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第28夜 後遺症

 


『よお、ジョニー大丈夫か?』

「あっ!篠神もう病室出て大丈夫なの!?」

『いちような。婦長が少しは身体を動かしてこい、だとよ』



欠伸しながら科学班一同にかるく挨拶を交わす。



「眠たそうだな、篠神」

『あんだけ爆睡してたっつうのにまだ寝足りねぇんだよ。思ってた以上に身体に負荷がかかったみたいだ。そんなことより、コムイは?』

「そんなことってなぁ……室長なら奥に居るはずだけど」

「あっれー?篠神じゃん」

「帰ってきてたのか」

『デイシャにマリ!此方の台詞だって』



デイシャとハイタッチを交わす。

エクソシストの中でもよく話す二人に会い、自然と雰囲気が和やかになる。



「久しぶりじゃん!どっか遠い任務にでもいってたのか?」

『そうでもねぇよ。最近はヨーロッパ周辺の近場の任務ばっかだ。帰ってからすぐに行くの繰り返しだったからすれ違ってたんじゃねぇか?』

「逆に私達は遠場の任務が多かったからな」

『何処に行ってたんだ?』

「アジア周辺でいくつか任務をしてたから、結構長期で向こうに居たはずだよなマリ」

「そうだ」

『アジアか……そういえば最近行ってねぇ…ふあぁぁあ』



また出る欠伸と眠気に嫌悪をする。最近少し酷いな。



「篠神無理したのか?」

『少々な。新人エクソシストのアレンと神田と任務に行った先で、色々な不測の事態と俺の体調の悪さが重なって、本気出したら最悪な状態になった』

「神田か……大変だったな篠神」

『俺の苦労を分かってくれるか、マリ。いや、つうかその時はまだ体力が無くてイノセンス発動しなきゃ大丈夫な程度だったんだが……あの馬鹿コムイのせいで』

「コムリンUの騒動の話でイノセンス発動したと先程聞いた」

「倒れたのはコムイのせいじゃん……」

『んで、リナリーが俺をネタに閉じ込めたわけだ』

「「なるほど……」」



大人しく仕事をしていたコムイを見たらしい。妙に納得していた。



「あ、篠神!スーマンも帰ってきてるよ。後でチェスやろうってさ!」



ジョニーが持ち運びが出来るチェスセットを振っていた。



『お、マジで。りょーかい。こっち来たら暇な時行くか、部屋に来るか、呼びに来いの3択で伝えて』

「分かった」

「篠神起きてたの!?あ、お帰りなさい。マリ、デイシャ」

「ただいまじゃんリナリー」

「ただいま」



珈琲を持ってきたリナリーが此方にやって来る。



「たしか起きていたの一昨日よね?」

『……覚えてねぇ。1週間前なら覚えてるけど』

「本当に大丈夫か!?篠神」

『最近俺も思ってるよ。だけど、どうしようもねぇからな』

「篠神も珈琲飲む?」

『貰う……眠気が全くとれねぇ』



リナリーから珈琲を貰い飲むが、全く苦いと感じない。これはマジで末期だ。



「……味がしないのか?」

『アハハ…これは流石に不味いよな』

「あら?篠神顔赤いわよ」

『は?』

「ほんとじゃん!熱でもあるかも」



マリが手を額に当ててきた。冷たくて気持ち良い。



「……相当熱あるぞ」

「もしかして、倒れたせいで抵抗力が下がって風邪ひいたから味がしない……とか?」

『…………ありうるな』

「それに気付かない篠神って……」

「「「「「はぁ」」」」」

『鈍くて悪かったな!!!』



その場に居た科学班を含めた全員に溜め息をつかれた。

自覚してますよ!俺が怪我とか風邪に鈍いのは!!



『これ以上があって慣れすぎて感覚がわかんねぇんだよ……』

「とりあえず、」

「篠神を医務室に連れていく」

「お願い」



右をデイシャ、左をマリに捕まれた。そのまま引き摺られながら俺は医務室へ引き返すことになってしまった。





((篠神は無茶しすぎじゃん))
((全く……また神田が不機嫌になるな))



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