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第36夜 開始の合図


 


円形の台で人が食事している。見た目がゴツイ奴が、卵をスプーンで掬い、食べた。だが、ソイツは吐き出した。



「…甘くねェじゃん」



その瞬間立ち上がり傍に居たメイドを殴った。



「このポンコツがぁ!!!」



殴られたメイドは人間のような骨はなく代わりに見えたのは機械だった。ゴツイ奴はそのままメイドを殴りまくった。



「このクソッボケアクマ!甘くしろっつったろーが!!」

「おいおい食事中にグロいもんみせんなよ」



青年が顎をつけながら面倒臭そうに言った。


 ・・
「剥けてんぞ」



ゴツイ奴の腕や顔は人間の物ではなく、言うならば怪獣や魔物のようだった。いっときすると戻ったが服は破れたままだった。



「帰る!お前達とは味覚が合わない」

「ンだよ、タマゴくらい食えってのこの甘党!」

「落ち着きなよぉ。折角家族でメシ食ってんだろぉ」



可愛い女の子の声が響く。髪の毛はツンツンの黒髪。だが、家族というわりには全員見た目は似ていない。むしろ国籍すらバラバラだと思われる。見た目はただの少女がある一人の方向を見た。




「なあ千年公?」



メイド以外全員が少女が見た人に注目した。明らかに人間ではない耳と口、肥満な体格。そ知らぬ顔でタマゴを一人だけ食べ続けていた。



「気分直しにさぁそろそろ僕達をメシに誘った理由を教えてよぅ」



千年公と呼ばれたもの以外全員が浅黒い肌で額に聖痕が浮かんでいた。少女が期待を込めた瞳を千年公に向けた。



「もしかしてさぁそろそろ始動ってやつぅ?」



コイツらは全員ノアの一族だ。





その瞬間、俺は飛び起きた。胸はドクドクと高鳴り、異常なくらいの冷や汗が垂れる。
見たことのある面子ばかりだった。面子は変わっていないらしい。



『ロード…ティキ…ルル・ベル…スキン………千年公』



ノアの一族が集まってきている。来るべき戦いに向けて。あれは現実だ。AKUMAを通して俺はあの光景を見ていたのだ。気が付いた時には上着を着て走り出していた。向かうはコムイの所。



「篠神!?」



リナリーの声が聞こえたが、悪いが無視をする。更にスピードを上げて、走り始めて5分で着いた。



「篠神こんな時間にどうした?」

『コムイは!?コムイは何処だっ!!?』

「は?室長?というか少し落ち着けって」



通りかかったリーバーに問い詰める。



『いいからっ!!』

「篠神ほんと何があったんだよ!?」

「あれ篠神くん?」

「室長!」



タイミングよく現れたコムイを掴む。コムイは驚いている。



「ちょっ篠神君!?」

『千年公が…ノアの一族が……動き出す準備をしてやがった!!』

「「「「「「「!?」」」」」」」

『ノア…一族……は………覚醒…………』

「篠神くん!?」



足の力が抜け、膝を着いた。不味い、千年公が干渉しようとしてやがる。ガタガタ震える身体が情けない。

止めろ…干渉するな……俺は違う…止めろ!!!…止めてくれっ!!…助けてくれっ…元帥っ!!!!





「テメェは人だ。それ以外のなんにでもねぇよ。もっと自信持てや神月」





その瞬間プツリと干渉が消えた。酷く熱を帯びたネックレスと腕輪は、元帥の暖かさに感じられた。



「篠神くん!!」

「篠神大丈夫か!?」

『もう…大……丈夫…………』



意識が途切れた。





(意識を取り戻した時、いつも以上に身体がスッキリしていたのはきっと気のせいじゃない)


第三章 壊滅未遂事件といつもの姿 Fin.


NEXTSTAGE 第四章 巻き戻しの街

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