第47夜 ノアの一族
カーーン カーーン カーーン カーーン
鳴り響くのは杭を打つ音。なるべく意識を浮上させないようにする。でないと、俺はきっとぶちギレる。
「ア…レンくん……アレンくん…」
「ミランダ…痛っ」
微かに聴こえたアレンの声に身体が無意識に反応する。
「うん、やっぱ黒が似合うじゃ〜ん」
「ロード様、彼は未だしもこんな奴きれいにしてどうされるのですか?」
「お前らみたいな兵器にはわかんねェだろうねェ。エクソシストの人形なんてレアだろぉ」
アレンの方を振り向いたロードはアレンが起きたことに気が付く。
「起きたぁ〜〜〜〜?」
「リナリー!!!」
リナリーの名を叫んだアレンにズキリと胸が疼いた。
「気安く呼ぶなよ。ロード様のお人形だぞ」
「リナリーって言うんだぁ、かわいい名前ェ♪」
「ケケケケ、お前をかばいながら必死で戦ってたぜェ」
「……っ」
「ねェ篠神♪」
「篠神!?」
明らかに此方を向いたアレン。きっと混乱しているだろう。アレンの戦う理由は「アクマを救済するため」だから。
「キミはさっきチケットを買いに来た…!?キミが「ロード」…?どうしてアクマと一緒にいる……?アクマじゃない…………キミは何なんだ?」
「僕はにんげんだよぉ。何その顔?人間がアクマと仲良しじゃいけないぃ?」
普通に考えたら仲良しはいけないと思うぞロード。
「アクマは…人間を殺すために伯爵が造った兵器だ…人間を狙ってるんだよ……?」
「兵器は人間が人間を殺すためにあるものでしょ?千年公は僕の兄弟。僕達は選ばれた人間なの。何も知らないんだねエクソシストぉ。お前らは偽りの神に選ばれた人間なんだよ。僕達こそ神に選ばれた本当の使徒なのさ、僕達ノアの一族がね」
「ノアの…一族…?人間…!?」
アレンの戸惑った声が聞こえる。人と戦うのは覚悟しなければならないこと、これは戦争だから。俺も覚悟を決めなくてはならない。ノアの一族と戦う覚悟を。
「シーーーーーーー!!!ろーとタマシーーー!!知らない人にウチのことしゃべっちゃダメレロ!!」
「えー、何でぇ?」
「ダメレロ!大体今回こいつらとろーとタマの接触は伯爵タマのシナリオにはないんレロロ!?レロを勝手に持ち出した上にこれ以上、勝手なことすると伯爵タマにペンペンされるレロ」
「千年公は僕にそんなことしないもん」
泣き叫ぶ傘にイラッとくる。
……おい、傘。うるせぇぞ。
無言でレロに殺気を飛ばすと大人しくなった。
つうか、未だロードには甘いのかあのデブ。だから、こんなことすんだよ。子供の面倒くらいちゃんと見ろ。
「物語を面白くするためのちょっとした脚色だよぉ。こんなんくらいで千年公のシナリオは変わんないってぇ」
ケタケタ笑うロード。
いや、変わる。確実に。アレンの存在はこの戦争に必ず影響を及ぼす。
そうだろう?…………マナ。
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