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06.末恐ろしい兄弟

 

「ここの位置の兵は下げろ。此方に移動させ、遠距離部隊の方を丘の上に。珍しくここ最近は『死霊使い』が出ていないから、これで大丈夫な筈だ」

「ルル、此方も下げた方が良い。敵側の部隊数の数が完璧に把握できてない以上、此方も危険だ。それにマルクト軍はし……譜術士が多いのだろう?此方では効果範囲内だ」

「なるほど……それも一理あるな」



ルルーシュがリオンに街を案内しているときにたまたま会い、軍に呼び出されていたので着いてきてみれば、周りの大人達が唖然としている。それもその筈だ。10代のまだ成人していない奴等が、的確な戦場の指示をしているのだから。
ルルーシュは知っていたが、リオンまでもルルーシュに退けをとらない案を出している。綺麗な容姿とは裏腹に末恐ろしい兄弟だ。



「リオンの案も入れて指示を飛ばせ」

「はっ」



下がった兵士を見て、俺は二人の傍に近寄ってきた。



「相変わらず頭がキレるなルルーシュ。しかし、驚いたよ。兄弟揃って凄いな」

「実際の戦場になれば、俺よりリオンの方が場馴れしてると思うがな」

「そうなのか?」

「僕は旅をしていたからな。ルルよりは戦い慣れている」

「兄として面目が立たないな」



当たり前だろうと言う顔をしているリオンに苦笑いしながら話すルルーシュは、俺と接するときに比べて随分態度が柔らかい。

指示の時は明らかに犠牲までも考えた冷酷な事を言うルルーシュとは、まるで別人だ。少しは軟化した態度もまだまだ警戒されている部類にようだ。この姿のルルーシュを見なければ気付かなかっただろう。



「ガイ、そろそろ屋敷に戻らないとルークが抜け出すんじゃないか?」

「あ、そうだな。俺は戻るよ」



部屋を出る前に振り返った時の二人に微かな違和感を感じたが、気のせいだろうと思い部屋を出た。















「ルル」

「悪かったよ。試しにガイが気が付くか、やっておきたかっただけさ」



先程の問答に違和感を覚えないなら、ガイは警戒しすぎる必要はないな。



「兄弟と言っておきながら、僕は一人旅でルルは姫の護衛。しかも、二人とも大怪我をした状態で見付かっている。ルルは僕が来るまで一言も弟の存在は話していない。まさか気付かないとは……ここの連中は大丈夫なのか?」

「我ながら安易な設定だと思ったが、馬鹿が多くて助かったな。キムラスカ側に倒れていて正解だったかもしれない」

「何故だ?」

「マルクト皇帝とその懐刀は切れ者で有名だ。特に皇帝の懐刀とも言われる『死霊使いジェイド』は、実力知力戦力全てにおいて優れているらしい。実際、戦場に奴が居る時はそう簡単には勝てない。桁外れの人物だ」

「そこまで言わせるならば凄いのだろうな」

「まあ、思考で戦う奴ほど読みやすい奴は居ないが」

「ルルみたいに、か?」

「言うなエミリオ、自覚はしている」



クスクス笑っているエミリオと、笑いを堪えているシャルティエを軽く睨み付ける。



「そう言えば……少し気になることがあるんだが」

「なんだ?」

「ルーク、と言ったか?どうもアイツは可笑しい。我が儘を演じている気がする」

「何かを隠しているのは間違いないな。実際、ヴァン・グランツへの態度が中と外ではまるで違う。気になるか?エミリオ」

「興味はある」

「なら、少し鎌をかけてみるか?」



思いついた計画に思わず、ゼロの時の雰囲気が出てエミリオに退かれた。





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あきゅろす。
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