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第39夜 情報共有

 


『んー…』



リナリー達を待ちにご飯を食べながら、今の状況に着いて考える。
なるべく早くイノセンスを見付けないとAKUMA達がこれ以上黙っているとは思えない。下手をすればノアの一族が来る可能性がある。だが、肝心のイノセンスの場所や関係がありそうだった女の人は見付からない。



『はぁ……』

「溜め息をつくと幸せが逃げちゃうわよ篠神」

『リナリーお疲れー…』

「篠神もお疲れ様。私もアレン君を待っている間に食べようかな」

『そうしろ、そうしろ』



リナリーが注文をしている間に俺は食べ終わって、身体を解す。いつでも人形<ドール>が発動できるように骨組みを引っ張り出す。嫌なくらい機械音がハッキリと聴こえている。まさか……今居る客全員AKUMAじゃないのか。
俺は今の事を紙に書いてリナリーに渡す。喋れば感付かれる。リナリーも察して紙に書いてくれた。



《私達狙い?》

《いや、違う。きっと奴等もイノセンスの場所を探してる。見付けるまでは下手に手出しはしてこない筈だ》

《アレン君が来るまで待機っていうこと?》

《そうだな。とりあえず、今は手出ししてこない限りここのAKUMAは保留》



そこで紙での会話を終わらせ、紙をクシャクシャにしてポケットにしまう。見られたら意味がないからな。



「篠神は上空から脱出が出来ないか試して見たのよね?」

『あぁ。結果的には無理だ。イノセンスなら通るんじゃないかと思ったんだけど予想は外れた』

「そっか……じゃあやっぱり」

『コムイの予想大当たりだな。てかさ、このイノセンスの効果範囲広すぎだろ……』



そこでいったん会話を止めて珈琲を頼む。そう言えば、この店あの奇怪談の店だよな。



「確かに…そうね」

『「空間」「時間」の二つを街全体で長い期間維持し続けている。……まさか適合者が近くに居るとか』

「まさか……でも」

『否定出来る要素も確定出来る要素もない、か』



「リナリー!篠神!」

『お、アレン』

「アレン君!」



扉が開いた音と同時にアレンの声が響いた。俺は席を奥に積めて、アレンを隣に座らせる。フードを被ったままだ。



『アレン。髪の色、気にしてんのか?』

「ちっ違いますよ!ティムが目立つから隠す為にフードを被っているんです」

『隠すな、隠すな。けど、俺は白ってアレンに似合っていると思うんだけどな』

「確かにアレン君のイメージって白って感じがするわ」

「そ、そうですか?」

『ま、いいか。ほら、お腹空いてるなら先に何か頼めよ』



そう言ったら、速攻で注文し始めたアレンにリナリーと苦笑いを漏らす。流石に慣れてきたが……アレンから食い意地だけは消えそうにないな。
とりあえず、お互いの状況報告をザッとする。あのAKUMAや女の人の事も含めてだ。話の途中でアレンがある広告の裏面をリナリーに向けて渡した。



「へっくしょい!!」

「これは何?アレンくん!」



フードを外したアレンの後ろからティムがヒョコっと顔を出した。アレンは鼻を啜りながら申し訳なさそうに口にした。



「…すみません」

「すみませんじゃない。どうして見失っちゃったの」

『……すまん、見失ったの俺。アレンはAKUMAと戦ってたんだよ』

「しかも、すごく逃げ足が早くて…この人」

『人形<ドール>Ver.鳥<バード>も途中で見失った……任されておいて悪いなアレン』

「いえ、篠神の責任だけじゃないですから。でもホラ似顔絵!こんな顔でしたよ」

「似顔絵…?」

「あれ…?」



リナリーがアレンと似顔絵を見て微妙な顔をしている。……アレンが描いた似顔絵気になる。



『リナ、それパス』

「はい」



渡された紙を見て非常に納得した。これは似顔絵って言えるのか……アレン、絵描くの苦手なんだな。



「変ですか?」

「『(うん/あぁ)変……』」



沈黙。紙をリナリーに渡しながらとりあえず、俺が分かる特徴くらいは後で描き直してリナリーに渡そうと決めた。



「でも、こんなことなら別々に分かれずに一緒に調査すればよかったね」

『ホントだよ……』

「昨夜退治したアクマ…確かにその人に「イノセンス」って言ったの?」

「はい」



アレンは話ながら運ばれてきた料理をガツガツ食べ始めた。目が生き生きしている。



「道に迷って路地に入り込んだら偶然見つけて…運が良かったです。多分今回の核心の人物だと思いますよ」

『俺もそう思う』

「アレンくん、篠神。今度から絶対一緒に調査しよう。見失ったのも迷ったからでしょ」



何とも言えない目で見られた。
すみませんねっ!数百年生きてるのに方向音痴で!!



「リナリーの方はどうでした?」

「んーー…コムイ兄さんの推測はアタリみたい。アレンくん達とこの街に入った後、すぐに城門に引き返して街の外に出ようとしたんだけど、どういうワケか気が付くと街の中に戻ってしまうの。ちなみに街を囲む城壁も何ヵ所か壊して出られないか確かめたけどダメね。穴から外に出たと思ったら街の中の元の場所に戻されてた」

『ついでに言えば、俺も地上も上空からも脱出を確かめたけど駄目だな。気が付くと街の中に戻ってる』

「あ、それじゃやっぱり…」

「私達この街に閉じ込められて出られないってこと」

『イノセンスの奇怪を解かない限りな』



俺は溜め息をついた。





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あきゅろす。
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