第31夜 IN食堂
「もーそんときの神田凄かったんだぜ」
『マジギレだったな、アレは』
「テメェらっ」
『おやーその時俺が倒れたの誰のせいだったかなぁ?神田』
「それはっ…………」
「黙りましたね」
「篠神のことに関しては責任は感じてるのよアレン君」
「篠神のことに関しては神田も敏感じゃん」
色々と事情を共有している俺達三人は黙り込む。たいそう昔からの知り合いだ。特にマリとは付き合いは長い。暗黙の了解で俺とマリは話を反らすことにした。
「そう言えば、皆はどの元帥についていたんですか?」
「俺はティエドール元帥じゃん」
「私もだ」
『ついでに神田もな』
「私は直接教団に来たから、元帥の弟子ではないわ。けど、全員見たことはあるよ」
『俺は……教団で一番最初に元帥になった人だ。まぁ100年前の話になるから流石にもう亡くなってるけどな』
「どんな人だったんですか?」
『そうだなぁ……服も髪も派手だったけど、超絶のイケメンだった。中身はクロスから酒と女と借金と逃亡を抜いた感じだ』
「「「「「……」」」」」
なんとも言えない目で見られた。
簡単に言えばクロスよりはマシな性格な派手なイケメン。横暴だったが、ちゃんと優しいところもあったんだ。
無意識に右手に付いている腕輪とネックレスを撫でる。彼に形見として貰った品。この生きていた数百年の中で唯一本当に心から尊敬し、家族と呼べる俺の大切な人。
『良い人だったよ……あの人が居たから、俺は今此処に俺として居るんだ』
「……初めてお前からソイツの話聞いたな」
『………結構亡くなったこと落ち込んでたからな。前は話すのもキツかった』
そんな時にアイツらと出会った。俺に光を射してくれた。だから、今は話せるんだ。
『ま、俺の大切な人ってわけだ。尊敬出来る元帥だったよ』
「篠神にそこまで言わせれる人なのね。会ってみたかったわ」
楽しそうなリナリーに思わず口が緩む。少しでもあの人が覚えられているならそれで良い。
「そう言えば、この間の任務で――」
デイシャが話始めたのを見て隣に居る神田に小声で話しかける。
『(神田、これから先の任務気を付けろよ)』
「?」
『(嫌な感じがする)』
「(伯爵絡みか?)」
『(そういうこと。最近ノアの一族の気配が強くなってる)』
「(いよいよ動き始めてるってわけか)」
『(まだ一時は大人しいはずだ、千年公はハート破壊を確実に行いたいだろうしな。まぁ気を付けろと言いたいだけだ)』
「(俺には関係ねぇ)」
『(そういうと思った)』
神田の肩を軽くポンと叩いてから、俺は再びアレン達の会話に耳を傾けた。
(千年公やノアの気配を感じやすい。この和やかな風景は嵐の前の静けさに感じた)
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