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第11夜 レベル2

 


『…神田』

「どうした?」

『多分探索部隊<ファインダー>全滅してる。AKUMAの発砲音が凄い』

「だろうな」

「なっ!?どうして分かるんですか!?」

『聴こえただけだ。レベル2が一体、レベル1が約6体ぐらい……人の息は微かに聞こえるが虫の息だな』

「急ぐぞ、篠神」

「了」

「Σちょ、待ってくださいよ!!」



アレンを置いてスピードをあげたが、すぐに追い付いてきた。ある程度は鍛えてるらしい。



『そういえば結構面白い内容だよな、今回の奇怪現象』

「たしかにな」

「マテールの亡霊がただの人形だなんて…」










 岩と乾燥の中で
 劣悪な生活をしていたマテールは
 「神に見離された地」と呼ばれていた

 絶望に生きる民達は
 それを忘れる為人形を作ったのである

 躍りを舞い歌を奏でる快楽人形を

 だが結局人々は人形に飽き
 外の世界へ移住
 置いていかれた人形は
 それでもなお動き続けた

  五百年たった現在<いま>でも…












確かこんな話だった。



「イノセンスを使って造られたならありえない話じゃない」



ゾクッ



「「『!!』」」



目的地に到着した瞬間だった。ヒヤリとした冷たい感触が肌を触った。



「ちっ、トマの無線が通じなかったんで急いでみたが…殺られたな」

「………」



苦々しい顔でアレンはマテールを見つめていた。

けど…この短時間で結界装置<タリズマン>が簡単に壊されるか?今回この微妙な体調で着いてきたの間違いだったかも知れないな……。



「おいお前。始まる前に言っとく。お前が敵に殺されそうになっても任務遂行の邪魔だと判断したら俺はお前を見殺しにするぜ!」



出たよ、神田のツンモード。こんなこと言いながら助けるのが神田だ。



「戦争に犠牲は当然だからな。変な仲間意識持つなよ」

「嫌な言い方」

『んな事言いながら最後は助ける癖に…ツンデレ野郎』



思いっきり神田に睨まれた。その次の瞬間だった。



ドン



「「『!』」」

『あ!ちょっ待て!!アレン!!!』

「あの馬鹿モヤシッ!!!」



何だかんだ言いながらアレンの心配してるんだな。俺達は飛び出していったアレンを追いかけ始めた。





















「どんどん撃ってーー」

「うぐ…」

「この人間め。装置ごと人形を結界に閉じ込めるなんて考えたね。こりゃ時間がかかりそうだ」

「イ、イノセンスはお前らアクマなんかに渡さない…っ」



ピエロ見たいなレベル2は探索部隊の人間を踏み潰した。



「ギャアア」

「ヒマ潰しにお前の頭で遊んでやる」



「やめろ」



白髪少年もといいアレンはピエロみたいなAKUMAに左腕を発動させ攻撃した。



「!?」



結界の中に居た少女が事態に気がつき、顔をあげた。ピエロもといいレベル2は、アレンの左腕を器用に掴みあげていた。



「にこ!何、お前?何よ?



そう言いレベル2がアレンに足蹴りしながら叫んだ。見事にアレンは吹っ飛ばされ、壁に激突し壁は壊れた。

ドン!!!ガラガラガラ

それを俺は屋根の上から見ていた。一足遅れて隣に立ったポニーテールの長髪男もといい神田は呟いた。



「あの馬鹿」

『アレンはレベル2見たことねぇみたいだな』

「助けないとはお前らしくねェな」

『死にそうになったら助けるって。俺は今回全力じゃ戦えねぇしな』

「なら、油断はするな。あのモヤシは任せる」

『任せろ。ティムはアレンについていかないのか?』



軽くティムを撫でてやるとアレンが飛ばされた方向に飛んでいった。改めてAKUMAを観察することにした。



「今までの白い奴らとは違ったな。黒い奴だった……?」



アレンの左腕を掴んだ手をレベル2が見た。流石にイノセンス掴んで無事ではすまないだろうからな。



「あ〜〜〜…分かった!この破壊力<ちから>…お前が「エクソシスト」って奴だなぁ?」



ティムが飛んでいた下が盛り上がり、瓦礫の下敷きになっていたアレンが顔を出した。



「探索部隊<ファインダー>の人達を殺したのはお前か…!」



レベル2が嬉しそうな顔でアレンを見ている。俺と神田は静かに見下ろしたままだ。



『レベル2か…厄介なもんと遭遇したな』

「あのモヤシ馬鹿か…考えナシに突っ込みやがって」

『能力も未知数、初期レベルより強い上に自我も持っている。どうにかして能力を確かめないとな』

「あそこに居るどちらかがおそらく人形だろう。結果も4つでは長くは持たないな」

『じゃあ俺はアレンの補佐で、アレンはレベル2の相手、神田は人形。でどう?』

「賛成だ」



そう言うなり神田は刀…装備型イノセンス『六幻』に手をかけ、鞘から抜いた。



「いくぞ六幻!抜刀!!」


六幻の刃の部分に手をあて、上に動かし始めた。神田の手の通った後はよく切れそうな刃に変わった。



「イノセンス発動!!!」

『俺もやりますか!』



俺も骨組みを取り出した。今回のバージョンは何にするかな。



『決まり!Ver.騎士<ナイト>発動!!!』



骨組みは銀色の鎧をつけ、鋭い槍を持ち馬に乗った騎士になった。



『さぁ…アレンと神田を守る騎士になろうじゃねぇか』



レベル2とのイノセンスの取り合いが始まった。





(…誰かを守るときに決まって出る騎士<ナイト>をだしたのか)
(嫌な予感が止まらない)



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