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43.己の"明日"

 

エンゲーブで宿を取り(断りはしたのだがローズ夫人の好意で宿代はタダだ)、全員が寝静まって後に外に出て、星を眺める。俺達の世界とはまた違う夜空は、汚染物質が少ないせいか澄んでいる。



「ローレライ、話がある」



フワリと風が巻き起こり、一風が吹いて後にローレライが姿を現した。



『何用だ?赤き翼よ』

「スザクとカレンが元の世界へ帰る時、ここに居たときの記憶を消して欲しい」

『!…良いのか?大切な友人なのだろう、彼等は望まぬ筈だ』

「確かにスザクとカレンは望まないだろうな。だが、アイツらの為にも忘れた方がいい。あくまでも、元の世界の俺は悪逆皇帝ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアなんだ……帰った後がキツイだろう。特にカレンはな」

『なるほど。ここで全てを知り、赤き翼と過ごした分己の行為を悔やむ、と……良かろう、ユリアの意志を継ぎし赤き翼のその願い聴き入れた』

「助かる」

『用があればまた呼び出すといい。我ら音素集合体、「明日が欲しい」と赤き翼が願い続ける限り、そなたについて行く』



ローレライが消え、静けさを取り戻した。先程のローレライの言葉に苦笑を漏らす。

「「明日が欲しい」か…俺に一番似合わない言葉だな。最後の最後まで"明日"に手が届かなかった俺には……生きれなかった俺には……」



―――この世界でも俺はきっと…己の明日は掴めないだろう

胸の傷跡を服の上から強く握り締めた。



「『王の力は人を孤独にする』……か」





(ギアスを使った以上、俺はこの運命からは逃れられはしないだろう)


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あきゅろす。
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