第46夜 泣けない人形
「篠神ーーーー!」
『げふっ!?』
「あ、ごめん」
素直に離れたロードを睨み付ける。流石に手加減しろよ。何故かロードが作った服を着させられ、浮いている椅子に座っている。と格好良く言ったが、実際調子に乗ったロードにかなり怪我をさせられて気力がなく椅子に座っている。
しかも、何故かアレンの団服を着ているロード。
「機嫌直してよー!」
『やだ。んで、アレン達誘き寄せるためにミランダ連れてきたんじゃねぇのかよ。つうかアレンのコートパクってきたな』
「流石篠神ー!当たりぃ。だから、つまんないけどぉ喋らないでねぇ」
『へいへい、りょーかい』
「篠神だぁいすきー!」
『キスするな、キスを』
頬にキスをしてくるロードをぶっ叩く。抗議しているロードは無視だ。
「ろーとタマ、ホントにいいレロ〜?」
「千年公に告げ口したら壊しちゃうからぇ♪」
「レロ〜〜〜〜〜〜!!」
『うるせぇ馬鹿傘』
「皆して酷いレロ〜〜〜!!」
泣き始めたレロを足で床に叩き落とした。相変わらずうるせぇ。
『約束忘れるんじゃねぇぞ』
「分かってるよぉ……」
『破ってもいいがその時は手加減しねぇからな。本気で潰す』
「篠神の本気は相手にしたくなぁい!!」
『じゃ、羽目を外すなよ』
「はぁい♪じゃ連れてくるからねぇ」
再び外に出ていったロードに溜め息をついてから、表面意識を沈め、身体中の力を抜いた。
両手を杭で時計に磔られたミランダが目に入る。
『(ごめん、ミランダ)』
いつかきっとロードとも敵対する日が来るのを分かっていても、俺は非常になりきれない。こんなとき自分の目的に真っ直ぐで俺の背中を押してくれるアイツに無性に会いたくなる。
神田、お前が居たらきっと俺は迷わずロードに刃を向けられたのに。
「篠神…?」
ロードがいつの間にか近くに寄ってきていた。酷く心配そうな顔をしている。俺、何かしたか?ロードが俺の頬に手を当てて、優しく抱き締めてきた。
「ごめんねぇ…ごめん篠神。ごめんなさい」
何故ロードが泣きながら俺を抱き締めているのか結局分からなかった。
(酷く泣きそうな顔をしながら泣けない神月。そんな風にしてしまったのは僕達だったのを急に思い知らされた)
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