[携帯モード] [URL送信]
第30夜 組手

 


「篠神ー……って神田も居たんですか」

「はっ、わりぃかよ」

『会う度に喧嘩すんな馬鹿共』



教団にアレンが入団してから約1ヶ月が経った。ようやく俺の身体の調子が戻り、鍛練をし始めた。

アレンもようやく慣れてきたようで、最近は少し楽しそうだ。リナリーと仲良しみたいで、よく一緒に話している。まぁ同年代だから話しやすいんだろうが、正直お似合いだなぁとか思ったり。

非常に迷惑なのはアレンと神田の仲の悪さだ。被害を被るのは大抵どちらか片方とよく居る俺である。



「あ、篠神。もうお昼ですけど、一緒に食べに行きませんか?」

『んー……神田、後一戦やってから昼にするか?』

「当たり前だ。このまま負けで終われねぇ」

『つうわけだ。俺は神田と食べるから、リナリーでも誘って先に行けよ』

「なら、午後から僕と組手しませんか?」

『神田、午後から任務だったよな?』

「あぁ」

『じゃやるか!アレン』

「なら見ていってもいいですか?」

『いいけど』「どっかいけ」

「神田には聞いてません」

「何だとモヤシ」

「アレンです。何度言ったら分かるんですか?バ神田」

「あ゛あ!?」



結局始まる口喧嘩に俺は溜め息をついた。周りで鍛練をしていた探索部隊の人達がまたかと言う顔で苦笑いしている。

同族嫌悪だなこの二人は。

俺は睨み合っていた二人の顔に手を置いた。



『はいはい、そこまで。アレンは邪魔にならねぇところまで下がれ。後、神田は見るくらい文句を言うな。餓鬼じゃあるまいし』

「なんだと篠神」

『逆上して攻撃が単調になるのがお前の悪い癖だ、アホ。ほら、下がれアレン』

「あ、はい!」



後ろに下がったアレンを見て神田の顔から手を話して構えた。すぐに神田も距離を取って構えた。



『先にどーぞ♪』

「後悔すんなよ」

『此方の台詞だ』



打ってくる神田の攻撃を全て往なしていく。剣だと隙がでない神田だが、体術は少し甘い。その隙を見てカウンター方式で強い一撃を打ち込む。



『まだまだだなユウ君♪』

「ファーストネームで呼ぶんじゃねぇ!」

『なら、俺に勝って見せろバ神田』

「上等だアホ篠神!」


「篠神と神田ってこれで仲悪くないから不思議……」

アレンの一言に吹き出す。

確かに端から見たら俺と神田の会話はただの喧嘩だろう。だが、古い付き合いだからこそ言い合えるんだ。気がねなく言葉を出せる。俺と神田は、当たり前のように喧嘩するが、その分相手を知っているので信頼出来る。そんな関係なんだ。

そう言うとアレンと神田も結構気が合うと思うんだが、あれはやり過ぎだ。

アレンの言葉に神田と目を合わせて御互いに笑った。



『やめるか』

「気が反れたな」



御互いに同時に止めた。アレンが不思議そうにしていた。



『神田も来いよ、どうせならマリ達も誘おうぜ』

「はっ誰が」

『俺に負けたら言うこと聞く約束だよなぁ?神田ユウ君』

「チッ」



嫌そうに舌打ちした神田を素手で殴った。当然殴りかえそうとしてきたが、さらりと避けた。



『そーいえば、スーマンはもう居ないんだっけ』

「スーマン?」

『お前と同じ寄生型のエクソシストだよ。折角だから会わせたかったな。まぁいつか会えるか』



置いてあったタオルと水を取り、一枚を神田に投げ渡す。何も言わずキャッチする神田。



「神田と篠神って息合ってますよね」

『腐れ縁だからな、神田』

「うるせぇ」

『少しは他の言葉ねぇのかよバ神田』

「テメェもなアホ篠神」



軽く睨み合うが、すぐに止めアレンの頭を掴む。



「わっ!?」

『ほら行くぞ。お前腹空いてるんだろ?』



団服は手に持った。流石に今着るのは熱い。神田も団服を持って俺の隣まで来た。団服から無線ゴーレムを出して発信する。



『リナリー、食事行くか?アレンと神田ももれなく一緒だけど』

〔行く!先に食堂行って待ってて〕

『後、マリとデイシャ見かけたか?』

〔いいえ、2、3時間の間は見てないわ〕

『りょーかい。かけてみるわ、待ってるからな』



すぐにマリの方にかけ直した。俺達の足は食堂に進んでいる。



『マリ、今何処だ?』

〔篠神か?今は書庫だが〕

『もう昼だぜ。飯食わねぇか?神田とリナリーとアレンが一緒だ』

〔アレン?〕

『ほらこの間入ったエクソシストだ。折角だし顔合わせとけよ』

〔そうだな。折角だ、行くことにしよう。デイシャも誘うのか?〕

『そのつもり。ほんとはスーマンまで誘いたかったんだけどな』
 
〔なら、私が声をかけておく〕

『頼んだ、じゃ食堂でな』



無線が終わり、ゴーレムが俺の肩に乗った。



「篠神って他のエクソシストとも仲が良いんですね」

『同じエクソシストだし、全員入団当初から知ってるからな。流石に探索部隊は何回か行ったことある奴しかわかんねぇな』

「……師匠のことも知ってますか?」

『あの飲んだくれか?よーく知ってる。一回借金押し付けられそうになって、倍返ししてやったらもう二度としてこなくなった』

「「……」」



なんとも言えない目で神田とアレンに見られた。





((師匠に勝つなんて……))
(お前まさかイカサマしてねぇよな?)
(出来るけど、しねぇな。人一倍動体視力と勘はいいんで。後長年の知恵?(千年公やノア一味が暇で、ギャンブルやゲームをやらされてたとか言ったら怒られそうだしな))
(……チェスもか)(あー……これ以上は察してくれ神田)
((伯爵絡みか))



NEXT

[*前へ][次へ#]

8/17ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!