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第5話 彼女の死と妹

 


「松山!事件目撃の情報が入ったから行くッスよ!!」

「はーい!」



ノコちゃんに連れられてパトカーの中に入った。何故か嫌な予感しかしないのだが。



「……ノコ先輩…何処で事件起きたの?」

「確か綾里法律事務所ってところッスよ」

「あ……綾里だって!?う…嘘だろ!!!被害者は誰か分かってないの!?」

「ちょっと松山落ち着くッス!!知り合いでもいるんスか?」

「……小学校からの友人と、最近知り合った綾里の所長さんと仲が良いんだ」

「……多分覚悟してた方がいいッスよ」



焦りが止まらない中、僕は千尋さんと龍一君の無事を祈った。その願いは結局届かなかったが。






















ノコちゃんは到着したら、すぐに踏み込んだ。そこに居たのは、龍一君と不思議な格好をした女の子が居た。女の子は目を真っ赤している事から泣いていたのだろう。龍一君が無事なのにホッとしたが、すぐに不安は戻ってきた。



所長である千尋さんは何処に?



「自分は、刑事課のイトノコギリという者ッス」

「(イトノコギリ……ヘンな名前だな)」

「このビルの向かいのホテル客から、殺人を目撃したという通報が入ったので、かけつけたッス。」

「(……そうか。あの女の人だな)」

「とりあえずアンタ達、そこを動いちゃダメッスよ」



奥の行ったノコちゃんを追い掛けて、僕も行こうとしたら龍一君に止められた。



「………龍一君?」

「被害者はっ……千尋さんなんだ」

「!……うん、この場に居なかったから予想は……ついた。ありがとう、龍一君」



龍一君の頭を撫でてから、僕は部屋へ入った。争った後なのか、部屋は物が散乱していた。
窓際に千尋さんが座っていた、否寄りかかっていた。頭から血を流しており、多分即死だっただろうと思われる。傍には血のついたあの《考える人》の時計があった。

コイツ…また事件起こしやがって。

僕は千尋さんの前に座り静かに黙祷をしようとしたが、ノコちゃんが奇声をあげて部屋から出ていったため、もう一度しっかり黙祷を捧げてから僕も部屋から出た。

とりあえずノコちゃんを蹴った。



「痛いッス!!」

「五月蝿いし、そこ邪魔だよ、ノコ先輩。何を見つけたの?」

「ひっ酷いッス……」

「説明っ!」

「はいッスゥゥウ!!!!この"マヨイ"という文字に心当たりはないッス?」

「………!あ、あの……それ……。あ……あたしの名前……「なんスとぉぉッ!」



一枚の紙には血で"マヨイ"とかかれていた。そして、目の前にいる彼女は"マヨイ"と言うらしい。
はっきりいって僕は彼女は、矢張みたいに罪を擦り付けられただけな気がする。頭を鈍器で殴られてこんなに綺麗に文字がかける筈はない。



「五月蝿い、ノコ先輩」

「Σげふっ!!松山!!だってこれは被害者が血で書いたメモッス!明らかに息を引き取るまぎわ、犯人を告発したッス!!」

「……あ、あたしじゃありま……「こりゃもう、キマリッス!署まで来てもらうッス!」

「え、え……?」

「だから五月蝿い、ノコ先輩。だから出世できずに給料下げられるんだよ。僕はこの子犯人じゃないと思うんだけど」

「Σひ…酷いッス。とりあえず二人とも署まで来るッス」



ノコちゃんはさっさと彼女を連れていってしまった。溜め息をついてから龍一君を引っ張った。


「龍一君も事情聴取するから、来て」

「あ…うん」

「ねぇ彼女何者?」

「…多分千尋さんの妹だと思う」

「………マジで?」

「うん、妹が来るから一緒に食事に行こうって言われてたんだ」

「………本当に惜しい人を亡くしたね。僕も……千尋さん好きだった」

「……うん」

「泣きたいなら泣いてた方が良いよ。この事件の犯人追う気なんでしょ?」

「っ……ありがとう、松山」



龍一君は声を押し殺して、署に着くまでずっと泣いていた。





結局あの紙のせいで、千尋さんの妹・真宵ちゃんは、緊急逮捕された。


(絶対に許さない。千尋さんの妹を犯人にして罪から逃れようとするなんて)
(ぼくは…どうしたいんだろう…千尋さん)



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