。俺は座り込んでいるアレンに近寄る。気力だけで動いていたのかグッタリしている。
「!…アレンくん…!?アレンくん…?」
流石にフラついて倒れ、時計に寄り掛かる。カラクリはロードと対峙したままだ。
「篠神くん…!?しな…死なないで…アレンくん、篠神くん死なないで…」
「だ、大丈夫…」
ミランダの方を向いて笑ったアレン。それを見たミランダの顔が変わった。俺も苦し紛れにピースを返した。喋れば血を吐きそうだ。
「「「!?」」」
無意識だったんだろう、ミランダが駆け寄ってきて俺とアレンを抱き締めた。震えているのにも関わらず、その意志は力強かった。
「何だ、メス?何やってんだ〜?」
「は…はは…ホント何やってんの私…でも…でも…」
「人間に何ができんだよ〜〜〜〜〜〜」
「でも…」
最後に発した「でも」には強い意志が籠っており、それに反応したかのように古時計が強い光を放った。
『イノ…センス……?』
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