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第10夜 奇怪とイノセンス

 

「古代都市 マテール」
今はもう無人化したこの町に亡霊が棲んでいる――


調査の発端は地元の農民が語る奇怪伝説だった


亡霊はかつてのマテールの住人
町を捨て移住していった仲間達を怨み
その顔は恐ろしく醜やか
孤独を癒すため町に近づいた子供を
引きずり込むと云う











































「毎回こんなんなんですか!?」

『だから言っただろ!余計な荷物持つなって!!』

「…納得しました」



俺達は電車に乗るために全力疾走中である。が、アレンは資料を見ながら顔を上げず障害物を避けている。



『つうか器用だなアレン。資料見ながらよく普通に走れるな』

「これくらい大道芸に比べたら楽です!あの、ちょっとひとつわかんないことがあるんですけど…」

「それより今は汽車だ!!」

『コムイの野郎思ったよりだいぶ時間押してんじゃねぇか!!』



屋根の上から飛び降り、鉄柵に降りた。既に下を走っている汽車を目撃する。



「お急ぎください、汽車がまいりました」

「でええっ!?これに乗るんですか!」



いつもの事なので躊躇いもなく俺と神田と探索部隊<ファインダー>は汽車に向かって飛び降りた。アレンもあまり躊躇わずに飛び降りた。



ダン



「飛び乗り乗車…」

「いつものことでございます」

『慣れろ、アレン』




































「困りますお客様!」



そりゃ乗務員は困るよな、俺達が急に屋根から侵入して汽車の中に入ってきたのだから。



「こちらは上級車両でございまして一般のお客様は二等車両の方に…てゆうかそんな所から…」

「黒の教団です。一室用意してください」

「!黒の…!?か、かしこまりました!」



部屋を用意するために乗務員は走っていった。アレンは不思議そうにしながら飛び降りてきた。



「何です、今の?」

「あなた方の胸にあるローズクロスはヴァチカンの名においてあらゆる場所の入場が認められているのでございます」

「へえ」

「ところで私は今回マテールまでお供する探索部隊<ファインダー>のトマ。ヨロシクお願いいたします」

『お前確か今回で一緒になるの3回目ぐらいだよな。またよろしく』

「はい」






























「で、さっきの質問なんですけど」



乗務員が戻ってきて上級車両の部屋に入った俺達は、資料を読み始めたがふとアレンが思い出したかのように質問してきた。ちなみに俺は神田の隣に座っている。



「何でこの奇怪伝説とイノセンスが関係あるんですか?」

「(めんどくせ…)チッ、イノセンスってのはだな…」

「(今「チッ」って舌打ちした)」



面倒臭そうに珍しく神田が説明し始めた。



「大洪水<ノア>から現代までの間に様々な状態に変化している場合<ケース>が多いんだ。初めは地下海底に沈んでいたんだろうが…その結晶<いし>の不思議な力が導くのか人間に発見され色んな姿形になって存在していることがある。そしてそれは必ず奇怪現象を起こすんだよ、なぜだかな」

「じゃあこの「マテールの亡霊」はイノセンスが原因かもしれないってこと?」

「ああ」



神田の言葉を引き継ぎ今度は俺がアレンに話を始めた。



『゛奇怪のある場所にイノセンスがある゛だから教団は、そういう場所を虱潰しに調べて可能性が高いと判断したら俺達エクソシストを回すんだ。まぁ今回は確実だな、俺的に』

「……お前いつ資料読んだ?」

『室長室で全部読んだ。まぁアイツらの動きは俺自身がよく知ってる。見なくても分かるさ』



ムッとした顔で見てきた神田は、そこまでは言わなくていいと物語っている。また資料に目を落とした二人はある場所に行き着いたはずだ。



「!」

「これは…」

「そうでございます」



外で見張りをしていたトマが、ドアの外から話し出した。



「トマも今回の調査の一員でしたのでこの目で見ております。マテールの亡霊の正体は…」

『躍りを舞い歌を奏でる快楽人形…五百年動き続けた、な』





奇怪現象と神の結晶


(人形なんて聞いたら昔の事思い出しちまう…)


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