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第23夜 帰還とコムリン

 


「『ふぁぁぁあ…』」



俺とアレンは揃って欠伸をする。その事に互いに顔を見合わせて笑った。トマも笑いをもらしていた。

俺は汽車で爆睡していたにも関わらず、眠気は取れず、体力気力もあまり回復していない。



「だいぶ遅くなっちゃいましたね〜〜〜〜」

『だな……』

「この嵐で汽車が遅れましたから…」

「眠い…もう真夜中だなあ…回収したイノセンスはどうしたらいいのかな」

「科学班の方なら誰か起きてらっしゃると思いますよ」

「じゃあ行ってみます」

『とりあえずそこまでは俺も付いて行くわ……ふぁぁあ』

「篠神、無理しないでくださいね」

『へーい…』



ドサッ



「!?」

『ドサッ……って、は?』

「え?」



階段から落ちてきたのはリナリーだった。慌ててアレンが抱き起こした。俺も近寄るが、微かに聞こえた聞き覚えのある妙な音に身体を止めた。



「リ、リナリー!?どうしたんですか!!」

『まさか……』

「も、戻ったかアレン、篠神…」

「『!』」



階段の上から降りてきたのは怪我をしているリーバー。リーバーが来たってことは俺の嫌な予感見事に当たりそうだ。



「リーバーさん!?」

「そのキズ…?何かあったんですか」

「に…逃げろ」

『リーバー、まさか……』

「コムリンが来る…」

「は?」



ドドドドドドドドドドドカン



壁を突き破ってきたのは見覚えのある機械。



「来たぁ」

『やっぱしコムリンかよ!?』

「!?」



コムリンは勢いまま水の中にザッパーンと入った。



「え゛ぇえ゛!?な、何アレ?何アレ!?」

「くっそなんて足の速い奴だ…」

『リーバー、トマ、アレンすまん!!先に逃げるからなっ!!流石にコムリンの相手する体力気力ない!!!』

「えぇ!?篠神!!」



俺は皆を置いて階段を先に駆け上がった。今の状態じゃ俺が一番走れないからな。



「手術ダーー!!」



コムリンの声が聞こえた。後ろからアレン達が走ってきた。



「篠神ーー!!大丈夫か!?」

『む…無理……マジで…今…ヤバイんだって……ば』

「くそっ、篠神乗れっ!!」



あっさりリーバー達+コムリンに追い付かれた。俺は既にフラフラ状態だったため、遠慮なくリーバーに背負って貰った。



「うわわわっ追ってくる!追ってくる!!」



再び走り始めた一行。リナリーはアレンが背負っている。アレンはリーバーの方を向く。



「リーバーさん!ワケがわかりません!!」

「ウム、あれはだな!コムイ室長が造った万能ロボ「コムリン」つって…見ての通り暴走している!」

「何で!?」

『あの野郎……後で…一発…入れてやる』



どうやらリーバーの話を纏めるとこう言うことらしい。

30分前に残業をしていた科学班に、リナリーが丁度コーヒーを持ってきて小休憩に入ったときだったらしい。コムイがハイテンションで見せに来たのが、「コムリンU」だった。なんでもコムイの人格を完全コピーした万能ロボらしい。仕事を楽にしようと、資料の解析やら、対アクマ武器の修理やら適合者のケアサポートも行うんだとか。
そこで事件は起こった。リナリーの持っていたコーヒーをコムリンが飲んだらしい。そこでコムリンの頭が爆発を起こした瞬間、リナリーがコムリンに注射器で刺された。暴走したコムリンがリナリーをマッチョに改造しようとして、暴れ始めたらしい。



「――というワケだ。悪いな…こんな理由で」

(((アホくさ……っ!!)))



いったんリーバーは俺を下ろした。ホントに体力が0に近いなかで走れなかったから、助かった。



「リナリーは大丈夫なんですか?(エクソシストなんだ…)」

「コムリンの麻酔針くらって眠ってるだけだ。はあぁ〜〜〜〜ラクになりたいなんて思ったバチかなぁ…」

「え?」

「お前たちエクソシストや探索部隊は命懸けで戦場にいるってのにさ、悪いな。おかえり」

『あぁ……ただいま、リーバー』



俺は微かに微笑んだ。嫌いじゃない、むしろ好きな言葉。ここに来て初めてこの言葉の暖かさを知ったんだ。



「アレン?」

「え…あっはい!」



アレンはボウッとしてたらしく焦ったように返事をした。



「何だよ。もしかして任務の傷が痛むのか?報告は受けてるぞ」

「いえっ平気です。た、ただいま」

「?」

『…………』


アレンのただいまは非常にぎこちなかった。





(案外俺とアレンは似た者同士かもしれない)


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あきゅろす。
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