第4話 もう1つの再会
事件の結果が気になり被告人控え室に行くと楽しそうな声が聞こえてきた。
「……じゃあ、私たちも帰りましょうか」
「そうですね」
「今夜は私、パーッとごちそうしちゃおうかな。ヤッパリさんの無罪をお祝いしましょう!」
「……はいっ!」
「あ、そうだ。……ヤッパリさんといえば、あなた、彼のおかげで弁護士になった、って言ってたわよね」
「え、は、はあ。……"ある意味"ですけど」
「今度、聞かせてね、その話。……ものすごく興味があるの」
「うん、うん。あの話僕も龍一君視点で聞きたいなぁ」
「「「!?」」」
三人が突然会話に乱入してきた僕にビックリして絶句している。
「なんだよー、折角矢張が無罪になったか、龍一君が無罪に出来たか見に来てあげたのに」
「松山!来てくれたのか」
「本当は見に行くつもりだったけどさっき仕事終わってきたから、見れなかったんだ。ごめんね龍一君」
「いや来てくれただけで嬉しいよ」
「ちょっと待て成歩堂!松山って…陸ちゃんか!?」
「ヤッホー♪矢張、久し振り!!」
笑って手を振ってやると、勢いよく手を握られた。
「ホント久々だな!!!美人さんになって…オレの彼女になってくr「昔から言ってるけどや」
「仮にも友人に即答は酷いいだろ!?」
「「いや、当たり前だから」」
龍一君とハモって、矢張以外は笑いに包まれた。千尋さんもニコニコして嬉しそうである。
「んで、結果は…聞くまでもないか!」
「オレはちゃんと無罪になったぜ!」
「途中危なかったけどね」
「上等、上等。初めての法廷で殺人事件を扱って無罪判決なら良いよ!龍一君、矢張おめでとう」
「ありがとう松山」
「オレは陸ちゃんに会えたのが嬉しいぜ!」
和やかな雰囲気の中、矢張の無罪で無事に龍一君の初めての裁判は終わった。
龍一君に聞く限り矢張は"トモダチはいいなあ"を連呼しつつも、千尋さんにあげたらしいもう一個の《考える人》の時計以外に、依頼料を払う気はないという最低な事をしようとしていた。
むろん僕が叱って払わせたが。
そして、今回の凶器となったあの《考える人》の時計は、再び、とんでもない事件を引き起こすこととなった。
僕が生きた千尋さんと会うのは今日で最後になってしまうのに、僕はまだ気が付かない。
(じゃーね!千尋さん。またお茶しにいくね!!)
(えぇ、なるほど君と待ってるわ)
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