第33夜 タイムリミット
〔アレン君とリナリー、マリ君とデイシャ君それぞれ10分以内に集合〕
「兄さん、任務?」
〔そうだよ。篠神はもう少しお留守番〕
『へーい』
どうせ言われるのを覚悟していたので、反抗する気はない。神田に念(と言う六幻抜刀と言う名の脅し)を押されてるだろうし。
構わずご飯を食べ続ける。
〔そう言えば、篠神君体調どうだい?〕
『まあまあだな。悪くはねぇけど、本調子ではない。身体が悲鳴あげてるのかもな……』
〔…………もう一時ちゃんと休むんだよ篠神君〕
『わーってるよ』
〔それで、篠神君は任務ではなく別件で後で来て欲しいんだ〕
『は?』
思わず箸を止める。コムイが呼び出すなんて嫌な予感しかしない。
〔いやだなぁ篠神君。そんな実験台にしようとしてる訳じゃないんだから〕
『「(テメェ/兄さん)ならしかねない(わ)」』
〔リ、リナリーまでっ〕
『ナイスリナリー!』
〔じゃなくて、真剣な話だから!〕
『どうせヘブからの呼び出しだろ?たっく、あいつ倒れる度に呼び出すなっつうの……何しても無駄なんだからな』
俺の身体は200年以上と言わず生きている。身体は生身なので、限界が近いだけだ。無茶をしなければ後100年が限界、と言うところだろうか。
〔あのねぇ篠神くん……〕
『あーーーうっせぇ!ヘブの所には後で行くからそれ以上言うな!だいたい俺は教団設立当初から居るのに解決方法が全く見付かってねぇだろ?…………人はいつかは死ぬんだ。俺はそれが遅くなりすぎただけなんだよ』
ガタンとわざと音を発てて、俺は席を立った。横に置いてあるヴァイオリンを肩に背負ってトレイを持った。
『御馳走様、お先に失礼するよ』
「篠神!?」
アレンの声が聞こえたが、俺は無視してトレイを返し食堂を早足で出た。
「あの……コムイさん」
〔アレン君、篠神君の事見てあげてね。神田君が居ないと絶対に無茶するから〕
「あ、はい」
「篠神は……後どれぐらい持つのだろうな」
マリの言葉に僕は彼に視線を移した。
〔100年……持てばいい方だと思うよ。でも、無茶をすれば限界は早まると考えてる〕
「……篠神とは長い付き合いになるからこそ思うが、私は50年も持たないと思う」
「なんで……」
泣きそうな顔でリナリーがマリを見ていた。
「篠神の心音は弱まってきている。発作の回数も数年前の倍以上だ。必要以上に彼を任務に出すのは……限界が近くなるだけになる。神田ですら篠神の様子が可笑しいと言っているんだ、間違いはないと思う」
〔神田くんが……ね。まぁ兎も角君達任務の事忘れてない?〕
「「「「あ」」」」
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