第5夜 白髪少年入場
神田は人形<ドール>から六幻を離させるとアレンにそれを差し向けた。イライラ度がほぼMAXな神田に俺は急かすためにゴーレムに向かって怒鳴った。
『早く説明しやがれっ!!馬鹿コムイっ!!』
〔篠神くんさっきから酷〜い。もう、待ってよ神田くん〕
「コムイか…どういうことだ」
〔ごめんねーー早トチリ!その子クロス元帥の弟子だった。ほら、謝って。リーバー班長〔オレのせいみたいな言い方ーーー!!〕
『元はと言えば門番が勝手にアウトにしたのがわりぃだろ』
「ちょっ待てええぇぇえ!!」
門番が後ろで叫んだが無視してコムイに先を促すと、また喋り始めた。
〔ティムキャンピーが付いているのが何よりの証拠だよ。彼はボクらの仲間だ〕
「…………」
神田が黙ったままアレンに六幻を向けている。と、気配を感じ後ろを向くといつの間にかリナリーが来ていた。リナリーはしーと唇に指を押し当ててから、神田をファイルで可愛らしくぱこっ っと叩いた。
「もーー。やめなさいって言ってるでしょ!早く入らないと門閉めちゃうわよ」
唖然としている神田とアレンを置いて俺は先に中に入った。こう言うときのリナリーは有無を言わさない迫力があるから大丈夫だろう。
「入んなさい!」
「「……」」
どうやらちゃんと二人とも中に入ったようで。ガシャンと派手な音をたてて門は閉まった。
「さっきはごめんなさい。私は室長助手のリナリー。室長の所まで案内するわね。よろしく」
そこまでリナリーが言ったら神田は後ろを向き、黙って帰ろうとした。が、アレンがそれを視界に入れたらしく呼び止めた。
「あ、カンダ」
「………」
「……って名前でしたよね…?」
本当に効果音が付きそうなくらい神田はアレンを睨んだ。
コムイのせいで出会い最悪だったからな。しかも、何か苛々してるし。
アレンが手を差し出しながら言った。
「よろしく」
「呪われてる奴と握手なんかするかよ」
『へー。なら神田、俺もだよなー、体に変なの封印されて同化しちゃったしねぇ?』
明らかに殺気付きで睨まれた。
さっきの六幻を斬りつけてきた時、わざと力を抜かなかったお返しだ。
その後は珍しく神田は何も言わず、去っていった。アレンの手は虚しくそのままの状態だったので、俺が握ってみた。虚をつかれた顔をしたのでしっかり握ってから喋った。
『さっきも言ったけど俺は篠神。いちよう名前は神月になるけど、嫌だから呼び捨てでも構わないから篠神で呼んでくれ。よろしくな、アレン・ウォーカー』
「あ、はい。よろしくお願いします、篠神。僕はアレンで構いませんから」
『あぁ分かった、アレン。そう言えば、リナリー。神田の奴何かあったのか?』
「任務から戻ったばかりで気が立ってるの。ごめんね、アレンくん」
「い、いえ。大丈夫です」
ふと、いま思ったが俺確か病棟から飛び降りてきたよな。
『………ヤバ』
「どうかしましたか?篠神」
キョトンとした顔でアレンは俺を見てきた。
うん、知らなくて当然だよな。婦長の怖さ。リナリーも気が付いたらしく、あっ と言う顔になった。
「篠神、婦長に見付けられる前に戻った方が良いわよ」
『だよなぁ……暇だから戻りたくねぇけど…………ま、いっか。どうせ怒られるのは一緒だし着いていくぜ』
「………篠神」
呆れ顔でリナリーに見られた。本音は暇だからに決まってる。
「アレンくん、教団内案内しながら行くわね」
「はい!お願いします」
アレンとリナリーは先に行き始めたので、後ろをゆっくりしたペースで俺は着いていくことにした。
リナリーがアレンに教団内を説明しながら歩いているのをぼんやり聞き流していた。
実を言えばイノセンスを発動したせいで体調が悪い。だから、大人しく戻った方が良いのだろうが面倒臭いしな。
人形<ドール>の分裂体は手に持っているが、発動はしていない。色々と考えていたせいか、科学班のいるフロアにいつの間にか着いていた。
とりあえず、コムイ一発殴っとこう。
白髪少年入場
(篠神本当に大丈夫かしら…)
(しかし、敬語で話す奴とか久々だな)
(神田とか言う奴と違って篠神は良い人だと思った)
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