第15夜 急ぐ気持ち
ガッ
ガガガガガガガガガガガガガ
――スポッ ドサッ
「大丈夫?グゾル」
「ああ…ララが落ちるスピードを緩めてくれたからたいした衝撃じゃあなかったよ…」
「よかった」
帽子の下に隠れていた長い髪と人間にはない機械が頭についた少女。その少女の手は潰れてしまっていた。老人はその手を見るとすぐに起き上がった。
「! ララ手を潰してしまったのか!?」
「いいの、全然」
「どうせグゾルが動かなくなったら私も動かなくなるんだもの。それまでもてばいいの」
「うっ」
「! グゾル!?」
老人は突然胸と口に手を当てた。
「はあっはっ…ゲホッ」
ボタタ…と老人の口から血が吐かれた。少女は老人を優しく抱き締めた。
「グゾル…もう、あまり時間はないのね。私に何か出来ることはない……?」
「『…………』」
「ど、どうしよう…」
『マジで』
「『迷った』」
狭い通路で俺とアレンは呟いた。とりあえず俺が道を覚えながら行っているが、地上に出られそうな道はない。
アレンは既に半泣き状態。
「あ゛あ゛あ゛っ!!むやみやたらに動くんじゃなかった!ここ凄い迷路だよっ!こんなトコで迷子になってる場合じゃないのに〜〜〜〜〜〜っ!!」
『とりあえず落ち着け、アレン。そう言えば…よく今まで迷わなかったな』
「ティムキャンピーが居たからですよ……」
『なるほど…流石ティム』
「あぁ……ティムキャンピーがいてくれたらなぁ…」
『だな……っ!?』
「篠神?」
『…………っ何でもない』
危ういな……発作が起こりかけてる。早く神田と合流しなきゃ行けないんだが……。
「篠神」
『今度は何だよ?』
「何か聞こえませんか?」
『……確かになんかバリバリって音が聞こえるな』
「まさか…………」
とアレンが言った次の瞬間だった。ティムキャンピーが壁から飛び出してきて――
「ぶへっ!?」
アレンの顔に思いっきりぶつかってきた。ティムキャンピーはそのままアレンの頬に擦り寄っている。
「ティ、ティムキャンピー!」
『お前……どうやって来たんだよ』
ティムは満足したのか、アレンから離れた。が、今度はアレンの髪の毛を懸命にある方向に引っ張り始めた。
『ティム?』
「もしかして着いてこいって事ですか?」
今度は急かすように尻尾でバシバシアレンの顔を叩いた。
「痛い!!分かった!!分かりましたから!!」
ティムキャンピーに続きアレンと俺は進み始めた。
『ティムは何で急かしてるのか分かるか?』
「多分ですが、僕を通じて何かを神田に伝えたいんではないでしょうか」
『…………まさか』
「篠神?」
『あのバ神田、俺の忠告忘れたな』
俺は頭を抱えた。あの野郎……俺の親切を無駄にしやがって。
「あの気を付けろと言っていた奴ですか?」
『トマとアクマが入れ替わってもわかんねぇと思わないか?』
「あっ!?」
『急ぐぞ!!この中のエクソシストで唯一神田だけがアクマが見分けられねぇ!!!』
「はいっ!」
俺とアレンはスピードを上げた。
((頼む……二人とも無事で居てくれ!!))
(篠神はアクマと人間の区別がつくんですか?)
(ん……アクマの機械音が分かるんだよ、耳が異常にいいからな(それだけじゃねぇけど……))
(へぇ……)
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